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Ⅵ 運命の人
④
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『互いに知っていこう』蓮から提案されたこと。ルカはそれに同意し、蓮のマンションで一緒に過ごすことに決めた。それから数日が経過している。
一緒の生活と言っても、ルカは何もしていない。蓮が上機嫌でルカの世話を焼く。甘ったるくてバカらしいくらいに甘やかしてくる。毎日ポーカーフェイスの蓮に「可愛いルカ」「綺麗なルカ」「俺の愛しいルカ」と言われている。
初めのころは恥ずかしくて照れくさくて仕方がなかったが、段々恥ずかしくも無くなってきた。まぁ、嫌な気もしない。からかっているワケじゃなく蓮が本気で言ってくるから受け止められるのかもしれない。ドラマでこんな場面観たら胸焼けしそうだけど。現実には受け入れている自分自身がくすぐったくてルカの頬が緩む。
「ルカ。ほら、フレッシュフルーツジュース。柑橘系強めだ」
「ありがと」
ジュースを持ってきてルカの横に座る蓮。横に蓮が来ると自然とルカから寄りかかる。蓮に甘えるのは好きだ。アルファに全てを包み込まれる安心感はこれまで知らなかったこと。きっとオメガの本能なのかな、と思っている。
「飲ませて」
頭を預けて言ってみると、蓮が一口ジュースを口に含み、そっと口移しで飲ませてくれる。ついでにレロっと舌を絡め合わせて口が離れる。
「ハチミツも少し入れた。お味はいかが?」
蓮がルカの唇をフニフニ触りながら聞いてくる。まるで恋人だ。ふふっと笑いが漏れる。
「美味しい。もう一回ちょーだい」
ペロっと舌を出して見せればジュースではなく蓮の濃厚なキスが与えられる。バカみたいに甘い日々だ。でも、悪くない、かも。
息も舐めとられるようなキス。ルカの心臓がバクバク鳴る。蓮を見れば息を荒げて性欲を含む眼差し。見つめ合う。
「……する?」
ルカの口から自然と漏れた言葉。蓮がわずかに目を見開く。そんな蓮を見てルカは急激に恥ずかしくなる。何を言ってしまったのだろう。さっと目線を外して誤魔化す方法を考える。
「しないよ。アルファとして愛したいと欲望はあるけれど、今は一人の男としてルカを大切にしたいからな」
クソ真面目に蓮が応える。雰囲気に流されて変な事言った自分が恥ずかしくなる。そっと蓮から距離を置こうとすると、肩をしっかりと抱かれる。頭の上にキス。そのまま頭に声が注がれる。聞き取れないような小さな声。
「ルカ、愛している。ルカが俺を許してくれたら、抱いて良いか?」
心のこもった言葉に心臓が走り出す。顔が一気に熱くなる。もう嫌いじゃないよ、むしろ……。むしろ、何だろう? 自分の気持ちが分らない。
ルカの頭に顔を埋めるようにして密着する蓮に、わずかにコクリと頷き返す。それがルカの精一杯だった。
一緒の生活と言っても、ルカは何もしていない。蓮が上機嫌でルカの世話を焼く。甘ったるくてバカらしいくらいに甘やかしてくる。毎日ポーカーフェイスの蓮に「可愛いルカ」「綺麗なルカ」「俺の愛しいルカ」と言われている。
初めのころは恥ずかしくて照れくさくて仕方がなかったが、段々恥ずかしくも無くなってきた。まぁ、嫌な気もしない。からかっているワケじゃなく蓮が本気で言ってくるから受け止められるのかもしれない。ドラマでこんな場面観たら胸焼けしそうだけど。現実には受け入れている自分自身がくすぐったくてルカの頬が緩む。
「ルカ。ほら、フレッシュフルーツジュース。柑橘系強めだ」
「ありがと」
ジュースを持ってきてルカの横に座る蓮。横に蓮が来ると自然とルカから寄りかかる。蓮に甘えるのは好きだ。アルファに全てを包み込まれる安心感はこれまで知らなかったこと。きっとオメガの本能なのかな、と思っている。
「飲ませて」
頭を預けて言ってみると、蓮が一口ジュースを口に含み、そっと口移しで飲ませてくれる。ついでにレロっと舌を絡め合わせて口が離れる。
「ハチミツも少し入れた。お味はいかが?」
蓮がルカの唇をフニフニ触りながら聞いてくる。まるで恋人だ。ふふっと笑いが漏れる。
「美味しい。もう一回ちょーだい」
ペロっと舌を出して見せればジュースではなく蓮の濃厚なキスが与えられる。バカみたいに甘い日々だ。でも、悪くない、かも。
息も舐めとられるようなキス。ルカの心臓がバクバク鳴る。蓮を見れば息を荒げて性欲を含む眼差し。見つめ合う。
「……する?」
ルカの口から自然と漏れた言葉。蓮がわずかに目を見開く。そんな蓮を見てルカは急激に恥ずかしくなる。何を言ってしまったのだろう。さっと目線を外して誤魔化す方法を考える。
「しないよ。アルファとして愛したいと欲望はあるけれど、今は一人の男としてルカを大切にしたいからな」
クソ真面目に蓮が応える。雰囲気に流されて変な事言った自分が恥ずかしくなる。そっと蓮から距離を置こうとすると、肩をしっかりと抱かれる。頭の上にキス。そのまま頭に声が注がれる。聞き取れないような小さな声。
「ルカ、愛している。ルカが俺を許してくれたら、抱いて良いか?」
心のこもった言葉に心臓が走り出す。顔が一気に熱くなる。もう嫌いじゃないよ、むしろ……。むしろ、何だろう? 自分の気持ちが分らない。
ルカの頭に顔を埋めるようにして密着する蓮に、わずかにコクリと頷き返す。それがルカの精一杯だった。
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