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プロローグ
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公爵家に生まれたエイディアーナは、生まれて直ぐに婚約者を定められ、早十五年。
婚約者であるこの国の第一王子、フランクリン殿下との関係は穏やかで、燃えるような情熱こそ無くとも、互いを尊敬し合えていて、共に大切なパートナーとして支え合っていけると、そう信じていた。
貴族子女が通う学園に入学するまでは。
噂を耳にしたのは2学年に上がった頃。
── フランクリン殿下が、とある男爵家の御令嬢と親密になさっている ──
というものだった。
エイディアーナは噂を耳にする度「まさか」と笑って否定していても、胸の奥がざらつく様な言いようの無い不快感に襲われていた。
というのも、2学年に上がってすぐの頃、彼女は校舎の2階から1階の外廊下を進むフランクリンと、見たことのない女子生徒が笑顔で話しているところを見たことがあったから。
─ 今まであんなに素直に笑っている顔を見たことがあっただろうか?
─ 今まであんなに思いの籠った目で見られたことがあっただろうか?
そんな思いが沸き上がり、エイディアーナは咄嗟に目を逸らして窓から身を離したのだった。
婚約者であるこの国の第一王子、フランクリン殿下との関係は穏やかで、燃えるような情熱こそ無くとも、互いを尊敬し合えていて、共に大切なパートナーとして支え合っていけると、そう信じていた。
貴族子女が通う学園に入学するまでは。
噂を耳にしたのは2学年に上がった頃。
── フランクリン殿下が、とある男爵家の御令嬢と親密になさっている ──
というものだった。
エイディアーナは噂を耳にする度「まさか」と笑って否定していても、胸の奥がざらつく様な言いようの無い不快感に襲われていた。
というのも、2学年に上がってすぐの頃、彼女は校舎の2階から1階の外廊下を進むフランクリンと、見たことのない女子生徒が笑顔で話しているところを見たことがあったから。
─ 今まであんなに素直に笑っている顔を見たことがあっただろうか?
─ 今まであんなに思いの籠った目で見られたことがあっただろうか?
そんな思いが沸き上がり、エイディアーナは咄嗟に目を逸らして窓から身を離したのだった。
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