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迷い
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窓の外が橙色の染まり、そろそろゆきが現れるだろう時間になった。
何気なく指輪のあった場所を見ると、そこにはなにも存在しない……
なぜ……?
立ち上がり、歩き出すと何かを蹴飛ばした。
ころころと転がるそれは、破損のないサファイアの指輪だった……
「驚く必要などないでしょう?」
ゆきの声が背後からした。
ゆきはベッドに腰かけて、悪意の見える笑みを見せた。
「今の僕達には実体がないって、うすうす気が付いているのでしょう?
魂だけだからこそ、純粋な気持ちで快楽を求められるし、命を奪おうと思えば簡単に奪える。
どうする? 命乞いをするなら今だよ。
あなたは最後の一人だからね。僕の憎む一族の、最後の一人……」
残酷な言葉を吐いていてさえ、ゆきは美しかった……
いや、残酷であればあるほど、ゆきは美しさを増していく……
道夫は指輪を拾い上げると、左手の薬指に嵌めた。
「命乞いなどしない。俺をお前の好きにすればいい」
左手を上げ、指輪を見せる。
誓いの指に嵌めた指輪。ゆきは意味を理解したらしく、笑った。
「ばかだね、あなたは……」
ゆきは足音もなく道夫に向かってくる。
道夫はゆきを乱暴に引き寄せると、強く抱きしめた……
窓枠に腕をつき、体を預け、ゆきは背後から道夫に突かれながら声を響かせる。
月のない闇夜は窓ガラスを鏡に変え、快楽に溺れるゆきの顔を映し出した。
美しいと思った……快楽に溺れる様も、道夫に敵意を向ける時も、子供のような表情も……
時々手を前に回し、更に快楽を与える……細めた目瞼の向こうに光るサファイアの瞳……
冷たい青が涙に濡れている……道夫を惹き付けて止まない青い瞳……
自分の感情すら理解できなかった……
今、ゆきに命を委ねようとしている理由が……
ゆきを苦しめた曾祖父の代わりに詫びたいのか、ゆきと共に滅びたいのか、ゆきを誰にも奪われたくないのか……
道夫は一人達すると、ゆきから体を離した。
ゆきを自分に向かせると、口づける……何度も何度も……
そうして、体を沈めるとそれを口に含んだ。
吸い上げる度、舐め上げる度漏れる嬌声が鼓膜を震わせる……
髪に絡められたゆきの指に、強く力が加わり、今にも泣きだしそうな声が聞こえた……
口の中に吐き出されたものを飲み下すと、指の背で口元を拭いながら仰向いた。
「俺を連れていけ、ゆき……」
さっきまでの乱れた様子はどこへやら、ゆきは冷たい瞳を道夫に向け、無表情のまま手を首に宛がった……
「俺はお前を離しやしないから……」
力を加えられ、息が苦しくなる……
意識がゆっくりと遠ざかるなか、迷いの光がサファイアの瞳に見えた……
何気なく指輪のあった場所を見ると、そこにはなにも存在しない……
なぜ……?
立ち上がり、歩き出すと何かを蹴飛ばした。
ころころと転がるそれは、破損のないサファイアの指輪だった……
「驚く必要などないでしょう?」
ゆきの声が背後からした。
ゆきはベッドに腰かけて、悪意の見える笑みを見せた。
「今の僕達には実体がないって、うすうす気が付いているのでしょう?
魂だけだからこそ、純粋な気持ちで快楽を求められるし、命を奪おうと思えば簡単に奪える。
どうする? 命乞いをするなら今だよ。
あなたは最後の一人だからね。僕の憎む一族の、最後の一人……」
残酷な言葉を吐いていてさえ、ゆきは美しかった……
いや、残酷であればあるほど、ゆきは美しさを増していく……
道夫は指輪を拾い上げると、左手の薬指に嵌めた。
「命乞いなどしない。俺をお前の好きにすればいい」
左手を上げ、指輪を見せる。
誓いの指に嵌めた指輪。ゆきは意味を理解したらしく、笑った。
「ばかだね、あなたは……」
ゆきは足音もなく道夫に向かってくる。
道夫はゆきを乱暴に引き寄せると、強く抱きしめた……
窓枠に腕をつき、体を預け、ゆきは背後から道夫に突かれながら声を響かせる。
月のない闇夜は窓ガラスを鏡に変え、快楽に溺れるゆきの顔を映し出した。
美しいと思った……快楽に溺れる様も、道夫に敵意を向ける時も、子供のような表情も……
時々手を前に回し、更に快楽を与える……細めた目瞼の向こうに光るサファイアの瞳……
冷たい青が涙に濡れている……道夫を惹き付けて止まない青い瞳……
自分の感情すら理解できなかった……
今、ゆきに命を委ねようとしている理由が……
ゆきを苦しめた曾祖父の代わりに詫びたいのか、ゆきと共に滅びたいのか、ゆきを誰にも奪われたくないのか……
道夫は一人達すると、ゆきから体を離した。
ゆきを自分に向かせると、口づける……何度も何度も……
そうして、体を沈めるとそれを口に含んだ。
吸い上げる度、舐め上げる度漏れる嬌声が鼓膜を震わせる……
髪に絡められたゆきの指に、強く力が加わり、今にも泣きだしそうな声が聞こえた……
口の中に吐き出されたものを飲み下すと、指の背で口元を拭いながら仰向いた。
「俺を連れていけ、ゆき……」
さっきまでの乱れた様子はどこへやら、ゆきは冷たい瞳を道夫に向け、無表情のまま手を首に宛がった……
「俺はお前を離しやしないから……」
力を加えられ、息が苦しくなる……
意識がゆっくりと遠ざかるなか、迷いの光がサファイアの瞳に見えた……
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