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Act 2. 塩対応の田中さん
【杞憂と現実】
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この街は比較的、温暖な地域であるにも関わらず
夜半からしんしんと大粒の雪が降り始めていたのだ。
まさか、そんなことないよな?
初めて彼女の動画を観に行った時から薄々感じていた、
もしかして・・・
避けられているのではないか、と。
こっこは私が"煌子を生み出した作者"だと知っていて
彼女と関わりを持つことで
時系列やその歴史に何かしらの問題が発生するため
周りの誰からも気づかれないように
私からのアプローチをやんわりとスルーしている?
今回はこうして表向きはあくまで"悪天候"と言う形で
私と会うことを拒もうとしているのではないか?
動画配信のコメントが半年通い続けて
一度しか読まれていないのもそんな理由からなのでは?
いやいや、さすがにそんなことはないだろう
だとすれば、先天的に私とは縁がないのか?
ならば「会いに行ってみない?」と言った
煌子の言葉の真意はただの冷やかしだったのか?
私はもしかしたら出発前日に煌子が現れて
何かしらの策を与えてくれるのでは?と
淡い期待を抱いたが、彼女が現れることはなかった。
とにもかくにも出発は明日の午前9時半
今は天気の回復を待つしかない。
翌朝、早々にバス会社へ確認すると
このような悪天候ながら
何と!私の乗る便だけが奇跡的に運行されるらしい、
やはり全ては杞憂だったようだ、
むしろ事態は好転しているようにすら思えた。
大雪の影響で到着が遅れることは懸念されるが
これで無事、こっこと会うことが出来る…
この時はまだそう楽観視していた。
そして握手会の会場に着いた私は
しばし呆然とその場に立ち尽くしていた、
やはり杞憂は杞憂で終わらなかったのだ。
大雪の影響は予想を遥かに上回り、
バスは定刻から2時間遅れの到着
大慌てで会場に駆け込んだものの
既に私が購入した握手券、
5部のこっこの握手会は既に終了していた。
次の最終部、こっこは撮影会のため
通常の握手券は使えない
ただの紙切れにしてしまうには
あまりにももったいない、となるわけだが
ここは裏技、実はこの未使用の握手券
振り替えが出来るメンバーが存在する、
"推し増し"と言うシステム。
いわゆる長蛇の列にならないメンバーに限り
当日、握手開始から30分経過すれば
どのメンバーとでも握手が可能となる。
その中には僕がこっこ以外にも
動画を観ていたメンバーがいたので
意を決して行ったみたところ
何と彼女は僕の名前を知っていた。
握手対応は爽やかで好印象、そんなこともあって彼女は
「僕の彼女はアイツの親友」の中で後半、
主人公を補佐する重要なポジションとなる
あるキャラクターとして登場させることに決めた。
本来の目的だった煌子…もといこっことの会話は
出来ずに終わってしまったが実はこんな収穫もあった。
今回、こっこと話すことは叶わなかったが
そもそもこれは私が執筆活動を再開させるための
きっかけに過ぎない、
そう思えばさほど落胆する事象ではない。
こうして私は少しだけ手応えを掴んで形で
ひとつのイベントを終えることとなった。
夜半からしんしんと大粒の雪が降り始めていたのだ。
まさか、そんなことないよな?
初めて彼女の動画を観に行った時から薄々感じていた、
もしかして・・・
避けられているのではないか、と。
こっこは私が"煌子を生み出した作者"だと知っていて
彼女と関わりを持つことで
時系列やその歴史に何かしらの問題が発生するため
周りの誰からも気づかれないように
私からのアプローチをやんわりとスルーしている?
今回はこうして表向きはあくまで"悪天候"と言う形で
私と会うことを拒もうとしているのではないか?
動画配信のコメントが半年通い続けて
一度しか読まれていないのもそんな理由からなのでは?
いやいや、さすがにそんなことはないだろう
だとすれば、先天的に私とは縁がないのか?
ならば「会いに行ってみない?」と言った
煌子の言葉の真意はただの冷やかしだったのか?
私はもしかしたら出発前日に煌子が現れて
何かしらの策を与えてくれるのでは?と
淡い期待を抱いたが、彼女が現れることはなかった。
とにもかくにも出発は明日の午前9時半
今は天気の回復を待つしかない。
翌朝、早々にバス会社へ確認すると
このような悪天候ながら
何と!私の乗る便だけが奇跡的に運行されるらしい、
やはり全ては杞憂だったようだ、
むしろ事態は好転しているようにすら思えた。
大雪の影響で到着が遅れることは懸念されるが
これで無事、こっこと会うことが出来る…
この時はまだそう楽観視していた。
そして握手会の会場に着いた私は
しばし呆然とその場に立ち尽くしていた、
やはり杞憂は杞憂で終わらなかったのだ。
大雪の影響は予想を遥かに上回り、
バスは定刻から2時間遅れの到着
大慌てで会場に駆け込んだものの
既に私が購入した握手券、
5部のこっこの握手会は既に終了していた。
次の最終部、こっこは撮影会のため
通常の握手券は使えない
ただの紙切れにしてしまうには
あまりにももったいない、となるわけだが
ここは裏技、実はこの未使用の握手券
振り替えが出来るメンバーが存在する、
"推し増し"と言うシステム。
いわゆる長蛇の列にならないメンバーに限り
当日、握手開始から30分経過すれば
どのメンバーとでも握手が可能となる。
その中には僕がこっこ以外にも
動画を観ていたメンバーがいたので
意を決して行ったみたところ
何と彼女は僕の名前を知っていた。
握手対応は爽やかで好印象、そんなこともあって彼女は
「僕の彼女はアイツの親友」の中で後半、
主人公を補佐する重要なポジションとなる
あるキャラクターとして登場させることに決めた。
本来の目的だった煌子…もといこっことの会話は
出来ずに終わってしまったが実はこんな収穫もあった。
今回、こっこと話すことは叶わなかったが
そもそもこれは私が執筆活動を再開させるための
きっかけに過ぎない、
そう思えばさほど落胆する事象ではない。
こうして私は少しだけ手応えを掴んで形で
ひとつのイベントを終えることとなった。
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