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chapter2
step.16 ホラーとヤモリ
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塾の夏期講習が終わった。
大学は9月いっぱい休みなので、8月に比べたらずっと時間に余裕ができた……ということもなく、修論の資料集めに、就活に、と目まぐるしい毎日だ。
ちなみに運動も始めた。類さんに頼られるような逞しい男になりたいと思ったからだ。毎日たったの5キロしか走っていないが、そのせいで足が筋肉痛だった。
そんなある週末の夜。
「なぁ、映画観ねぇ?」
夕食後のまったりした時間をみんなで過ごしていると、類さんがレンタルショップの袋を手にやってきた。
「はーい、観る観る!」
僕の太股を枕にソファで寝転がっていたニャン太さんが勢いよく身体を起こす。
帝人さんは読んでいた本をパタリと閉じた。
「構わないけど……何を観るの?」
「ホラ-映画」
「ホラー……?」
ソウさんが神経質そうに眉を震わせる。
「夏の締めにはもってこいだろ?」
「もう9月だけど」と帝人さん。
「細けぇことはいーんだよ」
それに類さんは肩を揺らして笑うと、僕に意味ありげな目線を投げてきた。
実家に帰った時に話したことを覚えていてくれたのだと気付いて、こそばゆい気持ちになる。
「でも、どーしてわざわざレンタル?」
ニャン太さんが小首を傾げる。
「ちょっとマイナーなの借りてきたんだよ。観てるヤツがいないタイトルのが新鮮でいいだろ? あ、もちろん面白いのチョイスしたから安心しろ」
「ちょっと待ってよ。その言い方だと……類はそれ、もう観てるってこと?」
「そ。でも、観たの結構前だし、『ヤバイ怖い』って感想以外、全然覚えてねぇから大丈夫」
それは大丈夫って言えるんだろうか?
僕は、きゅっと唇を引き結んだ。
少なくとも怖がりな僕にとっては大丈夫じゃなさそうだ。
「じゃ、ボク、下に買い出し行ってくるね! コーラと……他に何か買ってきて欲しいものある?」
「アイス」と、すかさず類さん。
「いつものね~。オッケー!」
「僕も行きます。荷物持ちますよ」
バタバタと足音高く部屋を出ていくニャン太さんを僕は慌てて追いかける。
「デンデン、やーさしー♪ ありあり~」
サンダルをつっかけ、マンション下のコンビニへ。
僕らが買い出しから戻ると、さっそく上映会が始まった。
大学は9月いっぱい休みなので、8月に比べたらずっと時間に余裕ができた……ということもなく、修論の資料集めに、就活に、と目まぐるしい毎日だ。
ちなみに運動も始めた。類さんに頼られるような逞しい男になりたいと思ったからだ。毎日たったの5キロしか走っていないが、そのせいで足が筋肉痛だった。
そんなある週末の夜。
「なぁ、映画観ねぇ?」
夕食後のまったりした時間をみんなで過ごしていると、類さんがレンタルショップの袋を手にやってきた。
「はーい、観る観る!」
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帝人さんは読んでいた本をパタリと閉じた。
「構わないけど……何を観るの?」
「ホラ-映画」
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「夏の締めにはもってこいだろ?」
「もう9月だけど」と帝人さん。
「細けぇことはいーんだよ」
それに類さんは肩を揺らして笑うと、僕に意味ありげな目線を投げてきた。
実家に帰った時に話したことを覚えていてくれたのだと気付いて、こそばゆい気持ちになる。
「でも、どーしてわざわざレンタル?」
ニャン太さんが小首を傾げる。
「ちょっとマイナーなの借りてきたんだよ。観てるヤツがいないタイトルのが新鮮でいいだろ? あ、もちろん面白いのチョイスしたから安心しろ」
「ちょっと待ってよ。その言い方だと……類はそれ、もう観てるってこと?」
「そ。でも、観たの結構前だし、『ヤバイ怖い』って感想以外、全然覚えてねぇから大丈夫」
それは大丈夫って言えるんだろうか?
僕は、きゅっと唇を引き結んだ。
少なくとも怖がりな僕にとっては大丈夫じゃなさそうだ。
「じゃ、ボク、下に買い出し行ってくるね! コーラと……他に何か買ってきて欲しいものある?」
「アイス」と、すかさず類さん。
「いつものね~。オッケー!」
「僕も行きます。荷物持ちますよ」
バタバタと足音高く部屋を出ていくニャン太さんを僕は慌てて追いかける。
「デンデン、やーさしー♪ ありあり~」
サンダルをつっかけ、マンション下のコンビニへ。
僕らが買い出しから戻ると、さっそく上映会が始まった。
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