その令嬢は祈りを捧げる

ユウキ

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ぐch…祈りは続く

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(天に座す我らが愛する神様、今日もありがとうございます!
 って、ほんと今日はびっくりなんですけどっ聞いてくださいまし!
 他人目につく中庭で、例の男爵家の令嬢とフランクリン殿下が膝枕していたのです!しかも側近候補の男も近くにいて、何も言わないなんて信じられます?!
 もー尊敬も僅かな情も、綺麗さっぱりなくなりましてよ?!迂闊すぎませんこと?
 だって、自身を“浮気者でーす”って喧伝して、女の方に“常識なしでーす”ってレッテル貼る行為ですのよ?!私が何も言わないからって!
 鳥の糞が落ちて来ますようにって、その場で早口言葉で三回呟いてしまいましたわっ)



(愛する天の神様、聞いて下さいまし!
 何もしていないのに、フランクリン殿下に睨まれましてよ!意味がわかりませんわっ。その上「虐めは良くない」ですって!?はぁぁぁぁぁっですわよ!
 虐めなんて誓ってしておりませんわ!そんな暇じゃありませんもの。しかも王家からの護衛もずーっとついておりますのよ?やってやりたくてもできる隙なんてありませんわよっ。
 殿下に付き従ってるあの側近候補、殿下の尻馬に乗って伯爵家如きが無礼にも「品位を疑う」「見てくれ淑女」とかっっっ!
 あんたなんか大事な書類をポッケに入れたままで洗濯されちゃえば良いんだわ!)



(愛する天のお父様、聞いて聞いてー!
 信じられないことに、あの男爵家の令嬢が階段から落ちたのが私のせいだっていうんですのよー!
 私、放課後早々王宮へ行くのに、どうやって突き落とすっていうんですのっ!それにあの側近&護衛候補の筋肉バカ、「お前がアイシャに怪我をさせた事は分かっている!」っって?!誰よアイシャって!ってあの男爵家のアイツか?!
「死ななくて残念だったな」とか言って鼻を鳴らして去って行きましたのよ!くぅぅぅっっ!!
 あのくそゴリラ、靴の中に尖った小石が入り込んで取れなくなって痛みにのたうち回れば良いんだわっ)



っとまぁ、祈り(?)は止まらずに、日々熱心さを深めていっていた。


 そんな日々も、もうすぐ卒業を迎えると無くなるものかと思いきや、卒業式後のパーティーで、まさかのフランクリンがエイディアーナのエスコートを直前でブッチするという暴挙で、またも祈りを捧げることとなる。


(天のお父様聞いてー!パーティー当日にエスコートブッチってあり得ますー?!
 こちとらアイツが婚約者だから、仕方なしに待っておりましたのよ?!紳士の風上にも置けない所業でしてよ?!もう愛想も尽かしているってー言うのに、かけらも残っていない好意をドンドコ掘り下げていくなんて、何がしたいのかしらっ!
 先日陛下へ送った婚約解消のお願いのお手紙、早々に実現して下さいませんかね?あー、腹立つっ!
 あー、ほんとっっもげてしまえ!!)



─────────────

脳内アテレコは、裏返り気味でお願いいたします。
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