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第02章. 友達のまま
【運命の直前】
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僕の部屋一面に並んでいるCDたちを見て
美波は驚きを隠せなかったようだ。
「うわっ!すごーい、これどれでも借りていいの?」
「いいよ、返すのいつでもいいから」
「ふふっ、何かレンタル屋さんみたい」
「無料だけどね」
この日、美波に10枚ほどCDを貸した。
いずれ美波はCDを返しにくるだろう
それを理由にまた美波と会うことができる、
そんな浅はかな考えもあってのことだった。
「ムラコウ…ありがとう、またね!」
そう言うと美波は大きく両手を広げた。
拒む理由などなかった、おどけた表情で
僕の胸に飛び込んできた美波を軽く抱きしめた。
恋愛感情ではない、であろう…一人の女友達として
そして男友達としてひとつステップを昇った、
お互いそう感じてのごく自然な行為だった。
「じゃまたね!今日は楽しかった、ありがとう」
「うん、またね」
美波の車がウインカーを右に出し
帰っていくのを見送りながら思った
"またすぐに会えるだろう"
僕は安易に捉えていた。
しかし気まぐれな美波からはこの後
1ヶ月以上何の音沙汰もなく
再び美波と少しずつ疎遠になっていった。
連絡先も勤め先もわからないから
どうすることも出来なかったのだ。
学校帰りの有香にも美波の件で声をかけたが
美波からは何の連絡もない。
しばらく手元にCDが返ってこないことは
そんなに気にならない、
それよりもこの先の学園生活で有香と美波
この気まぐれな二人にこの先も
振り回されそうな予感が頭の中を駆け巡った
マイペースで自由人、だけどどこか憎めない
二人が二人ともその点ではよく似ていた。
うちの学生たちは看護学生を避けていたのではなく
あまりにも奔放すぎて
“手に負えなかった”だけ、だったのだろう。
そして僕と美波はこれからも男女でありながらこのように
" 友達のまま "
特に進展もなく関わっていくのだろう・・・
美波が渋谷さんから逃げるように突然訪ねてきてから
早くも2ヶ月が過ぎた、
真夏の太陽の下で有香や美波と出会い
やがてキャンパスの舗道は
すっかり赤や黄色の落ち葉で埋め尽くされ
季節はすっかり秋めいていた。
あの日以来、僕は美波の姿を見ていないし
当然ながらまだ貸しているCDも返されていない
刺激のないごくごく平凡な毎日を過ごしていた。
そんな中この先の僕の学園生活を大きく左右する出会いが
あまりにも唐突に訪れた。
それは学園祭のライブを数日後に控えた
11月初旬のある日の事だった。
バンドの練習を終えた僕が冷たい風に吹かれながら
一人でブラブラと下宿に向かっていると
下宿近くのレンタル屋の駐車場に
見覚えのある車が停まっていた。
「あ、あれ、有香の車じゃね?」
そう思いながら近づいてみると
確かにそこには有香がいた。
彼女は何人かの友達と一緒だった
看護学校のクラスメイトだろうか?
ここで有香に会うのは
僕にとって正に「渡りに舟」だった。
何故かと言えば学園祭ライブのチケットを
有香に託していたからだ。
何とかして売りさばいてみるって言ってくれていたので
売れ残りの分、10数枚を全て渡していた。
こう言う事を気兼ねなく頼めると言う点では
美波よりは有香の方が話しやすい、と言う感じだった。
「わっ!有香だっ、ちょうどいいところに!チ、チケットはどうだった?」
「あ、ムラコウ!チケットね、あんまり売れてなくて、ごめんねー」
「まあ売れんよね、そんなには」
平静を装いながらも僕はかなり泣きそうなくらい
財布の中身と気持ちに余裕がなくなっていた
なぜなら売れ残りのチケットは全て自己負担になる。
美波は驚きを隠せなかったようだ。
「うわっ!すごーい、これどれでも借りていいの?」
「いいよ、返すのいつでもいいから」
「ふふっ、何かレンタル屋さんみたい」
「無料だけどね」
この日、美波に10枚ほどCDを貸した。
いずれ美波はCDを返しにくるだろう
それを理由にまた美波と会うことができる、
そんな浅はかな考えもあってのことだった。
「ムラコウ…ありがとう、またね!」
そう言うと美波は大きく両手を広げた。
拒む理由などなかった、おどけた表情で
僕の胸に飛び込んできた美波を軽く抱きしめた。
恋愛感情ではない、であろう…一人の女友達として
そして男友達としてひとつステップを昇った、
お互いそう感じてのごく自然な行為だった。
「じゃまたね!今日は楽しかった、ありがとう」
「うん、またね」
美波の車がウインカーを右に出し
帰っていくのを見送りながら思った
"またすぐに会えるだろう"
僕は安易に捉えていた。
しかし気まぐれな美波からはこの後
1ヶ月以上何の音沙汰もなく
再び美波と少しずつ疎遠になっていった。
連絡先も勤め先もわからないから
どうすることも出来なかったのだ。
学校帰りの有香にも美波の件で声をかけたが
美波からは何の連絡もない。
しばらく手元にCDが返ってこないことは
そんなに気にならない、
それよりもこの先の学園生活で有香と美波
この気まぐれな二人にこの先も
振り回されそうな予感が頭の中を駆け巡った
マイペースで自由人、だけどどこか憎めない
二人が二人ともその点ではよく似ていた。
うちの学生たちは看護学生を避けていたのではなく
あまりにも奔放すぎて
“手に負えなかった”だけ、だったのだろう。
そして僕と美波はこれからも男女でありながらこのように
" 友達のまま "
特に進展もなく関わっていくのだろう・・・
美波が渋谷さんから逃げるように突然訪ねてきてから
早くも2ヶ月が過ぎた、
真夏の太陽の下で有香や美波と出会い
やがてキャンパスの舗道は
すっかり赤や黄色の落ち葉で埋め尽くされ
季節はすっかり秋めいていた。
あの日以来、僕は美波の姿を見ていないし
当然ながらまだ貸しているCDも返されていない
刺激のないごくごく平凡な毎日を過ごしていた。
そんな中この先の僕の学園生活を大きく左右する出会いが
あまりにも唐突に訪れた。
それは学園祭のライブを数日後に控えた
11月初旬のある日の事だった。
バンドの練習を終えた僕が冷たい風に吹かれながら
一人でブラブラと下宿に向かっていると
下宿近くのレンタル屋の駐車場に
見覚えのある車が停まっていた。
「あ、あれ、有香の車じゃね?」
そう思いながら近づいてみると
確かにそこには有香がいた。
彼女は何人かの友達と一緒だった
看護学校のクラスメイトだろうか?
ここで有香に会うのは
僕にとって正に「渡りに舟」だった。
何故かと言えば学園祭ライブのチケットを
有香に託していたからだ。
何とかして売りさばいてみるって言ってくれていたので
売れ残りの分、10数枚を全て渡していた。
こう言う事を気兼ねなく頼めると言う点では
美波よりは有香の方が話しやすい、と言う感じだった。
「わっ!有香だっ、ちょうどいいところに!チ、チケットはどうだった?」
「あ、ムラコウ!チケットね、あんまり売れてなくて、ごめんねー」
「まあ売れんよね、そんなには」
平静を装いながらも僕はかなり泣きそうなくらい
財布の中身と気持ちに余裕がなくなっていた
なぜなら売れ残りのチケットは全て自己負担になる。
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