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少しだけ違う世界

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一週間前に僕のいる世界が突然に変わってしまった。
こんな事を書くと如何にも異世界物の様だが僕は異世界に旅立ったわけではない。
家族も家も通っている高校もそのままの世界にいる。
昨日まで居なかった美人の妹が急に湧いてきたりもしていない。

だけど男女の性欲だけが変わっている世界なんだ。

なんでそんな事に気付けたかって。
そりゃ気付くよ。
毎日学校にエロ本を持ち込んで女が欲しい、2Dは飽きたどっかに3Dの女は落ちてないかと叫んでいたクラスメートの田端が学校にエロ本を持ってこなくなったんだ。

そして極め付けはトイレだ。
男子トイレから小便器が消えていて、全部個室に変わっていた。

僕はびっくりして田端になんで小便器が無いんだ、立ちションが出来ないじゃないかと聞いてみたら立ちションてなんだと逆に聞かれたんだ。

そして噛み合わない話を忍耐強く続けてやっと判ったのは男のちんこが無くなっているって事だ。
正確には半年に一度の発情日以外はお豆ちゃん状態らしい。
そして発情日だけ、お豆が大きくなってちんこになるんだと?

なんなんだよそれ。
どうやらこの世界では男は人生の大半を聖人君子として過ごすらしい。

ぐわああ、そんなのは僕には無理だ。

そして男の嗜好が変わっているのに合わせておきまりの様に俺の秘蔵のエロ本も、ヤバイ動画も消え失せていた。
焦ってネットを巡回したがやはりその手の動画は綺麗さっぱり消えていたのだった……シクシク。

これって健全な高校生に対してとんでもない仕打ちだと思うよ。
だから僕は田端に聞いたんだ。
田端は発情日にどう処理してるんだって?

だって、発情したら流石にオナニーぐらいしたいだろう。
でも、オナニーをするネタがどこにもないんだ。
それでどうすればオナニーができるんだよ。
無理だろう!

そしたら田端は教えてくれたんだ。
びっくりだよ。
オナニーって考えがそもそも無いんだ。
貴重な発情期にセックスをして子供を残さないでどうするんだと言われたよ。

…目から鱗でした。

だから高校生だってセックスが出来るんだ。
風俗、出会い系、妊活??
良く分からんが高校生でも女とやれる場所が普通にあるんだとさ。

そこでは独身者、主婦に拘らず、子供が欲しい女が発情した男の精をもらいにくるんだ。

主婦が普通に浮気をするのかって驚いた浮気じゃ無いんだ。

どうやらこの世界では結婚と子作りにはなんの関係もないらしい。
僕には良く判らなかったが、男は妻の産む子供に自分の遺伝子の有無を求めないらしい。
何て言うか、まあ養子ののりかな。

そもそも嫁さんとあんまりセックスをしないらしい。
年に二回の貴重な発情期には排卵のタイミングがある女とセックスをするのが常識だからね。
奥さんとの子作りは難しいよね。
だから、自分の嫁さんが知らん男に孕まされても問題は無いんだとさ。

この世界の男って凄すぎるわ。
僕には無理です、嫉妬で狂いまくるよね。

結局どうなのよって言うとね。
国が運営する娼館があって、そこに行けば今日なら妊娠が可能だっていう女達と後腐れなく合法にセックスが出来るってことさ。

そして、そこにいる娼婦はその辺にいるねーちゃんや新妻だったりするわけだ。
そんなの聞いたら行くしか無いよね。
もちろん、僕は行きますよ。

そう言う訳で、娼館に行くために必要な手続きをすることにしたよ。
どんな手続きかと言うと登録です。
登録をしないと娼館は利用できなくて、高校生になれば登録は出来るんだとさ。

なのでやってきました登録所に。
市役所の様な建物の中に登録の為の受付カウンターがあるんだけどガラガラだよ。

なんで男が押し寄せて無いんだよ?
あり得ないよね。
本当にこの世界の男はセックスに対して淡白なんだね。
セックスをしないで何を楽しみにしてるんだろう??
僕は違うからいそいそと登録に向かいますよ!

「あら、いらっしゃい、君は高校生かな。
若いのに娼館登録に来るなんて君は偉いねえ。
最近の若い男の子は娼館に興味がなくて困ってるのよ」

随分とフレンドリーなお姉さんだ。
高校生の癖にとか言われないかとドキドキしてたんだけど杞憂だったわ。

「はい、高校生から登録できると聞いて来ました、問題無いですよね」

「もちろんよ、むしろ若い子は大歓迎だから。
それで、娼館のシステムは知ってるかしら」

「いえ、良く判らないんです」

「そう、まあそんなに難しいことはないんだけどね。
登録してライセンスカードを貰えれば誰でも使えるのよ。
もちろん、あなたの精子を提供してもらう必要があるのでちゃんと発情してオチンコが大きくなってないとダメだけどね」

うわあ、可愛い顔をして発情とかオチンコとか言っちゃうんだ。
ドキドキするね!

落ち着いて見ると受け付けのお姉さんは結構可愛いし、肉感のある身体つきでおっぱいも大きい。
それに少しタレ目のふわっとした感じと柔らかそうなウエーブした髪の毛も好みかな。

「それでね、うっほん、君はちゃんと聞いてるかな」

「すいません、お姉さんに見とれてました」

「あら、ありがとう。うれしいわね。
でもそれは置いておいて、説明を続けるわよ。
ライセンスカードが貰えるって話まではしたわよね。
それでね、ライセンスにはランクがあってCから始まってB、A、Sって条件を満たす毎にランクアップして行くのよ。
そして、ランクアップの条件は女の子を孕ませた数で決まるのよ」

お姉さんは流石に説明に慣れてるよね。
僕の不規則発言はさらっと流されたので質問を続けます。

「ランクが上がると良いことがあるんですか」

「そうね、貴方にランクがある様に娼館にもランクがあるの。
だからCランクの君はCランクの娼館にしか入れないって訳ね」

「娼館のランクで女の子の質はどう変わるんですか」

「それは需要と供給ね、男が好む女ほど高いランクの娼館に行く傾向はあるわね」

「そうなんですね、因みにSランクの娼館にはどんな子が居るんですか」

「うう~ん、いろいろだけど。
そうね、美人なお姉さん、おっぱいの大きなお姉さん、それに高校生の子も居るわよ。
そんな子がSランクの娼館には一杯いるのよ」

「そうなんですね、ちなみにお姉さんだったらどのランクの娼館に行きますか?」

「私、私が行くのはBランクの娼館かな」

「ううう、残念です。
Cランクの僕ではお姉さんに相手をしてもらう訳にはいかないんですね」

「CランクならBランクの娼館には入れないものね。
でも君がチュートリアルを望むなら私が対応する事になるわよ。
もっとも、今日はライセンスの発行に来てるんだから発情はしてないわよね」

お姉さんがさらっと流そうとするけど僕は逃さないよ。

「すいません、チュートリアルってなんですか」

「いきなり娼館に行って混乱しない様にここで娼館と同じ体験ができるの。
それがチュートリアルよ」

「本当ですか、やります、やりますから」

「やりますって?
貴方、ちゃんと発情してるのかしら?」

「大丈夫です、僕はしっかりと発情してますよ。
なんだったら触って確かめてください。
発情はしてるんで僕は絶対にお姉さんとチュートリアルをやりますからね」

「そうなんだ、君は私とチュートリアルをしたいのね」

そう言うお姉さんは妖艶な笑みを浮かべて僕を値踏みしてくるのでした。
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