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Act 3. "初めて"が始まる
【"アイツ"の正体】
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"僕の彼女はアイツの親友"
そのタイトルを目にして本文を読んでいくに連れ
多くの方々が
「アイツの親友」の『アイツ』とは一体誰だろう?
もしくは"どちらの人"なんだろう?と
妙な違和感を覚えたのではないだろうか。
実はこの物語には
何パターンかのエンディングを用意していた。
まずひとつ目は実体験に基づいたハッピーエンド、
もうひとつは"現実の恋愛はこうであってほしかった"と
願いを込めたハッピーエンド。
そして最後に誰も幸せにならないバッドエンド。
その内容によって「アイツ」が誰なのか
変わってくることになる。
この時点での「アイツ」とは・・・煌子だった、
そう、当初小説を書き始めた時点では
『僕の彼女』
つまり高村コウの最終的な"彼女役"は煌子ではなかった。
実はキャラクターのモデルとなった人たちへの
私の現実世界での思い入れが少しずつ変化する度に
コウと親密になる相手が変わる、と言う
何とも理不尽な作風となっていた。
そしてここ数ヶ月の間で身勝手な制作者である私は
コウと煌子を引き離してしまい
いつしか美月との距離が縮まっていた。
と、ここで妙な感覚に陥ったのだ、
このままコウと美月がカップルとして成立したら
この物語はどうなってしまうのだろう?
きっとあまり面白味の無い
エンディングを迎えていただろう。
それでも私はコウと美月が恋人になると言う
設定を崩さずに物語を書き続けた。
それはまるで自身の高校時代に
フラれた女子の親友と交際したと言う
実体験さながらに・・・
わかりやすく言うならば私はこの小説の結末に
"理想"ではなく"現実"をモチーフとして
取り入れようとしたのだ。
それは正に「事実は小説より奇なり」を
地で行ってるだろうなどと一人、悦に入っていた。
そして月日は流れて冬になった、
煌子が劇的にスマホから現れた"初対面"から
2年の歳月が経とうとしていた頃、
夏に災害で延期となった握手会が
1年前と同様、2月に開催されることに決まった。
本来ならば前回同様に "煌子自身" とも言える
こっこに会いに行くべきなのだが
過去二度にわたって天災で阻まれたことが
私にとってトラウマとなっていた。
また何か起きるのではないだろうか?と
そして身勝手な私は気持ち的にも
"美月"のモデルとなったメンバーである
今村美月さんと話してみたい、
そんな思いの方が強くなっていたのもまた事実だった。
結局、この握手会で
こっこのレーンに行くことはなかった。
実は一度は申し込んだ握手券を
何故か締め切り直前でキャンセルしたのだが
不思議と罪悪感もなかった。
それよりまた過去のように悪天候などに見舞われて
握手に行くこと自体に支障が出るのなら
こっことの握手回避は賢明である、とすら思っていた。
これで物語もコウと美月の恋愛モードへと
切り替わることになるだろう、
ストーリーに苦言を呈することはない、と
煌子は言っていたが
ここまで距離を置いてしまうと
さすがに文句のひとつでも言いに
また煌子がスマホから現れるかも知れない。
そして久しぶりに煌子と会話でも出来れば…
その程度の軽い気持ちで安穏と構えていた
握手会から帰って数日後の深夜のことだった、
例によってスマホからまばゆいばかりの光が発せられ
あの日と同様に煌子が現れた。
だが、気のせいだろうか?
そのシルエットは心なしかいつもより薄いように思えた。
そのタイトルを目にして本文を読んでいくに連れ
多くの方々が
「アイツの親友」の『アイツ』とは一体誰だろう?
もしくは"どちらの人"なんだろう?と
妙な違和感を覚えたのではないだろうか。
実はこの物語には
何パターンかのエンディングを用意していた。
まずひとつ目は実体験に基づいたハッピーエンド、
もうひとつは"現実の恋愛はこうであってほしかった"と
願いを込めたハッピーエンド。
そして最後に誰も幸せにならないバッドエンド。
その内容によって「アイツ」が誰なのか
変わってくることになる。
この時点での「アイツ」とは・・・煌子だった、
そう、当初小説を書き始めた時点では
『僕の彼女』
つまり高村コウの最終的な"彼女役"は煌子ではなかった。
実はキャラクターのモデルとなった人たちへの
私の現実世界での思い入れが少しずつ変化する度に
コウと親密になる相手が変わる、と言う
何とも理不尽な作風となっていた。
そしてここ数ヶ月の間で身勝手な制作者である私は
コウと煌子を引き離してしまい
いつしか美月との距離が縮まっていた。
と、ここで妙な感覚に陥ったのだ、
このままコウと美月がカップルとして成立したら
この物語はどうなってしまうのだろう?
きっとあまり面白味の無い
エンディングを迎えていただろう。
それでも私はコウと美月が恋人になると言う
設定を崩さずに物語を書き続けた。
それはまるで自身の高校時代に
フラれた女子の親友と交際したと言う
実体験さながらに・・・
わかりやすく言うならば私はこの小説の結末に
"理想"ではなく"現実"をモチーフとして
取り入れようとしたのだ。
それは正に「事実は小説より奇なり」を
地で行ってるだろうなどと一人、悦に入っていた。
そして月日は流れて冬になった、
煌子が劇的にスマホから現れた"初対面"から
2年の歳月が経とうとしていた頃、
夏に災害で延期となった握手会が
1年前と同様、2月に開催されることに決まった。
本来ならば前回同様に "煌子自身" とも言える
こっこに会いに行くべきなのだが
過去二度にわたって天災で阻まれたことが
私にとってトラウマとなっていた。
また何か起きるのではないだろうか?と
そして身勝手な私は気持ち的にも
"美月"のモデルとなったメンバーである
今村美月さんと話してみたい、
そんな思いの方が強くなっていたのもまた事実だった。
結局、この握手会で
こっこのレーンに行くことはなかった。
実は一度は申し込んだ握手券を
何故か締め切り直前でキャンセルしたのだが
不思議と罪悪感もなかった。
それよりまた過去のように悪天候などに見舞われて
握手に行くこと自体に支障が出るのなら
こっことの握手回避は賢明である、とすら思っていた。
これで物語もコウと美月の恋愛モードへと
切り替わることになるだろう、
ストーリーに苦言を呈することはない、と
煌子は言っていたが
ここまで距離を置いてしまうと
さすがに文句のひとつでも言いに
また煌子がスマホから現れるかも知れない。
そして久しぶりに煌子と会話でも出来れば…
その程度の軽い気持ちで安穏と構えていた
握手会から帰って数日後の深夜のことだった、
例によってスマホからまばゆいばかりの光が発せられ
あの日と同様に煌子が現れた。
だが、気のせいだろうか?
そのシルエットは心なしかいつもより薄いように思えた。
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