お嬢様の“専属”

ユウキ

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少々戻ります

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話は卒業パーティーの翌日にまで遡る。



侯爵家で朝からせっせと働く私に、執事長から呼び出しがかかり、向かった先では何故か侯爵夫妻が待っていた。


「ノエル、急で悪いのだが、隣国へ行くある視察の調査員の一人に急遽加えたいと陛下が願われてな。
3ヶ月~と長期だが、行ってくれるね」


それはもはや命令では…と思ったが、断れるはずもなく、私は頷き、急遽身支度を済ませて旅立つこととなった。

心残りは、もう直ぐ屋敷に戻ってくるリリアンナ様を、新たな男性用使用人の服を着て出迎えられなかったこと。


数人で1ヶ月ほどかけて隣国に渡った私は、他の方に言われるまま付いて行った。

そして顔合わせの予定があると言われて向かった公爵邸で迎えられた領主は、私を見るなり呆然とし、見開いた目には涙が滲んでいた。

緩く開かれた口から小さく何かを溢していたかと思うと、「フィオリアーナ!!」と叫ばれて両肩をがっしり掴まれたのだった。



「き…きみは…!もしかしてフィオリアーナ…いや、名を変えたんだったな、フィナの息子か?!」


次に目を見開いたのは私だった。
公爵が告げたのは私の亡き母の名前だったからだ。

公爵様は私をがっしりと掴んだまま涙を零し、公爵邸内は騒然となった。

落ち着いた公爵様に通されて向かったサロンでは、テルツァ公爵夫妻と私より幾つか上に見える息子が揃い、まずは視察と称して訪れた外交官が書状を手渡した。


内容に目を通した公爵は、嬉しそうに目元を綻ばせながら「借りができてしまったな」と呟いていた。
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