44 / 82
ヤンキー参上
しおりを挟む
僕は教室に戻ったが高橋は帰ってこなかった。
髙橋が帰ってこない事でクラスメート達は僕になにか言いたそうにしている。
でもどう言えばよいか判らないのだろう。
だから遠巻きにしているだけだ。
そう思っていたら委員長が寄ってきた。
面倒くさいんだけどね。
「ねえ、何があったの?」
委員長の顔には私には話す義務があるでしょうと書いてあるようだ。
本当に面倒くさいやつ!
「何がって、なんだよ?」
僕は不機嫌だと委員長に分かるようにぶっきらぼうに答えてやる。
でも、委員長は動じないんだよな。
「決まってるでしょう、高橋さんとのことよ」
だから平気でしつこく聞いてくるんだ。
委員長には関係ないって怒鳴ってやりたいが僕は紳士だからそんな事はしないよ。
「ああ、お互いの見解に相違があることに合意した」
「見解の相違、なにそれ」
もう、本当に面倒くさい。
だからストレートに言ってやる。
「なあ、委員長は高校生で母親になる覚悟ってあるのか?」
予想外の質問で流石の委員長も戸惑っているようだ。
「いきなりなによ。娼館に行くってことはそうなることも考えての上でしょう」
「なあ、それって車に乗れば事故にあう時もあるみたいなのりに聞こえるんだけど」
「まあ、そうよね。
だってセックスに興味はあっても母親になる覚悟がある高校生なんているわけないでしょう」
「でも娼館を使って妊娠したら産む義務と権利があるわけだ」
「だから高校生は危険日は外して娼館に行くのよ」
「何のために」
「セックスに興味があるかに決まってるでしょう。
そして大抵は1回で幻滅するの。
ばかよね!」
要はたわいの無い好奇心に基づく遊びって事だよね。
「委員長は違ったの?」
「同じようなもんね、私が娼館に行ったのは社会勉強のつもりだったんだけどね。
1回で十分だと思ってたわ。
2回目は子供が必要になった時と思ってた。
でも、貴方としちゃったからね。
貴方とのセックスは別物よ。
1回じゃ満足できないの。
髙橋も同じじゃないの。
まだセックスはして無いみたいだけど?
私達、貴方に捕まっちゃったのよね」
委員長は今度は貴方が答える番よとでも言いたそうにじっと僕を見つめている。
勘弁してよ。ぼくは別に2人を捕まえたりとかしてないんだから答える言葉なんて持ってないよ。
「それで、貴方はなんて言ったの」
「同じ教室で高橋が悪阻で苦しんでるときや、子供がお腹を蹴ったって喜んでるときや、破水した生まれるぞって時に男は種を撒いただけだと言って知らんぷりとか俺は出来ない。
だから高橋と娼館でのドライなセックスは成立しないって話したよ」
「そう、狡い誠実ね」
「狡い」
僕は誠実に考えて断ったつもりなんだがね。
「そうよ、そこまで考えてるんなら中途半端に高橋を落としたりしなければよかったのよ」
それを言うか。
「ああ、そうだね。でも僕は聖人君子ってわけじゃないんだよ」
「そう、そうよね。
なら私は宣言するわ、山本とセックスがしたい。
もし妊娠したら気づかれないうちに消えるから心配はいらないわよ」
「それって、重すぎるだろう」
「そうね、ならピルを処方して貰おうかしら。
準備が出来たら山本をさそうわ」
それでも重いけどことわる理由はないか。
「そうか、なら委員長がピルを飲んで妊娠しなくなるまで待ってるよ」
僕に言えるのはそのセリフだけ、弱虫だよね。
委員長は席に戻ってゆく。
そして教室には相変わらず、物言わぬ圧力が渦巻いている。
僕は休み時間は机に突っ伏して寝るふりをすることで圧力を回避して放課後を迎える。
「やっと帰れるよ」
情けない独り言をつぶやいて教室を後にする。
靴を履き替えて校舎を出るとほっとする。
少し軽くなった足取りで校門を通り抜けて大通りを歩きはじめる。
「おい、お前、山本か」
その声と同時にいきなり腕を掴まれる。
またこのパターンかよ。
違うのは腕を掴んでいる女の質だ。
いかにもヤンキー風な女が僕の腕を掴んでいる。
「乗れよ」
あごで指さされた先にはいかにもヤンキーが好きそうに改造されている車がある。
「あなた、誰ですか?
なんで僕が貴方の車に乗らないといけないんですか?」
「お前には乗る理由があるんだよ。
良いからさっさと乗れよ。
あきの件でって言えば判るよな」
髙橋、高橋が関係してるのか。
「貴方と高橋はどんな関係なんですか」
僕はヤンキー女を見つめる。
「なに、ガンを飛ばしてるんだよ。あきは俺の妹だ、判ったら乗れ」
ヤンキーはまっすぐな目で僕にそう宣言する。
髙橋の姉か。
「判りました、乗りますよ」
助手席のドアを開けて車に乗り込む。
すると可愛らしい内装が僕を迎える。
ピンクでふわふわした内装の車だな。
ぬいぐるみとヤンキーのミスタッチ感が半端ないよ。
「随分と可愛らしい内装ですね」
持ち主とのギャップの大きさに思わず声に出るしまう。
「はあ、可愛いとかどうでもいいからさっさと乗れよ」
可愛らしいと言われて少し赤くなるヤンキー女の顔にこいつは高橋の姉なんだと妙に納得させられる。
「それで、どこに行くんです」
「そんなに遠くじゃない、直ぐに着く」
直ぐに着くか、事故んなきゃね。
案の定荒い運転で、まるでジェットコースターに乗っているみたいだ。
「近くなら、そんなに飛ばさなくてもいいんじゃないですか?
ほら、今だって危なかったでしょう」
「あ~、これで飛ばしてるってか?
それに危なかったとか?
お前寝言を言ってんじゃないぞ。
なんなら全開で走るぞ」
「すいません、このスピードで問題ないです」
僕は体が前後左右に振られる事に耐えるしか無いようだ。
「着いたぞ」
宣言通り10分も走らないで着いたようで、でもここって....
「おい、これを持って行け」
ヤンキーが僕の手に何かを押し付ける。
これってなんかの錠剤だよね。
「この薬は?」
「アフターピルだ。あきに飲ませろ」
こんな薬、有る所にはあるんだな。
「それとな、これで半端してあきを悲しませたら、今度はぶん殴るからな。
覚悟を決めて行けよ」
「ぶん殴られるのは嫌ですねえ」
「ふううん、まあいいや、ほらさっさと行け」
僕は手の中に納まったアフターピルに驚きながら馴染みの娼館の入口をくぐるのだった。
髙橋が帰ってこない事でクラスメート達は僕になにか言いたそうにしている。
でもどう言えばよいか判らないのだろう。
だから遠巻きにしているだけだ。
そう思っていたら委員長が寄ってきた。
面倒くさいんだけどね。
「ねえ、何があったの?」
委員長の顔には私には話す義務があるでしょうと書いてあるようだ。
本当に面倒くさいやつ!
「何がって、なんだよ?」
僕は不機嫌だと委員長に分かるようにぶっきらぼうに答えてやる。
でも、委員長は動じないんだよな。
「決まってるでしょう、高橋さんとのことよ」
だから平気でしつこく聞いてくるんだ。
委員長には関係ないって怒鳴ってやりたいが僕は紳士だからそんな事はしないよ。
「ああ、お互いの見解に相違があることに合意した」
「見解の相違、なにそれ」
もう、本当に面倒くさい。
だからストレートに言ってやる。
「なあ、委員長は高校生で母親になる覚悟ってあるのか?」
予想外の質問で流石の委員長も戸惑っているようだ。
「いきなりなによ。娼館に行くってことはそうなることも考えての上でしょう」
「なあ、それって車に乗れば事故にあう時もあるみたいなのりに聞こえるんだけど」
「まあ、そうよね。
だってセックスに興味はあっても母親になる覚悟がある高校生なんているわけないでしょう」
「でも娼館を使って妊娠したら産む義務と権利があるわけだ」
「だから高校生は危険日は外して娼館に行くのよ」
「何のために」
「セックスに興味があるかに決まってるでしょう。
そして大抵は1回で幻滅するの。
ばかよね!」
要はたわいの無い好奇心に基づく遊びって事だよね。
「委員長は違ったの?」
「同じようなもんね、私が娼館に行ったのは社会勉強のつもりだったんだけどね。
1回で十分だと思ってたわ。
2回目は子供が必要になった時と思ってた。
でも、貴方としちゃったからね。
貴方とのセックスは別物よ。
1回じゃ満足できないの。
髙橋も同じじゃないの。
まだセックスはして無いみたいだけど?
私達、貴方に捕まっちゃったのよね」
委員長は今度は貴方が答える番よとでも言いたそうにじっと僕を見つめている。
勘弁してよ。ぼくは別に2人を捕まえたりとかしてないんだから答える言葉なんて持ってないよ。
「それで、貴方はなんて言ったの」
「同じ教室で高橋が悪阻で苦しんでるときや、子供がお腹を蹴ったって喜んでるときや、破水した生まれるぞって時に男は種を撒いただけだと言って知らんぷりとか俺は出来ない。
だから高橋と娼館でのドライなセックスは成立しないって話したよ」
「そう、狡い誠実ね」
「狡い」
僕は誠実に考えて断ったつもりなんだがね。
「そうよ、そこまで考えてるんなら中途半端に高橋を落としたりしなければよかったのよ」
それを言うか。
「ああ、そうだね。でも僕は聖人君子ってわけじゃないんだよ」
「そう、そうよね。
なら私は宣言するわ、山本とセックスがしたい。
もし妊娠したら気づかれないうちに消えるから心配はいらないわよ」
「それって、重すぎるだろう」
「そうね、ならピルを処方して貰おうかしら。
準備が出来たら山本をさそうわ」
それでも重いけどことわる理由はないか。
「そうか、なら委員長がピルを飲んで妊娠しなくなるまで待ってるよ」
僕に言えるのはそのセリフだけ、弱虫だよね。
委員長は席に戻ってゆく。
そして教室には相変わらず、物言わぬ圧力が渦巻いている。
僕は休み時間は机に突っ伏して寝るふりをすることで圧力を回避して放課後を迎える。
「やっと帰れるよ」
情けない独り言をつぶやいて教室を後にする。
靴を履き替えて校舎を出るとほっとする。
少し軽くなった足取りで校門を通り抜けて大通りを歩きはじめる。
「おい、お前、山本か」
その声と同時にいきなり腕を掴まれる。
またこのパターンかよ。
違うのは腕を掴んでいる女の質だ。
いかにもヤンキー風な女が僕の腕を掴んでいる。
「乗れよ」
あごで指さされた先にはいかにもヤンキーが好きそうに改造されている車がある。
「あなた、誰ですか?
なんで僕が貴方の車に乗らないといけないんですか?」
「お前には乗る理由があるんだよ。
良いからさっさと乗れよ。
あきの件でって言えば判るよな」
髙橋、高橋が関係してるのか。
「貴方と高橋はどんな関係なんですか」
僕はヤンキー女を見つめる。
「なに、ガンを飛ばしてるんだよ。あきは俺の妹だ、判ったら乗れ」
ヤンキーはまっすぐな目で僕にそう宣言する。
髙橋の姉か。
「判りました、乗りますよ」
助手席のドアを開けて車に乗り込む。
すると可愛らしい内装が僕を迎える。
ピンクでふわふわした内装の車だな。
ぬいぐるみとヤンキーのミスタッチ感が半端ないよ。
「随分と可愛らしい内装ですね」
持ち主とのギャップの大きさに思わず声に出るしまう。
「はあ、可愛いとかどうでもいいからさっさと乗れよ」
可愛らしいと言われて少し赤くなるヤンキー女の顔にこいつは高橋の姉なんだと妙に納得させられる。
「それで、どこに行くんです」
「そんなに遠くじゃない、直ぐに着く」
直ぐに着くか、事故んなきゃね。
案の定荒い運転で、まるでジェットコースターに乗っているみたいだ。
「近くなら、そんなに飛ばさなくてもいいんじゃないですか?
ほら、今だって危なかったでしょう」
「あ~、これで飛ばしてるってか?
それに危なかったとか?
お前寝言を言ってんじゃないぞ。
なんなら全開で走るぞ」
「すいません、このスピードで問題ないです」
僕は体が前後左右に振られる事に耐えるしか無いようだ。
「着いたぞ」
宣言通り10分も走らないで着いたようで、でもここって....
「おい、これを持って行け」
ヤンキーが僕の手に何かを押し付ける。
これってなんかの錠剤だよね。
「この薬は?」
「アフターピルだ。あきに飲ませろ」
こんな薬、有る所にはあるんだな。
「それとな、これで半端してあきを悲しませたら、今度はぶん殴るからな。
覚悟を決めて行けよ」
「ぶん殴られるのは嫌ですねえ」
「ふううん、まあいいや、ほらさっさと行け」
僕は手の中に納まったアフターピルに驚きながら馴染みの娼館の入口をくぐるのだった。
0
お気に入りに追加
667
あなたにおすすめの小説
俺は異端児生活を楽しめているのか(日常からの脱出)
れ
SF
学園ラブコメ?異端児の物語です。書くの初めてですが頑張って書いていきます。SFとラブコメが混ざった感じの小説になっております。
主人公☆は人の気持ちが分かり、青春出来ない体質になってしまった、
それを治すために色々な人が関わって異能に目覚めたり青春を出来るのか?が醍醐味な小説です。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる