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chapter2
step.18-4 紙と水
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コータくんさんは、棚から漫画を取り出すとソファに腰掛けた。
いくらお客さんがいないとはいえ、堂々とサボり過ぎではなかろうか。
「あ、あの、暇な今のうちに仕事教えて貰いたいんですけど」
おずおずと声を掛ければ、彼は面倒そうに店先を指さした。
「来たお客さんから、そこのメニューにある金額貰って、金はキャッシュボックスに突っ込んどいてください。以上です。あ、おつりはこれ使って」
投げよこしたビニールの小分け袋を、僕はあたふたと受け取った。そこには小銭と千円札が乱雑に入っている。
「……レジはないんですか?」
「あんたがレジになるんだよ」
「れ……レジに……」
僕は店先のフレーバーの缶などが並ぶスペースの椅子に座った。
メニューを確認する。基本的にかかるのはチャージ代と、水タバコ代のふたつ。
水タバコはふたりでひとつをシェア出来るみたいだ。
ジュースも売っていたが持ち込みは自由とあった。……これでどうやって売り上げを出しているんだろう。
「お客さん来ませんね……」
「大丈夫、大丈夫。そのうち来るから」
ポツリと呟いた僕に、コータくんさんが応える。
「そういうものですか」
彼は、さっきまで僕と類さんが座っていたソファに寝転がって漫画を読んでいた。どこからどう見ても家でくつろぐ人である。
僕はぼんやり通りを眺めた。
やることがない。
これ、僕が来る必要あったのか……?
「あ、そだ。メガネくんは腕力に自信ある人?」
「いえ、全く」
コータくんさんの問いに首を振る。
「じゃあ、今日はお酒くれって言われても出さないでください。店内で暴れられてもつまみ出せないんで」
「わ、わかりました」
17時を回ってやっと、彼の言う通りちょこちょことお客さんが入ってきた。
「い、いらっしゃいませ」
「あれ? 新人? いつものバイトは?」
「夜に来るって聞いてます。僕は代理です」
「そうなんだ」
お客さんはみんな気さくだった。
垣根がないというか、いい意味で適当というか……
常連なのか、みんな案内も不要でそれぞれ好きな席に座っていく。
パソコンを開く人、ボードゲームを始める人、なんだか淫らな雰囲気で肩を寄せ合うカップル……煙をくゆらせながら過ごす方法はさまざまだ。
漫画を切り上げたコータくんさんだったが、お客さんが入っても相変わらずダルい感じだった。
「今日、何にします?」
「オススメなに?」
「面白いの入ったんすよ。ドリアンっす」
「それ絶対マズいヤツだろ」
彼の投げやりな営業を、お客さんが気にした様子はない。
気がつけば、あっという間に店内は満席になっていた。
さすがにコータくんさんも忙しげに動いている。
「あの、僕も何か手伝えることありますか?」
「ないっすよー」
彼は炭を焼きながら応える。
「そうですか……」
「ってーか、レジやって貰えてマジ助かってますんで」
金銭のやり取りが終わると、ほぼレジ係はやることがない。
掃除とか、片付けとかしようとしたら、止められてしまったし。
正直なところ、これならひとりでもお店を回せるだろう。
「あんまり役に立っているように思えないんですけど……」
「いやいや、そんなことねーっす。僕ね、レジ打てないから」
「打てない?」
「うん。精神的に。ほら、もしお金チョロまかしたりしたら事でしょ」
コータくんさんが大仰に肩を竦めてみせる。
「チョロまかすつもりが……?」
「ないっすよ。でも、魔は差すかもしれない。したら、人生おしまいっすからね。だから、危ういことはしないんです」
……色んな価値観があるみたいだ。
やがて、ピーク時を過ぎる頃。
「……ふぅ。少し手も空いたことですし……ちょっとスロット打ってきます」
コータくんさんは、「ちょっと一服してきます」というノリでそんなことを言った。
「えっ!? 今、仕事中なのに!?」
手が空いたとは言え、新しいお客さんが来るかもしれない。それがなくとも、今いるお客さんの炭を替えなきゃならない。
専門知識のない僕ではできない仕事内容だ。
「さ、さすがにスロットはダメでは……」
恐る恐る進言すれば、コータくんさんはやれやれと頭をかいた。
「これ、見て下さい」
次いで、彼は僕に携帯を差し出した。
ディスプレイには満面の笑みをたたえる5、6歳の少女が映っている。
僕は小首を傾げた。
「? 女の子?」
「可愛いでしょ。僕の娘です」
「え!?」
「高校の時に彼女が妊娠して」
と、彼は身振り手振りで膨らんだお腹を表すようにした。
「結婚しよーって言ったんですけどね。僕と結婚するくらいなら死ぬって振られちゃって。で、養育費だけ払ってるんです」
「そ、そうなんだ……」
「なので、ここのバイトだけだと金足りねんすわ。ーーそういうわけで、稼いできます」
スロットで? という疑問は脇に置き、僕は彼の腕を掴んだ。
「で、でも、炭の交換とかあるじゃないですかっ……僕、できませんよっ!?」
「問題ないっすよ。困った時はお互い様っていうでしょ。あんたがあたふたしてたら、ここにいる誰かがやってくれます」
「誰かって……お客さんにやらせるんですか!?」
「他に誰がいるんすか」と、彼はキョトンとする。
「いえ、そういうことじゃなくてですね……」
言葉を探しているうちに、彼はさっさと店を出て行ってしまう。
取り残された僕は立ち尽くした。
ど、どうしよう……炭の焼き方とか設置の仕方とか、ちゃんと質問して教えて貰うべきだった。
……しかし、その後は本当にお客さんが何とかしてくれた。
話を聞けば、常連さんの一部は自宅でもシーシャを楽しんでいるらしく、炭の交換もタバコの準備もお手のものなのだそうだ。
そして彼らは、ニャン太さんやコータさんにここで作り方を教わっているらしく、店の機材の使い方も完璧にマスターしていた。
お客さんから炭の焼き方や、フレーバーの用意の仕方を教えて貰いながら、僕は商売ってなんだっけ、と思う。
今日はカルチャーショックの連続だ……
いくらお客さんがいないとはいえ、堂々とサボり過ぎではなかろうか。
「あ、あの、暇な今のうちに仕事教えて貰いたいんですけど」
おずおずと声を掛ければ、彼は面倒そうに店先を指さした。
「来たお客さんから、そこのメニューにある金額貰って、金はキャッシュボックスに突っ込んどいてください。以上です。あ、おつりはこれ使って」
投げよこしたビニールの小分け袋を、僕はあたふたと受け取った。そこには小銭と千円札が乱雑に入っている。
「……レジはないんですか?」
「あんたがレジになるんだよ」
「れ……レジに……」
僕は店先のフレーバーの缶などが並ぶスペースの椅子に座った。
メニューを確認する。基本的にかかるのはチャージ代と、水タバコ代のふたつ。
水タバコはふたりでひとつをシェア出来るみたいだ。
ジュースも売っていたが持ち込みは自由とあった。……これでどうやって売り上げを出しているんだろう。
「お客さん来ませんね……」
「大丈夫、大丈夫。そのうち来るから」
ポツリと呟いた僕に、コータくんさんが応える。
「そういうものですか」
彼は、さっきまで僕と類さんが座っていたソファに寝転がって漫画を読んでいた。どこからどう見ても家でくつろぐ人である。
僕はぼんやり通りを眺めた。
やることがない。
これ、僕が来る必要あったのか……?
「あ、そだ。メガネくんは腕力に自信ある人?」
「いえ、全く」
コータくんさんの問いに首を振る。
「じゃあ、今日はお酒くれって言われても出さないでください。店内で暴れられてもつまみ出せないんで」
「わ、わかりました」
17時を回ってやっと、彼の言う通りちょこちょことお客さんが入ってきた。
「い、いらっしゃいませ」
「あれ? 新人? いつものバイトは?」
「夜に来るって聞いてます。僕は代理です」
「そうなんだ」
お客さんはみんな気さくだった。
垣根がないというか、いい意味で適当というか……
常連なのか、みんな案内も不要でそれぞれ好きな席に座っていく。
パソコンを開く人、ボードゲームを始める人、なんだか淫らな雰囲気で肩を寄せ合うカップル……煙をくゆらせながら過ごす方法はさまざまだ。
漫画を切り上げたコータくんさんだったが、お客さんが入っても相変わらずダルい感じだった。
「今日、何にします?」
「オススメなに?」
「面白いの入ったんすよ。ドリアンっす」
「それ絶対マズいヤツだろ」
彼の投げやりな営業を、お客さんが気にした様子はない。
気がつけば、あっという間に店内は満席になっていた。
さすがにコータくんさんも忙しげに動いている。
「あの、僕も何か手伝えることありますか?」
「ないっすよー」
彼は炭を焼きながら応える。
「そうですか……」
「ってーか、レジやって貰えてマジ助かってますんで」
金銭のやり取りが終わると、ほぼレジ係はやることがない。
掃除とか、片付けとかしようとしたら、止められてしまったし。
正直なところ、これならひとりでもお店を回せるだろう。
「あんまり役に立っているように思えないんですけど……」
「いやいや、そんなことねーっす。僕ね、レジ打てないから」
「打てない?」
「うん。精神的に。ほら、もしお金チョロまかしたりしたら事でしょ」
コータくんさんが大仰に肩を竦めてみせる。
「チョロまかすつもりが……?」
「ないっすよ。でも、魔は差すかもしれない。したら、人生おしまいっすからね。だから、危ういことはしないんです」
……色んな価値観があるみたいだ。
やがて、ピーク時を過ぎる頃。
「……ふぅ。少し手も空いたことですし……ちょっとスロット打ってきます」
コータくんさんは、「ちょっと一服してきます」というノリでそんなことを言った。
「えっ!? 今、仕事中なのに!?」
手が空いたとは言え、新しいお客さんが来るかもしれない。それがなくとも、今いるお客さんの炭を替えなきゃならない。
専門知識のない僕ではできない仕事内容だ。
「さ、さすがにスロットはダメでは……」
恐る恐る進言すれば、コータくんさんはやれやれと頭をかいた。
「これ、見て下さい」
次いで、彼は僕に携帯を差し出した。
ディスプレイには満面の笑みをたたえる5、6歳の少女が映っている。
僕は小首を傾げた。
「? 女の子?」
「可愛いでしょ。僕の娘です」
「え!?」
「高校の時に彼女が妊娠して」
と、彼は身振り手振りで膨らんだお腹を表すようにした。
「結婚しよーって言ったんですけどね。僕と結婚するくらいなら死ぬって振られちゃって。で、養育費だけ払ってるんです」
「そ、そうなんだ……」
「なので、ここのバイトだけだと金足りねんすわ。ーーそういうわけで、稼いできます」
スロットで? という疑問は脇に置き、僕は彼の腕を掴んだ。
「で、でも、炭の交換とかあるじゃないですかっ……僕、できませんよっ!?」
「問題ないっすよ。困った時はお互い様っていうでしょ。あんたがあたふたしてたら、ここにいる誰かがやってくれます」
「誰かって……お客さんにやらせるんですか!?」
「他に誰がいるんすか」と、彼はキョトンとする。
「いえ、そういうことじゃなくてですね……」
言葉を探しているうちに、彼はさっさと店を出て行ってしまう。
取り残された僕は立ち尽くした。
ど、どうしよう……炭の焼き方とか設置の仕方とか、ちゃんと質問して教えて貰うべきだった。
……しかし、その後は本当にお客さんが何とかしてくれた。
話を聞けば、常連さんの一部は自宅でもシーシャを楽しんでいるらしく、炭の交換もタバコの準備もお手のものなのだそうだ。
そして彼らは、ニャン太さんやコータさんにここで作り方を教わっているらしく、店の機材の使い方も完璧にマスターしていた。
お客さんから炭の焼き方や、フレーバーの用意の仕方を教えて貰いながら、僕は商売ってなんだっけ、と思う。
今日はカルチャーショックの連続だ……
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