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Act 6. ふたりでひとり

【高村 光】

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「どした?煌子、もう時間が来たのか?行ってしまうのか?」

「うん…やっと元の場所に戻れるよ」

「こっこのとこ?」

「そう、これからは皓子ちゃんの体、って言うか
元々、あの娘の心の中にアタシは存在してるから」

「わかった、煌子のこと、忘れないからな!」

「うん…」

少しずつ煌子の声が小さくなっていく、
画面越しに見えるその姿も少しぼやけ始めた。


「最後に…ひ…とつだけ・・・聞きたいの」

「何?」

「アタシと会えて…よかった?」

「当たり前じゃないか、煌子が来てくれたからこの話は完結したんだよ!」

「そっかぁ、よかった…そう言ってもらえてよかったよ」

「またいつでも来ていいから」

「うん、ありがと、嬉しいよ」


ーでもね

アタシはもうあんたのとこには行けないんだ

アタシはこれからは皓子ちゃんの心の中からしか
あんたを見ることが出来ないの

「それじゃ、煌子に会いたくなったらこっこのとこに行くから」

「うん、アタシはいつでも…あんたのこと見てるから、例えあんたがアタシに気付かなくっても」

「うん、わかるよ、絶対にわかる」


だから・・・どんなに辛い時でも
どんなに悲しいことがあっても

アタシは…アタシだけは

あんたの近くにいるから、いつでも応援してるからね

だってあんたはアタシを生み出してくれた
大切なひとだから・・・

「そう…だね、オレが生みの親、作者だもんな」

「いつでも…そう…いつでも皓子ちゃんの体を通してあんたのこと・・・」

「煌子!まだ行くなよ!」

幼い子供が駄々をこねるように冷静さを失った
私をあやすように煌子は静かに話し始めた。
 

ー ねえ、聞いて


「この先ね、近い将来この世界に"暗闇" が訪れても、絶対に負けないで…希望は捨てないで」

「大丈夫だよ、オレは…だから煌子も元気で・・・」

「うん、ありがと・・・タカムラ」


えっ?

タカムラって?

煌子は"高村コウ"のモデルが
"あの頃の私"だったことを知っていたのか?

いや、彼女こそ…

そうだ、間違いない

そうか、だから小説の内容だけでなく
"過去の現実"を知ってたのか?
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