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第06章. 夜中の3時のロマンチック
【訪問客は…】
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6月3日…有香と舞衣が僕の部屋を訪れてから
ちょうど1ヶ月くらい経った
ある土曜日の深夜の事だった。
テレビ放送も終わり
さあ寝ようかと思っていた夜中の3時頃
廊下に誰かの足音が響き渡った。
僕は2年になってから、この春卒業した渋谷さんがいた
2階の一番奥の部屋へ「引っ越し」をしていた
僕の部屋に到達するには長い廊下を歩き、
端まで来なくてはならない。
そしてその足音は止まらない。
「ん?俺のとこか?」
しばらくするとその足音は止まることなく
少しずつ下宿の2階の一番外れにある
僕の部屋まで近づいて来たかと思うと
いきなりドンドン、と強烈なノック。
「はいよー!起きてるよ!」
こんな時間にやって来るのはてっきり亮二だと思い
何の心の準備もなくドアを開けると
そこには有香が立っていた。
「ちょっと!ムラコウ聞いてよ!ここの管理人のババアってほんとにうるさいよね、私が何しに来ようと大きなお世話よ」
「いやいやいや、この時間にいきなり登場したら
フツー何か言うって!」
「今ね、玄関のドア開けたらババアが出てきてね、『何の用ですか?』っていきなり聞いてくるんだから!」
「そりゃ聞くよ、今何時かわかる?夜中の3時、
世の女の子は大抵寝てる時間だから、ね」
「そうかな? でね、私はそんな事言うために来たんじゃないんだよ」
「だったら何でまた?」
「ちょっと薮田さんに用事があったんだけど…」
「何じゃそりゃ?そんじゃ早く行って来れば?」
「今、薮田さん部屋にいないから、ムラコウのとこに来たってわけ」
「ってことは、別に俺に用事ある訳じゃないってこと?」
「でもムラコウには話さないといけない事があるんだって!」
「ってことは、やっぱり用事あるから来たんだろ?」
「そ!部屋の電気もついてたし、薮田さんの後で寄るつもりだった」
「『だった』のかー!で?何なの話って」
ここから『本題』に入るまで
有香の悩み相談が延々1時間近く続いた。
看護学校の実習先での愚痴だとか
女友達との些細な問題であるとか…
僕も人がいいのだろうか?
彼女の長話に最後まで付き合っていた。
そして有香はふと思い出したように
「あ、それでね、舞の事なんだけどさ」
「いきなりだなぁ。あ、舞ちゃんと言えば
この前、電話かけようとして・・・」
「そそっ!先週、うちらコンパしたわけよ」
「…俺の話、聞く気ない?」
「それでね、あんまり盛り上がらんくてさ、
私と美波と…舞も来てたんだけど、美波なんて途中で帰るし」
「帰った?ははは、それって『あり』なの?」
僕は"秘密"を共有している『美波』と言う名前に
過敏に反応しないよう敢えて軽くツッコミを入れてみた。
有香の顔色には変化はない。
「それでね、舞は結構声かけられてたね」
「あの娘ならそうだろうね、かわいいもんな
おしとやかで穏やかだし…誰かさんと違って」
「誰よ?」
「キミのことだよ、で、それで?」
「でもね、舞は全然誰にも取り合わないわけよ
舞を気に入ってて、熱心に声かけてくるムサい男がいたんだけど」
「その話、聞いてると何かちょっとムカつくなぁ
でもまあいいか、そいつは舞ちゃんの好みではなかった、と…言う…」
この時だった
有香は突然、僕の言葉を遮って驚くべき言葉を発した。
「違うよ!舞は『私にはコウイチくんが…』っ
言うわけ!君たちの関係は一体どうなってるの?」
「どうもこうも・・まだ何も」
「この前『コウイチくんと話したよ!』って嬉しそうに言ってたし、こんなんなら舞をコンパに連れて行かんけりゃよかった」
「お、俺?俺なの?原因は?」
どうもこの話が "本題" のようだ。
ちょうど1ヶ月くらい経った
ある土曜日の深夜の事だった。
テレビ放送も終わり
さあ寝ようかと思っていた夜中の3時頃
廊下に誰かの足音が響き渡った。
僕は2年になってから、この春卒業した渋谷さんがいた
2階の一番奥の部屋へ「引っ越し」をしていた
僕の部屋に到達するには長い廊下を歩き、
端まで来なくてはならない。
そしてその足音は止まらない。
「ん?俺のとこか?」
しばらくするとその足音は止まることなく
少しずつ下宿の2階の一番外れにある
僕の部屋まで近づいて来たかと思うと
いきなりドンドン、と強烈なノック。
「はいよー!起きてるよ!」
こんな時間にやって来るのはてっきり亮二だと思い
何の心の準備もなくドアを開けると
そこには有香が立っていた。
「ちょっと!ムラコウ聞いてよ!ここの管理人のババアってほんとにうるさいよね、私が何しに来ようと大きなお世話よ」
「いやいやいや、この時間にいきなり登場したら
フツー何か言うって!」
「今ね、玄関のドア開けたらババアが出てきてね、『何の用ですか?』っていきなり聞いてくるんだから!」
「そりゃ聞くよ、今何時かわかる?夜中の3時、
世の女の子は大抵寝てる時間だから、ね」
「そうかな? でね、私はそんな事言うために来たんじゃないんだよ」
「だったら何でまた?」
「ちょっと薮田さんに用事があったんだけど…」
「何じゃそりゃ?そんじゃ早く行って来れば?」
「今、薮田さん部屋にいないから、ムラコウのとこに来たってわけ」
「ってことは、別に俺に用事ある訳じゃないってこと?」
「でもムラコウには話さないといけない事があるんだって!」
「ってことは、やっぱり用事あるから来たんだろ?」
「そ!部屋の電気もついてたし、薮田さんの後で寄るつもりだった」
「『だった』のかー!で?何なの話って」
ここから『本題』に入るまで
有香の悩み相談が延々1時間近く続いた。
看護学校の実習先での愚痴だとか
女友達との些細な問題であるとか…
僕も人がいいのだろうか?
彼女の長話に最後まで付き合っていた。
そして有香はふと思い出したように
「あ、それでね、舞の事なんだけどさ」
「いきなりだなぁ。あ、舞ちゃんと言えば
この前、電話かけようとして・・・」
「そそっ!先週、うちらコンパしたわけよ」
「…俺の話、聞く気ない?」
「それでね、あんまり盛り上がらんくてさ、
私と美波と…舞も来てたんだけど、美波なんて途中で帰るし」
「帰った?ははは、それって『あり』なの?」
僕は"秘密"を共有している『美波』と言う名前に
過敏に反応しないよう敢えて軽くツッコミを入れてみた。
有香の顔色には変化はない。
「それでね、舞は結構声かけられてたね」
「あの娘ならそうだろうね、かわいいもんな
おしとやかで穏やかだし…誰かさんと違って」
「誰よ?」
「キミのことだよ、で、それで?」
「でもね、舞は全然誰にも取り合わないわけよ
舞を気に入ってて、熱心に声かけてくるムサい男がいたんだけど」
「その話、聞いてると何かちょっとムカつくなぁ
でもまあいいか、そいつは舞ちゃんの好みではなかった、と…言う…」
この時だった
有香は突然、僕の言葉を遮って驚くべき言葉を発した。
「違うよ!舞は『私にはコウイチくんが…』っ
言うわけ!君たちの関係は一体どうなってるの?」
「どうもこうも・・まだ何も」
「この前『コウイチくんと話したよ!』って嬉しそうに言ってたし、こんなんなら舞をコンパに連れて行かんけりゃよかった」
「お、俺?俺なの?原因は?」
どうもこの話が "本題" のようだ。
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