お嬢様の“専属”

ユウキ

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お世話になることが決定しました

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如何でしょう?と丁寧な物腰で伺ってくるサーシャに、頼れる先も身寄りもない事を思い出す。

震えて詰まりそうな言葉をなんとか吐き出す。



「あ…父さんも母さんも…死んでしまって…他は誰も…」



暗く俯いた私をサーシャは気遣う様に、優しく続けた。


「では孤児院へ…ですが「あなた気に入ったから、私の専属になりなさい」…お嬢様?」


サーシャの言葉を遮り、割って入ったリリアンナはニンマリと笑いながら言い切った。


「“天使”の様な私が、お父様にお願いしたの!
こぉんな小さくて細い、可愛い女の子をまた外に放り出せないわ!行くあてがなかったら、私のお友達兼専属侍女にするわ!ってね。ね?いいでしょ?ノエル、あなたもいいわよね?ね?ね??!」

「ぃぇ…ぁの……は、はい…」


あまりの勢いに呑まれて頷いたものの、行く当てがないのは確かだし、拾ってくれたお嬢様に願われれば否やはない。


「…あの、でもっっ」

「はいと言ったのだから、もう何も聞かないわ!いいこと?取り敢えず元気になるのが先よ!
私がお見舞いに来てあげるのだから、早く元気になって一緒に遊ぶのよ!いいわねっ」


捲し立てる様に言い切ると、またもや「オーっホッホ」と笑いながら去る後ろを、ペコリと軽くお辞儀してサーシャも付いて出ていった。



勢いに飲まれたまま何も言えずに、この日からお嬢様付きとして、侯爵家でお世話になることになった。





── 言えなかった事を胸に抱えたまま。
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