人狼坊ちゃんの世話係

Tsubaki aquo

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エピソード22

キャラメル・ショコラ(8)

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「見るなよって……
 そんな無茶言わないでください」

 上擦った声で応えると、
 ユリアはグッと腰を押し付けてきた。

「ひっ……ば、か、何、動いてーー」

「バンさん、凄いよ……
 中、ゆるゆるになっちゃってる……」

 ゆっくり腰を引き、
 また、ずっぷりと奥を抉られる。

「んぁっ……」

「いつもよりも奥まで入ってるの、分かりますか……?」

「は……ぁ……あ……」

「凄い……奥までトロトロ……
 気持ちいい……」

「んっ、く、ふ……ぁっ……!」

 はしたなく足を開き、
 オレは犬みたいに舌を出して、胸を喘がせた。

 腹に散った白濁と透明な液体が、脇腹を伝い、
 ベッドのシーツが、ぐっしょりと濡れている。

「ごめん。ごめんね、バンさん。
 もうちょっとだけ……」

「あっ、ぅ、あ……」

 唇からは、意味をなさない音が溢れる。
 腰も抜けている。

 串刺しにされるみたいに臓器が押し上げられ、
 その度に、目の前で火花が散り、
 訳が分からなくなった。

 性感はこれ以上なく鋭く尖り、
 壊れたように絶頂に飛び続ける。

 目が裏返りそうだ。
 顔を覆った手が、汗だか唾液だか涙だか鼻水だかで濡れていた。
 恥も何もあったもんじゃない。

「やば、い、やば……ユリア、ぁ、きもぢいい……
 そこ、ぁ、あ、あ、あっ……」

「ここ? 奥の、この、コリコリしたところ、気持ちいい……?」

「んう、ぅあっ、あっ、そこ、そごっ……いいっ……」

「バンさん……泣いてるの? 泣くほど、気持ちいいの?」

「ん、いい、いい……ヤバ……ぁ……」

「可愛い……可愛いよ、バンさん……っ」

 涙を拭うようにキスが降り、頬を舐め回される。

「愛してます……バンさん、バンさんっ……」

「ん、んんっ、んむっ、ぅ」

 呼吸も困難なほど、深く唇を塞がれた。
 オレも舌を突き出し、それに応えるようにした。

 淫猥な水音が立つ。
 唾液を塗り込むようにして、舌を絡ませた。
 お互いに食べ合うみたいに。

「は、あ、あぁ……すげ、熱い……」

 やがて、物凄い量の白濁が腹の奥に注がれた。

 長い吐精が終わっても、
 ユリアはしばらくの間、オレの口腔を
 その太い舌で掻き混ぜ続けていた。

* * *

 ベッドの上の濡れた部分にタオルを広げて、
 その脇でオレは背を丸めて横になっていた。

 体はすっかり清められていたが、
 腰が抜けてるし、指先1つ動かすのも億劫だ。

「すみませんでした……」

 浴室から出てきたユリアは、開口一番、そう言った。
 ベッドに腰掛けて、オレの体をあたふたと気遣わしげに撫でる。
 見慣れた光景だ、内心苦笑してしまう。

「謝るなよ。求められるのは、嫌いじゃねえし。
 でもまあ、次はお手柔らかに頼むわ……」

 潮吹きなんて、男娼時代も経験したことはなかった。
 まあ後片付けが大変だしで、店的にもNGだったこともあるが。

「お手柔らかに……」

 オレの言葉を繰り返したユリアは、何故かしょんぼりと項垂れた。

「なんで、そんな顔するんだよ」

「……だって、バンさん凄く可愛かったんだもの。
 ねえ、毎回じゃなければ、またしてもいいですか?」

「だっ、ダメだ」

「気持ち良さそうにしてたのに?」

「してねぇよ! 幻覚だ、幻覚!!」

 射精後から、ああなるまでの時間は、苦行としか言いようがない。
 しかし、それを乗り越えた後の解放感は、
 中でイくのとはまた違った快感で……

 なんてことを、素直に伝えるわけにはいかないのだ。
 度々、あの状態にまで攻められて、
 クセにでもなったら、それこそ本気で困る。

「オレはフツーにするのが、スキなんだよ。
 あれは、あんまし気持ちよくはねぇっつーか……」

「……バンさん」

 平静を装って告げれば、ユリアの真剣な声が落ちた。

「……なんだよ?」

「嘘ついてますね」
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