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第13章. スパイダー
【ふたりは未…】
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「さ、さ、さくちゃん!、当たってる!」
「え?何がぁ?あ、これね」
咲良は自分の着ているシャツの襟をつまんで
パタパタとひらめかせた。
「ま、まさか、つけてない…の?」
シャツの中を覗き込んだ咲良
「あ、ノーブラだわっ!あはっ」
ー 何でそんなに無防備なんだよ
もしも何かされたらどうするつもりなんだよ
「だぁって~、キツいんだもん寝る時着けてると」
ー 男はみんなオオカミになるんだから
他のとこでやってたら大変なことになってるよ!
「うちも男、見る目はあるから。ナカムラくんは東郷とか他のヤツらとは違うから」
「俺も一応、男だから、さ」
「はーい、わかりましたー」
そう言うと咲良はイジけてしまったのか
そのまま黙りこんでしまった。
僕はしばらくプロレスを観ていたが
コマーシャルになった時振り返ると
咲良は再び熟睡しているようで
本当にあどけない寝顔だ。
それを見て気持ちが高揚することはなかったが
こんな穏やかな寝顔を見ていると
この娘も普段は大変な思いをしながら
がんばってるんだろうな…
突然、妙な感情移入が始まりそうになった。
ー いやいやいや、待てよ待てよ、冷静になれ、
こんなとこで気持ちを乱してどうなる
まさかここに来て咲良を諫めていた僕が
自制心と戦う羽目になるとは。
「うぅん・・・」
うなされているのだろうか?
咲良の顔が前髪で塞がっているようだ
これくらいなら…僕は咲良の乱れた前髪が
顔にかからないようにそっと払ってあげた…
その時だった
「あー!いててててて!」
こともあろうに咲良は僕の右手の甲を掴むと
思い切り噛みついたのだ。
咲良は僕の手を掴み噛みついたまま離そうとしない
「さくちゃん、どうした!マジで痛いって!」
「あ、お願い!もっと…あぁ!」
寝言を言っている、
しかも…
かなりヤラしい夢のようだ。
咲良は右手で僕の腕を掴んで噛みついたまま
左手を僕の首に回して引き寄せた。
このままでは咲良が無作為に張り巡らせた
"スパイダーネット" に捕らわれてしまう。
「さくちゃん!」
すると突然パッと目を開けた咲良は
僕を見て「えっ?」と言う表情で
「あー!相手が変わってる~!」
「何言ってんだよ、夢だよ夢!」
至近距離で僕が視界に入ったことに
驚きを隠せない様子で
「えーと…えぇっと…」
突然座り込んだ咲良は
何が起きているのか頭を整理しているようだ。
しばらくするとようやく酩酊状態から覚めたようで
「あっ!…そう言うこと?」
「そう言うことだよ」
「いい夢見てたのにな」
「すんごい声出してたよ、もう」
「ゲッ!マジで?変なこと言ってた?」
「はい、たくさん、ね」
「うわ、恥ずい恥ずい、もぅ!やだ!」
咲良に噛まれた僕の右手の甲には
くっきりと歯形が残っていた。
「うちさ…噛み癖があってね、、」
「酔っ払うと?」
「うぅん、アレの途中で…興奮すると、ね」
「ぶっ!じゃ、彼氏になると噛まれちゃうの?」
「そっ、良かったね、貴重な体験できて」
「噛まれ損だよ、まったく」
ー じゃ…
「イッカイ ヤットク?」
咲良はいたずらっぽい笑顔で僕にこう言った。
「遠慮しときます」
「ふふっ、だよねぇ、舞といつも…してるんでしょ?」
「・・・」
「え?もしかして…まだなの?」
長い夜はまだ始まったばかりだった。
「え?何がぁ?あ、これね」
咲良は自分の着ているシャツの襟をつまんで
パタパタとひらめかせた。
「ま、まさか、つけてない…の?」
シャツの中を覗き込んだ咲良
「あ、ノーブラだわっ!あはっ」
ー 何でそんなに無防備なんだよ
もしも何かされたらどうするつもりなんだよ
「だぁって~、キツいんだもん寝る時着けてると」
ー 男はみんなオオカミになるんだから
他のとこでやってたら大変なことになってるよ!
「うちも男、見る目はあるから。ナカムラくんは東郷とか他のヤツらとは違うから」
「俺も一応、男だから、さ」
「はーい、わかりましたー」
そう言うと咲良はイジけてしまったのか
そのまま黙りこんでしまった。
僕はしばらくプロレスを観ていたが
コマーシャルになった時振り返ると
咲良は再び熟睡しているようで
本当にあどけない寝顔だ。
それを見て気持ちが高揚することはなかったが
こんな穏やかな寝顔を見ていると
この娘も普段は大変な思いをしながら
がんばってるんだろうな…
突然、妙な感情移入が始まりそうになった。
ー いやいやいや、待てよ待てよ、冷静になれ、
こんなとこで気持ちを乱してどうなる
まさかここに来て咲良を諫めていた僕が
自制心と戦う羽目になるとは。
「うぅん・・・」
うなされているのだろうか?
咲良の顔が前髪で塞がっているようだ
これくらいなら…僕は咲良の乱れた前髪が
顔にかからないようにそっと払ってあげた…
その時だった
「あー!いててててて!」
こともあろうに咲良は僕の右手の甲を掴むと
思い切り噛みついたのだ。
咲良は僕の手を掴み噛みついたまま離そうとしない
「さくちゃん、どうした!マジで痛いって!」
「あ、お願い!もっと…あぁ!」
寝言を言っている、
しかも…
かなりヤラしい夢のようだ。
咲良は右手で僕の腕を掴んで噛みついたまま
左手を僕の首に回して引き寄せた。
このままでは咲良が無作為に張り巡らせた
"スパイダーネット" に捕らわれてしまう。
「さくちゃん!」
すると突然パッと目を開けた咲良は
僕を見て「えっ?」と言う表情で
「あー!相手が変わってる~!」
「何言ってんだよ、夢だよ夢!」
至近距離で僕が視界に入ったことに
驚きを隠せない様子で
「えーと…えぇっと…」
突然座り込んだ咲良は
何が起きているのか頭を整理しているようだ。
しばらくするとようやく酩酊状態から覚めたようで
「あっ!…そう言うこと?」
「そう言うことだよ」
「いい夢見てたのにな」
「すんごい声出してたよ、もう」
「ゲッ!マジで?変なこと言ってた?」
「はい、たくさん、ね」
「うわ、恥ずい恥ずい、もぅ!やだ!」
咲良に噛まれた僕の右手の甲には
くっきりと歯形が残っていた。
「うちさ…噛み癖があってね、、」
「酔っ払うと?」
「うぅん、アレの途中で…興奮すると、ね」
「ぶっ!じゃ、彼氏になると噛まれちゃうの?」
「そっ、良かったね、貴重な体験できて」
「噛まれ損だよ、まったく」
ー じゃ…
「イッカイ ヤットク?」
咲良はいたずらっぽい笑顔で僕にこう言った。
「遠慮しときます」
「ふふっ、だよねぇ、舞といつも…してるんでしょ?」
「・・・」
「え?もしかして…まだなの?」
長い夜はまだ始まったばかりだった。
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