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「ふぅ~良い汗かいた~!」

ソファの上での第一ラウンド終了後。
俺はヘロヘロの王太子を担いで、王太子執務室の奥にある仮眠室に移って、思い切り愉しんだ。バッチリ第三ラウンドまでヤり切って、満足した俺は気分爽快に水を飲んでいる。ほっぺたはツヤツヤだ。
その一方。

「お、犯された……王太子の私が……っ」

俺様何様王子サマ!を地でいく王太子は、世界がひっくり返ったような顔をしている。部屋の隅でシーツにくるまり、この世の終わりかのような落ち込みっぷりだ。

「なぜ……どうしてこんなことに……」

まぁコイツ、いかにも女子が好きな俺様イケメンぽいしな。俺がいなければ、コイツが『私が全ての男を抱いてやるぜ』みたいなハーレム世界だったかもしれない。

でもがいるからね。

おそらく本来、悪役令息は王太子にやられちゃう流れなんじゃない?性的な意味でも、命的な意味でも、さ。ストーリー上、こんな美形が二人揃って何もないとか、絵面的にありえないし。
でもまぁ、残念ながら悪役令息なは圧倒的雄だし、犯されるより犯したいタイプだから、ストーリーも狂っちゃうよねぇ。

「まぁ仕方ないんじゃん、珍しい体験ができて良かったと思えば?」
「なんだよそれは!」

素っ裸の王太子は立ち上がろうとしたものの立てず、ワンちゃんのおすわりの体勢でペチャリと座り込んでしまった。ネコなのにね。

「あらま。足腰立つ?」
「うるさいっ!」

気遣って手を差し出してあげたのに、パチンっと払い除けられた。

「こんなのおかしいだろ!私はっ、王太子だぞ!?」
「うん知ってるよ?それで?断罪しようとしたに雌堕ちさせられてどんな気分?」

悪役として退治してしまおうとした相手に堕とされて、どんな気分?
そう問えば、王太子は涙目で奥歯を噛み締めながら俺を睨んでくる。何も言い返せないらしい。

「くっ……!」
「……ははっ」

あまりの憐れさに、思わず吹き出した。
床に座り込んで喚いている王太子に対して、俺は勝手に拝借した絹のバスローブを羽織り、椅子に座って足を組んでいる。もう醸し出す余裕が違う。明らかに、俺、強者。圧倒的雄のオーラに平伏せ、このメスネコチャンめ。

「ううぅっ!同じ歳なのに、なんでそんなに手慣れてんだよ!変だろ!」

そりゃ前世から数えて千人斬りを達成してる俺と、筆下ろしすらまだのお子ちゃまじゃ勝負にならないよね。年季が違うし経験値が違うからね。……とは言わず、俺はにっこり笑って答えた。

「そりゃ天性のセンスと才能じゃない?」

だって一応、俺ってばコイツの婚約者なわけで。堂々と爛れた関係を言うわけにはいかないじゃない?
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