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自分の声は聞こえますか?

最強

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「羽汰、鑑定したかったら、俺らのこと鑑定してもいいぜ? ……いいよな? お前ら」


 彰人さんが声をかければ、サラさんたちは当たり前のようにうなずく。……手の内を知られたところで、負けるはずがない。そう思っているように感じた。


「見て諦めてくれたら一番なんだが。……まぁそうもいかないよな、お前らは」

「いいぞ、俺らのステータスは好きに覗いてくれ」

「…………」

「……エマ……」


 アリアさんとエマさんの目があった……ように見えた。エマさんはほんの一瞬だけ鋭い視線をむけたあとで、にこりと微笑んで僕を見た。


「どうぞ。鑑定して?」

「……はい」



名前 サラ

種族 小人族

年齢 95

職業 皇女

レベル 140

HP 40000

MP 21000

スキル アイテムボックス・鑑定・暗視・威圧(超上級)・剣術(超上級)・体術(上級)・初級魔法(熟練度10)・光魔法(熟練度10)・炎魔法(熟練度10)・風魔法(熟練度9)・雷魔法(熟練度10)・回復魔法(熟練度9)

ユニークスキル 森の加護・守護神

称号 時期女王・強き意思・天真爛漫・侮ると危険



名前 エド

種族 人間

年齢 50

職業 騎士

レベル 93

HP 16000

MP 9000

スキル アイテムボックス・剣術(超上級)・体術(超上級)・威圧(上級)・初級魔法(熟練度10)・光魔法(熟練度10)・炎魔法(熟練度9)・雷魔法(熟練度9)・土魔法(熟練度9)・回復魔法(熟練度6)

ユニークスキル 剣術の決意

称号 王室騎士団長・剣術の申し子・騎士の鑑



名前 タテイシ・アキヒト

種族 人間

年齢 68

職業 料理人

レベル 100

HP 150000

MP 80000

スキル アイテムボックス・剣術(初級)・体術(初級)・初級魔法(熟練度10)・炎魔法(熟練度10)・水魔法(熟練度10)・氷魔法(熟練10)・風魔法(熟練度10)・雷魔法(熟練度10)・土魔法(熟練度10)・光魔法(熟練度10)・闇魔法(熟練度10)・回復魔法(熟練度10)

ユニークスキル ステータス上限無効化・神の怒り

称号 最弱の転生者・災い・料理好き



名前 エマ

種族 人間

年齢 19

職業 ギルド受付嬢

レベル 90

HP 9600

MP 7100

スキル アイテムボックス・鑑定・剣術(超上級)・体術(上級)・初級魔法(熟練度10)・光魔法(熟練度10)・風魔法(熟練度9)・土魔法(熟練度8)・水魔法(熟練度8)・魅了(上級)

ユニークスキル 疑心暗鬼

称号 受付嬢・怖いものなし・遅刻魔



 ……なんだ、これ。
 サラさんやエドさんは、まだ分かる。レベルをあげたのだろう。スキルも少し変わっている。……でも、なんだ。エマさんと彰人さんのは、それだけじゃ説明がつかない。特に彰人さんだが……なんなんだ、このステータスは。


「……どういうことだ?」


 僕が四人のステータスを伝えると、アリアさんたちも、あからさまに驚いたような顔をした。


「エマ……この一年で、レベルを60以上も上げたのか……?!」

「そう……。私だって、悔しかったのよ、あのとき」


 『あのとき』というのが、なんのことなのかは言わなくても分かる。『あのとき』だ。そりゃきっと……エマさんだって、思うことはたくさんあっただろう。


「アリアとウタくんが王都を出てから、ずっとレベルをあげてきたの。アキヒトさんやエドさん……アリアのお父さんにも手伝ってもらって」

「…………」

「……エマは、頑張っていた。エヴァン様が亡くなってからは、より一層。俺もそれを手伝った。このレベルは、その結果だ」

「……あ、あの……サラさんは」


 フローラがおずおずと声をあげれば、サラさんは琥珀色の瞳をこちらに向ける。……あの日、送り出されたときの目に似ていた。


「塊'sから、なんとなくの情報は聞いていた、クラーミルでの一件があったときにな。それから……というわけでもないが、それからさらに力を入れて特訓した。その結果だよ」

「…………」

「……俺のステータスか一番気になる。嘘をついていたのか? ……とでも言いたげな瞳だな、羽汰」

「……熟練度が、全部10でした。……でも、確か前に彰人さんが話してくれたときは……」

「…………」


 熟練度は、どんなに努力しても1だったと話していたはずだ。それで、戦力外認定されて、五月雨を始めることになったのだと。そうやって僕に……進む道を示してくれたのだ。


「……ま、嘘はついていない。実際に熟練度は永遠に1のままだった。無論、今もな」

「でもっ」

「俺のスキル、鑑定したか?」


 ……首を振る。「ま、鑑定してみな」と彰人さんは片手をひらひらと振ってみせた。……僕は言われた通り、『神の怒り』を鑑定してみることにした。


神の怒り……使命を放棄した転生者への神の怒り。『勇姿』の変形。
 本当に守りたいものの為だけに発動できる。全ての初級魔法、属性魔法の熟練度を10まであげ、魔法による攻撃のダメージを1/10にする。さらにHPとMPが常に大回復する。発動時間は三時間。三時間以上発動することもできるが、その後即座に死亡する。


 ……え。
 なに……この、スキル。
 死ぬ……? 彰人さんが?


「……ついさっき発動したばっかりとはいえ、時間はそんなにねぇんだ」


 本当に守りたいものの為だけに発動……。彰人さんが、本当に守りたいものっていうのは…………。


「エヴァンにずっと止められていた技だ。でも……ここで使わなきゃって話だよな」
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