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第22章. すれ違いの純情
【柑橘少女】
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陽菜子との一件があってから
申し訳なさと後ろめたさも手伝ってか
舞に連絡する機会が減りつつあった。
それでも舞の優しさは微塵も陰ることなく
これまで同様に良好な関係は続いている…
ように思えた。
本当にこれでいいのだろうか?
本当に舞は何も気づいていないのか?
全て知っていて見過ごしているだけでは
ないのだろうか?
そんな思いにかられて
何とも言えない自己嫌悪に陥る日々が続いている。
そんなある日のこと、気分転換に僕は
オーディオ設備を一新するため一人で出掛けていた。
アルバイトで貯めた貯金は順調に増え
そろそろ中古の車にも手が出せるくらいの
余裕は出来ていたので
まずはビデオデッキを買おうと
ちょうど舞の寮近くにある家電量販店で購入して
帰りのバスに乗っている。
夕方の時間帯はバスが混み合っていて
僕は重いデッキを左手に持ち
右手のみでつり革に掴まっていた。
するとバスが停留所に停まった反動で
僕は堪えきれず持っていたビデオデッキを
投げ出しそうになってしまった、
その時
「だ、大丈夫ですかぁ?」
かなりの重量のあるビデオデッキを
軽く受け止めてくれた一人の女子
その顔に…いやその香りに僕は覚えがあった
あの日…僕と舞が結ばれた日の帰り道
転げそうになりながらバスから飛び降りてきた
柑橘系のコロンの香りがした小柄な女の子
確か彼女は舞と同じ寮へと入っていった。
と言うことは、彼女は舞と同じ看護学生のはずだが…
その制服は舞衣や咲良が着ている
真っ青なブレザーではなかった。
不思議に思った僕は咄嗟に口にした
「あ、ありがとう、看護学校の…生徒さん、だよね?」
「は、はい、そうです…わかります?まだ1年生なんですぅ」
「あ、実はね俺の彼女が看護学校の生徒で…そこの寮にいるんだ」
「え?そうなんですかぁ?誰だろ?」
「当ててみる…?」
「最近彼氏が出来た人…凛子ちゃん?杏奈?
梨子ちゃん?うぅん、わかんないなぁ?」
「多分…キミの先輩だと思うよ」
「え!そうなんですか?」
「しかも俺はキミと会うのは初めてじゃない」
「えー!そ、そうなんです?あれ?私?どこで?こんなわかりやすい見た目の人…あ、ごめんなさい」
「あはは、よく言われる、髪色のことだよね?」
「あは、ははは、そうですね」
「南町の駅からバスに乗ろうとしたら、いきなり飛び降りてきたんだよ」
「あ!あっ!思い出した!思い出しました!」
「そっか、思い出せてよかった」
「で、どなたが彼女さんなんです?」
「あ、そうだった…北浜…北浜舞って2年の先輩のこと知ってる?」
「えー!!舞先輩の!彼女さんなんですかぁー!」
「あ、彼女ではないね…どちらかと言うと彼氏…なんだけど」
「きゃぁー、間違えましたー!ごめんなさいごめんなさい」
「あはは、で、ある日舞を送ってった帰りにキミとすれ違ったってわけ」
「そうなんですね?よく覚えてるんですね」
きっと外見だけなら忘れていたかも知れない
彼女の柑橘系の香りは
どこか僕の地元を思い出させたからだ
それはまるで懐かしい故郷のみかん畑を彷彿とさせた。
申し訳なさと後ろめたさも手伝ってか
舞に連絡する機会が減りつつあった。
それでも舞の優しさは微塵も陰ることなく
これまで同様に良好な関係は続いている…
ように思えた。
本当にこれでいいのだろうか?
本当に舞は何も気づいていないのか?
全て知っていて見過ごしているだけでは
ないのだろうか?
そんな思いにかられて
何とも言えない自己嫌悪に陥る日々が続いている。
そんなある日のこと、気分転換に僕は
オーディオ設備を一新するため一人で出掛けていた。
アルバイトで貯めた貯金は順調に増え
そろそろ中古の車にも手が出せるくらいの
余裕は出来ていたので
まずはビデオデッキを買おうと
ちょうど舞の寮近くにある家電量販店で購入して
帰りのバスに乗っている。
夕方の時間帯はバスが混み合っていて
僕は重いデッキを左手に持ち
右手のみでつり革に掴まっていた。
するとバスが停留所に停まった反動で
僕は堪えきれず持っていたビデオデッキを
投げ出しそうになってしまった、
その時
「だ、大丈夫ですかぁ?」
かなりの重量のあるビデオデッキを
軽く受け止めてくれた一人の女子
その顔に…いやその香りに僕は覚えがあった
あの日…僕と舞が結ばれた日の帰り道
転げそうになりながらバスから飛び降りてきた
柑橘系のコロンの香りがした小柄な女の子
確か彼女は舞と同じ寮へと入っていった。
と言うことは、彼女は舞と同じ看護学生のはずだが…
その制服は舞衣や咲良が着ている
真っ青なブレザーではなかった。
不思議に思った僕は咄嗟に口にした
「あ、ありがとう、看護学校の…生徒さん、だよね?」
「は、はい、そうです…わかります?まだ1年生なんですぅ」
「あ、実はね俺の彼女が看護学校の生徒で…そこの寮にいるんだ」
「え?そうなんですかぁ?誰だろ?」
「当ててみる…?」
「最近彼氏が出来た人…凛子ちゃん?杏奈?
梨子ちゃん?うぅん、わかんないなぁ?」
「多分…キミの先輩だと思うよ」
「え!そうなんですか?」
「しかも俺はキミと会うのは初めてじゃない」
「えー!そ、そうなんです?あれ?私?どこで?こんなわかりやすい見た目の人…あ、ごめんなさい」
「あはは、よく言われる、髪色のことだよね?」
「あは、ははは、そうですね」
「南町の駅からバスに乗ろうとしたら、いきなり飛び降りてきたんだよ」
「あ!あっ!思い出した!思い出しました!」
「そっか、思い出せてよかった」
「で、どなたが彼女さんなんです?」
「あ、そうだった…北浜…北浜舞って2年の先輩のこと知ってる?」
「えー!!舞先輩の!彼女さんなんですかぁー!」
「あ、彼女ではないね…どちらかと言うと彼氏…なんだけど」
「きゃぁー、間違えましたー!ごめんなさいごめんなさい」
「あはは、で、ある日舞を送ってった帰りにキミとすれ違ったってわけ」
「そうなんですね?よく覚えてるんですね」
きっと外見だけなら忘れていたかも知れない
彼女の柑橘系の香りは
どこか僕の地元を思い出させたからだ
それはまるで懐かしい故郷のみかん畑を彷彿とさせた。
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