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どうして 下 2003/12/27
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「どうして…こんなことに」
半ば無自覚に自問するが、答えは疾うに出ていた。判り切ったことだ。この弱肉強食の時代に、相手が強く、こちらが弱かっただけのこと。
それくらい、わかっている。
判っているが、だからといって納得できるはずもない。今こうやって地下通路を必死で逃げる自分を、認められるはずもなかった。
「やだよ…みんな…」
知らず、涙がこぼれる。
本当に小さな国で、国民と王家も親しかった。それがリリィアの錯覚だったとしても、他国よりは近しかったのは確かだろうと思う。
それが、蹂躙され、殺戮された。
いっそ、全降伏してしまえば良かったのだ。そうすれば、惨めであっても生き延びれた。生きていれば、未来も、変化もあっただろう。――死んでしまえば、何もない。
それが赦されなかったのは、この小さな国が国であり得た、宝玉のせいだった。大きな力を秘めたといわれる、小さな宝玉。今は、リリィアの手の中にある。
強く握りすぎて、指が掌に食い込んでしまっている。
「みんな…どうして…っ」
嗚咽を漏らして、何度も何度も止まって泣き崩れそうになりながらも、足を動かす。止まれない。命を賭けて逃がした、皆の為に。それだけが、リリィアを動かしていた。
逃げなくてはならない。
たとえ、どんなことがあろうとも。
――それだけが、この少女を動かしていた。
半ば無自覚に自問するが、答えは疾うに出ていた。判り切ったことだ。この弱肉強食の時代に、相手が強く、こちらが弱かっただけのこと。
それくらい、わかっている。
判っているが、だからといって納得できるはずもない。今こうやって地下通路を必死で逃げる自分を、認められるはずもなかった。
「やだよ…みんな…」
知らず、涙がこぼれる。
本当に小さな国で、国民と王家も親しかった。それがリリィアの錯覚だったとしても、他国よりは近しかったのは確かだろうと思う。
それが、蹂躙され、殺戮された。
いっそ、全降伏してしまえば良かったのだ。そうすれば、惨めであっても生き延びれた。生きていれば、未来も、変化もあっただろう。――死んでしまえば、何もない。
それが赦されなかったのは、この小さな国が国であり得た、宝玉のせいだった。大きな力を秘めたといわれる、小さな宝玉。今は、リリィアの手の中にある。
強く握りすぎて、指が掌に食い込んでしまっている。
「みんな…どうして…っ」
嗚咽を漏らして、何度も何度も止まって泣き崩れそうになりながらも、足を動かす。止まれない。命を賭けて逃がした、皆の為に。それだけが、リリィアを動かしていた。
逃げなくてはならない。
たとえ、どんなことがあろうとも。
――それだけが、この少女を動かしていた。
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