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エピソード28
シロとユリア(5)
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* * *
バンさんの部屋を出てからしばらくして、
僕は人狼と代わり、表に出た。
目的もなく、しんと静まり返った館を歩く。
ハル叔父さんが用意してくれたこの建物は、
幼い頃に、母と父と暮らしていた場所にそっくりだった。
玄関ホールには、2階に続く大きな階段が設置されており、
階段吹き抜けの壁には、大きな風景画が飾られている。
さらに階段を進み、いくつもある部屋のひとつに足を踏み入れれば、
ベッドの隣の窓の向こうに、バルコニーが見える。
ふらりと外へ出てみれば、眼下にはシンメトリーな庭が広がっていた。
誰かがずっと手入れをしていたのだろう、
月の光の下で、黒いバラが咲き乱れている。
「……何を話すつもりなのかな。あの人は」
バンさんは、話したいことがあると言った。
アイツとのことだというのは考えなくても分かる。
僕は欄干にもたれかかると、天を仰いだ。
頭の中が混乱していた。
記憶が泡のように湧いては、弾けて消えていく。
僕のものも、アイツのものも、全部、ごちゃ混ぜになって……
その中でも、昨日のことのように鮮明に脳裏に浮かぶのは、
父と母のことだった。
ある夜、僕の家族の平穏な日々は破られた。
1月のヴァンパイアは突然、僕らの下へやってきて、両親を殺した。
彼は、どうやら人狼との混血である僕の身体にとても興味を持っていたようだった。
『無駄死にだねェ?』
事切れた母を僕の上から蹴り退かして、ヤツは笑った。
『君が少しでも加勢したら、2人とも助かったかもしれないのに』
『それとも、お母さんと何か約束したのかな?』
『誰も殺さないとかそういう……
あっ、やっぱりそうなんだ?』
『はは、噂に違わぬ意味不明な女だねェ。
血を穢しただけじゃなく、力を振るうことも放棄するなんて』
ニヤついた口元から目を離せない。
『バカだよねェ。アホだよねェ』
繰り返される蔑みの言葉が、頭の中でこだました。
怒りで視界が歪む。
なのに、僕は母をバカにされてもなお動けなかった。
「最悪だ……」
息苦しさを感じて、胸を押さえる。
その時だ。
「ユリア」
呼び掛けられて、僕はハッと身体を起こした。
叔父さんが、いつの間にやら部屋にいた。
「叔父さん……どうして……」
「入っていくのが見えたから」
彼は足音立てずにこちらにやって来ると、
つ、と僕の顔を見上げた。
「ケガの手当てはして貰ったの?」
「……僕は平気です。あれくらいなら、すぐに治ります」
「そう」
叔父さんは何も言わずに僕の隣に並び、欄干に手を置いた。
それから、何処かぼんやりした様子で夜空を見上げる。
彼の背は、バンさんよりもちょっと大きいくらいだった。
黒いローブが風に揺れている。
白磁の肌は青白いほどで、横顔は恐ろしく美しい。
その目鼻立ちに、僕は母の面影を見た。
「あの」
声をかけると、叔父さんが僕を振り返る。
「うん? どうかした?」
「……ありがとうございました。助けに来てくれて」
「ああ……家族を守るのは当然だよ。
今回は間に合って良かった」
叔父さんは、ニコリともせずに言った。
僕はしばらく床に目線を落としてから、彼の黒い瞳を見た。
静寂が落ちて、2人の間を夜風が通り過ぎていく。
バラの梢が擦れ合う音が耳に届いた。
「……怒らないんですね」
僕はややあってから、言った。
「何を?」
「僕は、ずっと母さまや、父さまのことを忘れていたのに――」
「忘れていた……?」
叔父さんがキョトンとする。
それから不思議そうに小首を傾げた。
「君は忘れてなんていないだろう?」
「え……?」
「だから苦しんでいた。違う?」
僕が、苦しんでいた?
僕は叔父さんの目を見返した。
「ぼ、僕は苦しんでなんていません。
だって、忘れていたから」
僕はずっと幸せだった。
あの屋敷で、何不自由なく幸せに暮らしていた。
なぜなら……アイツが守ってくれていたからだ。
苦いものが胸に染みていく。
俯けば、叔父さんの細い指が僕の髪に触れた。
「ごめんね、ユリア」
「叔父さん?」
「アリアとヨシュアの死を、一緒に悲しんであげられなくて」
叔父さんは少しだけ眉根を下げて言った。
「僕はあの頃、自分がどうしていたのか、
あんまり覚えていないんだ。
余りに急な別れで、受け入れられなくて……
君だって、同じだったのに」
あやふやだった、日々が形をもって蘇る。
気が付けば、僕の頬は濡れていた。
「辛かったね、ユリア」
「……っ」
息が引き攣る。
鼻を啜って、僕は手のひらで涙を拭った。
何度も、何度も、しゃっくりあげて、子どものように泣きじゃくる。
……やがて、僕は腕を目元に押し付けた。
「僕は……僕は、怖かったんです」
告げれば、言葉が次々と唇から溢れ出た。
「こ、怖くて身体が動かなくて、
でも、母さまと……誰も、殺さないって約束をしたから……
そんな風に、都合良くあの約束を持ち出して、
自分の不甲斐ないことの言い訳を、してたんです……」
「うん……」
叔父さんがそっと僕を抱きしめてくれる。
僕は彼の肩口に額を押し付けた。
「じ、自分が……傷付かないようにばかり必死で、
僕は、僕は、大切な人を……傷付けてしまいました……」
アイツの力を利用したバンさんに、僕は怒った。
彼は僕のことを守ろうとしてくれたのに。
戦わないのは優しさなんかじゃない。
僕は、両親を見捨てた自分を、認めるのが怖かっただけだ。
叔父さんは、言葉なくずっと僕の背を撫でてくれた。
「ごめんなさい……ごめ……
ふ、ぅ……っ」
バンさんに会いたかった。
会って、謝りたかった。
『お前だって、オレのこと分かってくれねぇじゃん……』
そう言った彼の、表情を思い出すだけで、
胸がギュッとする。
「……強く……なりたい……」
上ずった声で、僕は言った。
アイツと向き合っていたら、
バンさんのことを、あんな風に傷付けることはなかった。
誰かの命を奪うこともなかった。
僕は弱い。
弱くて、頼りなくて、守られてばかりだ。
「強くなりたいよ、叔父さん」
「なればいい。ユリアがそう望むなら、なれるよ。
……そろそろ、適任者も来る頃合だしね」
「適任者……?」
戸惑う僕に、ハル叔父さんは花が綻ぶように笑った。
「彼に鍛えて貰えばいい」
バンさんの部屋を出てからしばらくして、
僕は人狼と代わり、表に出た。
目的もなく、しんと静まり返った館を歩く。
ハル叔父さんが用意してくれたこの建物は、
幼い頃に、母と父と暮らしていた場所にそっくりだった。
玄関ホールには、2階に続く大きな階段が設置されており、
階段吹き抜けの壁には、大きな風景画が飾られている。
さらに階段を進み、いくつもある部屋のひとつに足を踏み入れれば、
ベッドの隣の窓の向こうに、バルコニーが見える。
ふらりと外へ出てみれば、眼下にはシンメトリーな庭が広がっていた。
誰かがずっと手入れをしていたのだろう、
月の光の下で、黒いバラが咲き乱れている。
「……何を話すつもりなのかな。あの人は」
バンさんは、話したいことがあると言った。
アイツとのことだというのは考えなくても分かる。
僕は欄干にもたれかかると、天を仰いだ。
頭の中が混乱していた。
記憶が泡のように湧いては、弾けて消えていく。
僕のものも、アイツのものも、全部、ごちゃ混ぜになって……
その中でも、昨日のことのように鮮明に脳裏に浮かぶのは、
父と母のことだった。
ある夜、僕の家族の平穏な日々は破られた。
1月のヴァンパイアは突然、僕らの下へやってきて、両親を殺した。
彼は、どうやら人狼との混血である僕の身体にとても興味を持っていたようだった。
『無駄死にだねェ?』
事切れた母を僕の上から蹴り退かして、ヤツは笑った。
『君が少しでも加勢したら、2人とも助かったかもしれないのに』
『それとも、お母さんと何か約束したのかな?』
『誰も殺さないとかそういう……
あっ、やっぱりそうなんだ?』
『はは、噂に違わぬ意味不明な女だねェ。
血を穢しただけじゃなく、力を振るうことも放棄するなんて』
ニヤついた口元から目を離せない。
『バカだよねェ。アホだよねェ』
繰り返される蔑みの言葉が、頭の中でこだました。
怒りで視界が歪む。
なのに、僕は母をバカにされてもなお動けなかった。
「最悪だ……」
息苦しさを感じて、胸を押さえる。
その時だ。
「ユリア」
呼び掛けられて、僕はハッと身体を起こした。
叔父さんが、いつの間にやら部屋にいた。
「叔父さん……どうして……」
「入っていくのが見えたから」
彼は足音立てずにこちらにやって来ると、
つ、と僕の顔を見上げた。
「ケガの手当てはして貰ったの?」
「……僕は平気です。あれくらいなら、すぐに治ります」
「そう」
叔父さんは何も言わずに僕の隣に並び、欄干に手を置いた。
それから、何処かぼんやりした様子で夜空を見上げる。
彼の背は、バンさんよりもちょっと大きいくらいだった。
黒いローブが風に揺れている。
白磁の肌は青白いほどで、横顔は恐ろしく美しい。
その目鼻立ちに、僕は母の面影を見た。
「あの」
声をかけると、叔父さんが僕を振り返る。
「うん? どうかした?」
「……ありがとうございました。助けに来てくれて」
「ああ……家族を守るのは当然だよ。
今回は間に合って良かった」
叔父さんは、ニコリともせずに言った。
僕はしばらく床に目線を落としてから、彼の黒い瞳を見た。
静寂が落ちて、2人の間を夜風が通り過ぎていく。
バラの梢が擦れ合う音が耳に届いた。
「……怒らないんですね」
僕はややあってから、言った。
「何を?」
「僕は、ずっと母さまや、父さまのことを忘れていたのに――」
「忘れていた……?」
叔父さんがキョトンとする。
それから不思議そうに小首を傾げた。
「君は忘れてなんていないだろう?」
「え……?」
「だから苦しんでいた。違う?」
僕が、苦しんでいた?
僕は叔父さんの目を見返した。
「ぼ、僕は苦しんでなんていません。
だって、忘れていたから」
僕はずっと幸せだった。
あの屋敷で、何不自由なく幸せに暮らしていた。
なぜなら……アイツが守ってくれていたからだ。
苦いものが胸に染みていく。
俯けば、叔父さんの細い指が僕の髪に触れた。
「ごめんね、ユリア」
「叔父さん?」
「アリアとヨシュアの死を、一緒に悲しんであげられなくて」
叔父さんは少しだけ眉根を下げて言った。
「僕はあの頃、自分がどうしていたのか、
あんまり覚えていないんだ。
余りに急な別れで、受け入れられなくて……
君だって、同じだったのに」
あやふやだった、日々が形をもって蘇る。
気が付けば、僕の頬は濡れていた。
「辛かったね、ユリア」
「……っ」
息が引き攣る。
鼻を啜って、僕は手のひらで涙を拭った。
何度も、何度も、しゃっくりあげて、子どものように泣きじゃくる。
……やがて、僕は腕を目元に押し付けた。
「僕は……僕は、怖かったんです」
告げれば、言葉が次々と唇から溢れ出た。
「こ、怖くて身体が動かなくて、
でも、母さまと……誰も、殺さないって約束をしたから……
そんな風に、都合良くあの約束を持ち出して、
自分の不甲斐ないことの言い訳を、してたんです……」
「うん……」
叔父さんがそっと僕を抱きしめてくれる。
僕は彼の肩口に額を押し付けた。
「じ、自分が……傷付かないようにばかり必死で、
僕は、僕は、大切な人を……傷付けてしまいました……」
アイツの力を利用したバンさんに、僕は怒った。
彼は僕のことを守ろうとしてくれたのに。
戦わないのは優しさなんかじゃない。
僕は、両親を見捨てた自分を、認めるのが怖かっただけだ。
叔父さんは、言葉なくずっと僕の背を撫でてくれた。
「ごめんなさい……ごめ……
ふ、ぅ……っ」
バンさんに会いたかった。
会って、謝りたかった。
『お前だって、オレのこと分かってくれねぇじゃん……』
そう言った彼の、表情を思い出すだけで、
胸がギュッとする。
「……強く……なりたい……」
上ずった声で、僕は言った。
アイツと向き合っていたら、
バンさんのことを、あんな風に傷付けることはなかった。
誰かの命を奪うこともなかった。
僕は弱い。
弱くて、頼りなくて、守られてばかりだ。
「強くなりたいよ、叔父さん」
「なればいい。ユリアがそう望むなら、なれるよ。
……そろそろ、適任者も来る頃合だしね」
「適任者……?」
戸惑う僕に、ハル叔父さんは花が綻ぶように笑った。
「彼に鍛えて貰えばいい」
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