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第6章. 終幕と望まざる再会
【唐突なる再会】
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レイナとの突然の別れから3年が過ぎた、
俺は29歳で結婚して子宝にも恵まれ
それなりに平穏な日々を過ごしていた。
風俗に通っていたのも今は昔、
さすがにお店の近くを通っても
あの頃のようなムラムラとした気分にはならないが
それでもほんの少しあの頃のことを思い出して
胸が少しだけ痛くなる。
そんなある日のこと、俺はひとり
ぼんやりとテレビを観ていた。
ブレイクした芸能人が昔お世話になった人の話をして
サプライズでその本人が現れる、と言った
ありがちなバラエティ番組だ。
「それでは今夜のゲストは…この方…セリナさんです!」
画面が暗転して現れたのは・・・
忘れるはずもない、セリナと名乗るその女性は
紛れもなくレイナだった!
ー こちらのセリナさん、実はある経歴の持ち主で…
「はい、実は元風俗出身のタレントなんです」
ひな壇に座るゲストからの
「まさか今もそちら系の作品に出られてる…?」
などと言う、お約束の弄りにも笑顔で対応している
それは俺が知るあのレイナに間違いなかった。
普段あまりテレビを観ないから知らなかったのだが
彼女は今、風俗嬢出身タレントとしてブレイクしていて
最近ではバラエティのみならずドラマにも出演したりと
念願の女優業に就いているらしく
あっけらかんとしたキャラで人気も出ているのだそうだ。
「そっかぁ、レイナ…夢叶えたんだ」
何とも言えない気持ちに襲われた
嬉しいような寂しいような
それでいて懐かしいような
何故だか自然と涙が込み上げてきたが
そんな感動も一瞬だった。
「セリナさんには人生の転機となる時期に背中を押してくれた人がいるとか…」
「はい、そうなんです、まだお店で働いてた頃
私の夢を話すと応援してくれた方が…」
ー お客さまのひとりなんですけど…
ブログで励ましてくださったり
来店の度に力強い言葉をかけてくれたり…
MCの男性が無神経に質問をする
「失礼ですがその方とはお付き合い…されてた?」
ー それが…ホントは大好きだったんですけど…
このまま彼に甘えてしまったら
夢を諦めてしまうんじゃないかと
「で、お別れしたと?」
ー いえ、付き合ってたわけではなく
あくまでもビジネス上の関わりだけで
ある日、何も言わずに突然お店を辞めて
彼にも連絡せずにアドレスも全部消して
「えー!それはショックだったでしょうね、その彼は」
当たり前だ!
そんな気持ち、体験した本人しにしかわかるわけないだろ
テレビの画面にそう言ってやりたかった。
俺はてっきりその話が自分のことだと思っていた、
なのでこの後の展開に戸惑いを隠せなかった
「実は今日、その方がスタジオにお見えになってます!」
・・・何っ?
それって…俺のことじゃなくて?
他にもそんなお相手がいたのか?
一瞬虚しさに襲われた
まさかそんなことが…?
もしかしたらレイナは誰にでもそんな話をして
何かしらのチャンスを伺っていたのだろうか?
そして俺よりも頼りになるであろう、
そんな人物を見つけて
さっさと見切りをつけたのでは?
怒りにも似た感情が込み上げてきた、その時だった
俺は一瞬でもレイナを疑ったことを恥ずかしく思った。
俺は29歳で結婚して子宝にも恵まれ
それなりに平穏な日々を過ごしていた。
風俗に通っていたのも今は昔、
さすがにお店の近くを通っても
あの頃のようなムラムラとした気分にはならないが
それでもほんの少しあの頃のことを思い出して
胸が少しだけ痛くなる。
そんなある日のこと、俺はひとり
ぼんやりとテレビを観ていた。
ブレイクした芸能人が昔お世話になった人の話をして
サプライズでその本人が現れる、と言った
ありがちなバラエティ番組だ。
「それでは今夜のゲストは…この方…セリナさんです!」
画面が暗転して現れたのは・・・
忘れるはずもない、セリナと名乗るその女性は
紛れもなくレイナだった!
ー こちらのセリナさん、実はある経歴の持ち主で…
「はい、実は元風俗出身のタレントなんです」
ひな壇に座るゲストからの
「まさか今もそちら系の作品に出られてる…?」
などと言う、お約束の弄りにも笑顔で対応している
それは俺が知るあのレイナに間違いなかった。
普段あまりテレビを観ないから知らなかったのだが
彼女は今、風俗嬢出身タレントとしてブレイクしていて
最近ではバラエティのみならずドラマにも出演したりと
念願の女優業に就いているらしく
あっけらかんとしたキャラで人気も出ているのだそうだ。
「そっかぁ、レイナ…夢叶えたんだ」
何とも言えない気持ちに襲われた
嬉しいような寂しいような
それでいて懐かしいような
何故だか自然と涙が込み上げてきたが
そんな感動も一瞬だった。
「セリナさんには人生の転機となる時期に背中を押してくれた人がいるとか…」
「はい、そうなんです、まだお店で働いてた頃
私の夢を話すと応援してくれた方が…」
ー お客さまのひとりなんですけど…
ブログで励ましてくださったり
来店の度に力強い言葉をかけてくれたり…
MCの男性が無神経に質問をする
「失礼ですがその方とはお付き合い…されてた?」
ー それが…ホントは大好きだったんですけど…
このまま彼に甘えてしまったら
夢を諦めてしまうんじゃないかと
「で、お別れしたと?」
ー いえ、付き合ってたわけではなく
あくまでもビジネス上の関わりだけで
ある日、何も言わずに突然お店を辞めて
彼にも連絡せずにアドレスも全部消して
「えー!それはショックだったでしょうね、その彼は」
当たり前だ!
そんな気持ち、体験した本人しにしかわかるわけないだろ
テレビの画面にそう言ってやりたかった。
俺はてっきりその話が自分のことだと思っていた、
なのでこの後の展開に戸惑いを隠せなかった
「実は今日、その方がスタジオにお見えになってます!」
・・・何っ?
それって…俺のことじゃなくて?
他にもそんなお相手がいたのか?
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まさかそんなことが…?
もしかしたらレイナは誰にでもそんな話をして
何かしらのチャンスを伺っていたのだろうか?
そして俺よりも頼りになるであろう、
そんな人物を見つけて
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怒りにも似た感情が込み上げてきた、その時だった
俺は一瞬でもレイナを疑ったことを恥ずかしく思った。
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