59 / 82
僕と高橋の関係
しおりを挟む
高橋が僕の横で泣きじゃくっている。
泣きたいのは僕の方なのにな。
高橋は泣きながら僕に訴える。
僕の子供が欲しかったと。
だからって、飴玉をピルと偽って、僕を騙して妊娠して良い話なのか?
そんな訳はないよな。
そう思うと、高橋に対する怒りが沸き上がってくる。
だが...チョット待て。
冷静に考えるんだ。
変わる前の世界の常識は頭から捨てるんだ。
変わる前の世界ではだまし討ちでの妊娠なんて許される話じゃない。
では、今の世界ではどうなんだろう?
今の世界では避妊と言う考え方は一般的じゃない。
男が年に2回しかセックスが出来ない世界なんだからね。
セックスは子作りの為だ。
だから子作りを否定してのセックスは、基本ありえないんだ。
避妊を望んだ僕の方が不誠実なんだろうな。
まあ、高山商事が僕を誘っているセレブ達のいる世界は少し違うようだがね。
あの人たちは女同士とか、道具を使って男に奉仕させるとか、快楽は求めていたが、男とのセックスで快楽が得られることは期待していない。
違うな、手に入らないから期待できないんだ。
そこに僕の存在だ。
彼女たちは喜んだ。
そして僕はそれで勘違いしたんだ。
なにをかって!
この世界でも快楽を目的とするセックスが普通にあるという勘違いだ。
だから、高橋に快楽のあるセックスを与えた。
避妊を求めた。
快楽のためのセックスが当たり前だと思ったんだ。
その為には避妊も当たり前だと思ったんだ。
でも、少しも当たり前じゃなかったんだ。
ミサト姉とのセックスもそうだ。
僕はミサト姉を求めて......ミサト姉の愛を求めてセックスをした。
でも、ミサト姉は子作りを考えていた。
そして妊娠したらどうするかもだ。
だから妊娠すると夫の元に帰っていったんだ。
僕よりも、旦那よりも、僕との間にできた子供が大切だから。
ミサト姉にとっての一番は子供だったんだ。
そこには僕が居る場所は無かったんだな。
じゃあ、高橋はどうなんだろう?
やっぱり、一番は子供なんだろうな。
避妊させる僕がむしろ異質だったんだろう。
子供を作る数少ないチャンス。
それを逃すわけはないのに。
「なあ、高橋、高橋はいつまで妊娠を隠しているつもりだったんだ」
僕は高橋に聞いてみる。
「隠す、隠すって英ちゃんに隠すってこと?」
「そう、僕に」
「隠すっていうか、英ちゃんに何をいえば良いかなんてわからなかったよ。
だって、普通はだれの子種で妊娠したなんて誰も言わないし、知ろうともしないんだよ」
「それは、愛情と生殖が別々だからだろう」
「そうだね、だから判らなかったんだよ。
愛情と生殖が一緒になった時にどうすれば良いなんてだれも教えてくれないよ。
2人の関係は私が英ちゃんに興味を持ってセックスを求めただけで愛情から始まった訳じゃないし」
苦しそうな高橋の声。
「だったら、子供が出来ればハッピーエンドでしょう、終わりでしょう。
でも、終わりたくなかった。
だから黙ってた.....ごめんなさい」
「なあ、高橋は僕と結婚したいのか」
「英ちゃんと結婚、そんなの無理だよ、英ちゃんは高校生じゃん」
「それは高橋も一緒だろう」
「女は違うよ、女は多産を推奨されてるから、高校生で子供を産むことも期待されてる。
だから私はお腹の子と2人でも国の制度を使ってチャンと生きていける」
そう、高校生で母になっても国のサポートで高橋は子供と二人でチャンと生活は出来るんだ。
「でも英ちゃんは.....大体委員長だって妊娠してるかもしれないんだよ。
英ちゃんはその才能で大勢の女を妊娠させるんでしょう。
.....だったら私が妊娠しました、英ちゃんと結婚します。
そんなの無理でしょう」
そうだ、僕は今でさえ何人も妊娠させている。
きっと、これからも色々な女を妊娠させるだろう。
国の制度だって僕にそれを求めている。
「なあ、高橋、なにか、僕に出来る事はないか?」
僕の問いかけに、眼から涙を零しながらも高橋は気丈に答える。
「英ちゃんにしてもらうことなんて無いよ。
赤ちゃんをくれた以上の事なんて無いんだから。
私はお腹の子を、英ちゃんとの子を愛して育てていくよ。
それがうれしいの」
そして僕を見つめながら話を続ける。
「だから、平気だよ。
ごめんね、泣いたりして。
委員長なら笑って話すのにね」
涙を浮かべながら高橋は無理に笑う。
「ひとつあったよ。
私を嫌いにならないで......お願いします」
「なんで、僕が高橋を嫌うんだ。
そんな訳無いだろう」
「だって、嘘をついたから。
英ちゃんは私を妊娠させたくなかったんでしょう。
だからピルをくれたんでしょう。
それなのに嘘をついて妊娠したのは私だもん。
でも、嫌われたくないの.....ヒッ、ヒッ、ウエエエエン」
僕は泣きじゃくる高橋の頭を優しく撫でた。
そして高橋が期待している言葉を、僕の本位ではない言葉を高橋に伝える。
「僕の子供を妊娠してくれてありがとう」
その言葉で高橋は泣き止んで嬉しそうに僕を見つめる。
僕は自分の胸にこみあげる苦い思いを作り笑いの下に押し込める。
僕達の関係は変わるんだろう。
高橋の僕への愛情は高橋のお腹の子供に移っていくだろう。
だから、これからの高橋の一番の関心事はお腹の子供なんだろう。
高橋にとっての僕は子種を与えた存在として記憶されていくんだろう。
僕はそんな事を考えながら高橋を見つめるのだった。
泣きたいのは僕の方なのにな。
高橋は泣きながら僕に訴える。
僕の子供が欲しかったと。
だからって、飴玉をピルと偽って、僕を騙して妊娠して良い話なのか?
そんな訳はないよな。
そう思うと、高橋に対する怒りが沸き上がってくる。
だが...チョット待て。
冷静に考えるんだ。
変わる前の世界の常識は頭から捨てるんだ。
変わる前の世界ではだまし討ちでの妊娠なんて許される話じゃない。
では、今の世界ではどうなんだろう?
今の世界では避妊と言う考え方は一般的じゃない。
男が年に2回しかセックスが出来ない世界なんだからね。
セックスは子作りの為だ。
だから子作りを否定してのセックスは、基本ありえないんだ。
避妊を望んだ僕の方が不誠実なんだろうな。
まあ、高山商事が僕を誘っているセレブ達のいる世界は少し違うようだがね。
あの人たちは女同士とか、道具を使って男に奉仕させるとか、快楽は求めていたが、男とのセックスで快楽が得られることは期待していない。
違うな、手に入らないから期待できないんだ。
そこに僕の存在だ。
彼女たちは喜んだ。
そして僕はそれで勘違いしたんだ。
なにをかって!
この世界でも快楽を目的とするセックスが普通にあるという勘違いだ。
だから、高橋に快楽のあるセックスを与えた。
避妊を求めた。
快楽のためのセックスが当たり前だと思ったんだ。
その為には避妊も当たり前だと思ったんだ。
でも、少しも当たり前じゃなかったんだ。
ミサト姉とのセックスもそうだ。
僕はミサト姉を求めて......ミサト姉の愛を求めてセックスをした。
でも、ミサト姉は子作りを考えていた。
そして妊娠したらどうするかもだ。
だから妊娠すると夫の元に帰っていったんだ。
僕よりも、旦那よりも、僕との間にできた子供が大切だから。
ミサト姉にとっての一番は子供だったんだ。
そこには僕が居る場所は無かったんだな。
じゃあ、高橋はどうなんだろう?
やっぱり、一番は子供なんだろうな。
避妊させる僕がむしろ異質だったんだろう。
子供を作る数少ないチャンス。
それを逃すわけはないのに。
「なあ、高橋、高橋はいつまで妊娠を隠しているつもりだったんだ」
僕は高橋に聞いてみる。
「隠す、隠すって英ちゃんに隠すってこと?」
「そう、僕に」
「隠すっていうか、英ちゃんに何をいえば良いかなんてわからなかったよ。
だって、普通はだれの子種で妊娠したなんて誰も言わないし、知ろうともしないんだよ」
「それは、愛情と生殖が別々だからだろう」
「そうだね、だから判らなかったんだよ。
愛情と生殖が一緒になった時にどうすれば良いなんてだれも教えてくれないよ。
2人の関係は私が英ちゃんに興味を持ってセックスを求めただけで愛情から始まった訳じゃないし」
苦しそうな高橋の声。
「だったら、子供が出来ればハッピーエンドでしょう、終わりでしょう。
でも、終わりたくなかった。
だから黙ってた.....ごめんなさい」
「なあ、高橋は僕と結婚したいのか」
「英ちゃんと結婚、そんなの無理だよ、英ちゃんは高校生じゃん」
「それは高橋も一緒だろう」
「女は違うよ、女は多産を推奨されてるから、高校生で子供を産むことも期待されてる。
だから私はお腹の子と2人でも国の制度を使ってチャンと生きていける」
そう、高校生で母になっても国のサポートで高橋は子供と二人でチャンと生活は出来るんだ。
「でも英ちゃんは.....大体委員長だって妊娠してるかもしれないんだよ。
英ちゃんはその才能で大勢の女を妊娠させるんでしょう。
.....だったら私が妊娠しました、英ちゃんと結婚します。
そんなの無理でしょう」
そうだ、僕は今でさえ何人も妊娠させている。
きっと、これからも色々な女を妊娠させるだろう。
国の制度だって僕にそれを求めている。
「なあ、高橋、なにか、僕に出来る事はないか?」
僕の問いかけに、眼から涙を零しながらも高橋は気丈に答える。
「英ちゃんにしてもらうことなんて無いよ。
赤ちゃんをくれた以上の事なんて無いんだから。
私はお腹の子を、英ちゃんとの子を愛して育てていくよ。
それがうれしいの」
そして僕を見つめながら話を続ける。
「だから、平気だよ。
ごめんね、泣いたりして。
委員長なら笑って話すのにね」
涙を浮かべながら高橋は無理に笑う。
「ひとつあったよ。
私を嫌いにならないで......お願いします」
「なんで、僕が高橋を嫌うんだ。
そんな訳無いだろう」
「だって、嘘をついたから。
英ちゃんは私を妊娠させたくなかったんでしょう。
だからピルをくれたんでしょう。
それなのに嘘をついて妊娠したのは私だもん。
でも、嫌われたくないの.....ヒッ、ヒッ、ウエエエエン」
僕は泣きじゃくる高橋の頭を優しく撫でた。
そして高橋が期待している言葉を、僕の本位ではない言葉を高橋に伝える。
「僕の子供を妊娠してくれてありがとう」
その言葉で高橋は泣き止んで嬉しそうに僕を見つめる。
僕は自分の胸にこみあげる苦い思いを作り笑いの下に押し込める。
僕達の関係は変わるんだろう。
高橋の僕への愛情は高橋のお腹の子供に移っていくだろう。
だから、これからの高橋の一番の関心事はお腹の子供なんだろう。
高橋にとっての僕は子種を与えた存在として記憶されていくんだろう。
僕はそんな事を考えながら高橋を見つめるのだった。
0
お気に入りに追加
667
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる