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ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!
サラとアリア
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僕らが城に戻ると、ポロンくんとフローラが駆け寄ってきた。
「あっ、二人ともごめ――」
「どこいってたんだよ!」
「どこいってたんですか!」
「ぷるぷるっ!」
「ご、ごめんな。私が、その……飛び出したばっかりに」
「全くもう! もしかしたら二人だけで山に行ったのかもって思って、めちゃくちゃ心配したんだからな!? もしも二人だけで山に行ってたら、おいらっ……おいらぁっ!」
言うと同時に、わっと泣き出してしまった。……今度のポロンくんは本当に怒ってる。悪いこと、しちゃったなぁ。
僕はポロンくんを優しく抱き締めて、ぽんぽんと背中をさすった。
「ごめんね。でも、僕らだけで行くなんてことないから、大丈夫だよ」
僕の服をぎゅっと握りしめたポロンくんが僕を見上げる。
「……ほ、ほんとかよ」
「本当だよ。……ですよね? アリアさん」
アリアさんは少し肩をすくめて言う。
「当たり前だろ? パーティーメンバーを置いてなんていかないさ。もう一人で飛び出したりしないから」
ポロンくんがうなずいたのを見ると、フローラが僕らの手を引いた。
「サラさんはこっちですよ。……まだ、意識は戻っていませんが」
「……アリアさん」
「…………」
僕らは、サラさんのもとへと向かった。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
サラさんは、ベッドに横たわって、眠っていた。寝息は静かで、苦しそうではない。さすが個性の塊's。治療は完璧のようだ。
それでも、ドロウさんはテラーさんやアイリーンさんよりは魔法や回復が得意ではないらしく、「目が覚めるまではそっとしておいてあげてください。あと、三日は安静にしてくださいね」と言っていたとか。……いや、アイリーンさんのチョコレートはまじでなんなのかよく分からない。
「…………姉さん……」
アリアさんは、サラさんの横でそっと膝をつき、その右手を、両手で包み込むように握った。
「さっき、城の医者に診てもらったが、特に異常はないようだ。呪いなんかもかけられていないし、怪我は見ての通りだ」
僕の後ろで国王陛下かそういう。アリアさんはそっとうなずいて、また、サラさんに目をやる。
……ただ横たわるだけのサラさんに、あのときのような活発な雰囲気は微塵も感じられない。力なく、ただ横たわる。
「……山で撃たれたと言うのが、どういうことだか、分かるよな?」
アリアさんがぼそっと僕に言う。僕はしっかりとうなずいた。
別に、今聞かれたのは、鳥を落としたやつがどうとか、銃の腕がどうとか、そんなことじゃないのだ。
山で……結界がなく、縮小化の魔法もかかっていないそこで、人間が小人族にたいして銃弾を撃ち込んだら……。
弾は、約7倍の大きさになって、自分に襲いかかるだろう。……山でサラさんが銃で撃たれたということは、つまりそういうことだ。それだけ、傷も大きかったし、体力の消費も激しかったということだ。
「……また、来るからな」
アリアさんは、ぎゅっと、よりいっそうサラさんの手を握り、やがて、そっと離す。そして、僕らに向かっていった。
「……よし、作戦をたてよう。一度部屋に戻るか」
「そうですね……」
「作戦って……も、もしかして! サラ姉をこんな目に遇わせたやつを倒そうってのか!?」
「む! むちゃですよ! だって、サラさんが、こんな……」
ポロンくんとフローラが言うと、国王陛下も心配そうに口を挟んだ。
「……なにも、アリアちゃんたちが頑張らなくてもいいんだよ? なんなら、兵士を派遣させる。君たちがわざわざ危険を侵す必要はないと思うんだけどなぁ」
しかし、僕らの……僕とアリアさんの意思だって、弱い訳じゃなかった。
「……確かに、危険だし、無茶かもしれない」
僕はまず、ポロンくんとフローラに向かって言う。なるべく優しく、伝わるように、落ち着いて。
「でも……もしも本当に敵が人間なら……僕らは、同じ人間として生きているから、そいつの動きを封じることも簡単にできるかもしれない。
……小人族は違う。小さい体じゃ、限界がある。なるべく、相手に対してのデメリットが少ないメンツで行くべきだと思うよ」
「そういうことです、陛下」
僕に続いて、今度はアリアさんが、国王陛下に向かって口を開いた。
「それに、マルティネスとミネドールは隣接しています。人間……となると、マルティネスかクラーミルのどちらかの者、という可能性が高いでしょう。
……もし、マルティネスからの者だった場合、私は、マルティネス帝国の姫として、やらなくてはならないことがあります」
「…………」
僕らの言葉を聞いた陛下は、ふっと微笑み、僕らに優しく言う。
「そうか……そこまで言うのなら、きっと止めても無駄みたいだね」
「申し訳ありません」
「ならばいいだろう。ただし、もし、君たちの身になにか起こったとしても……責任は一切負わないよ。分かっているね?」
僕らはうなずく。……と、僕はポロンくんとフローラを見た。どこか不安げな表情を浮かべた二人は、じっと僕を見ていた。
「……ってことになっちゃってるけど、二人は、大丈夫? 無理しなくてもいいんだよ?」
「……なーに、馬鹿なこと聞いてるんだよ」
ポロンくんがじっとこちらをにらみ、やがてそれは笑顔へと変わる。
「ウタ兄とアリア姉がそう言ってるんだ。断るなんて、そもそも選択肢にねーよ!」
「そうですよ!」
そして、フローラも笑みを浮かべた。
「どんな結果になったっていいです。それは……私が選んだ道でもあるから」
僕はアリアさんを見る。安心したようなその笑顔に、思わず僕の頬もゆるむ。
「じゃあ……部屋で作戦会議だな!」
「あっ、二人ともごめ――」
「どこいってたんだよ!」
「どこいってたんですか!」
「ぷるぷるっ!」
「ご、ごめんな。私が、その……飛び出したばっかりに」
「全くもう! もしかしたら二人だけで山に行ったのかもって思って、めちゃくちゃ心配したんだからな!? もしも二人だけで山に行ってたら、おいらっ……おいらぁっ!」
言うと同時に、わっと泣き出してしまった。……今度のポロンくんは本当に怒ってる。悪いこと、しちゃったなぁ。
僕はポロンくんを優しく抱き締めて、ぽんぽんと背中をさすった。
「ごめんね。でも、僕らだけで行くなんてことないから、大丈夫だよ」
僕の服をぎゅっと握りしめたポロンくんが僕を見上げる。
「……ほ、ほんとかよ」
「本当だよ。……ですよね? アリアさん」
アリアさんは少し肩をすくめて言う。
「当たり前だろ? パーティーメンバーを置いてなんていかないさ。もう一人で飛び出したりしないから」
ポロンくんがうなずいたのを見ると、フローラが僕らの手を引いた。
「サラさんはこっちですよ。……まだ、意識は戻っていませんが」
「……アリアさん」
「…………」
僕らは、サラさんのもとへと向かった。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
サラさんは、ベッドに横たわって、眠っていた。寝息は静かで、苦しそうではない。さすが個性の塊's。治療は完璧のようだ。
それでも、ドロウさんはテラーさんやアイリーンさんよりは魔法や回復が得意ではないらしく、「目が覚めるまではそっとしておいてあげてください。あと、三日は安静にしてくださいね」と言っていたとか。……いや、アイリーンさんのチョコレートはまじでなんなのかよく分からない。
「…………姉さん……」
アリアさんは、サラさんの横でそっと膝をつき、その右手を、両手で包み込むように握った。
「さっき、城の医者に診てもらったが、特に異常はないようだ。呪いなんかもかけられていないし、怪我は見ての通りだ」
僕の後ろで国王陛下かそういう。アリアさんはそっとうなずいて、また、サラさんに目をやる。
……ただ横たわるだけのサラさんに、あのときのような活発な雰囲気は微塵も感じられない。力なく、ただ横たわる。
「……山で撃たれたと言うのが、どういうことだか、分かるよな?」
アリアさんがぼそっと僕に言う。僕はしっかりとうなずいた。
別に、今聞かれたのは、鳥を落としたやつがどうとか、銃の腕がどうとか、そんなことじゃないのだ。
山で……結界がなく、縮小化の魔法もかかっていないそこで、人間が小人族にたいして銃弾を撃ち込んだら……。
弾は、約7倍の大きさになって、自分に襲いかかるだろう。……山でサラさんが銃で撃たれたということは、つまりそういうことだ。それだけ、傷も大きかったし、体力の消費も激しかったということだ。
「……また、来るからな」
アリアさんは、ぎゅっと、よりいっそうサラさんの手を握り、やがて、そっと離す。そして、僕らに向かっていった。
「……よし、作戦をたてよう。一度部屋に戻るか」
「そうですね……」
「作戦って……も、もしかして! サラ姉をこんな目に遇わせたやつを倒そうってのか!?」
「む! むちゃですよ! だって、サラさんが、こんな……」
ポロンくんとフローラが言うと、国王陛下も心配そうに口を挟んだ。
「……なにも、アリアちゃんたちが頑張らなくてもいいんだよ? なんなら、兵士を派遣させる。君たちがわざわざ危険を侵す必要はないと思うんだけどなぁ」
しかし、僕らの……僕とアリアさんの意思だって、弱い訳じゃなかった。
「……確かに、危険だし、無茶かもしれない」
僕はまず、ポロンくんとフローラに向かって言う。なるべく優しく、伝わるように、落ち着いて。
「でも……もしも本当に敵が人間なら……僕らは、同じ人間として生きているから、そいつの動きを封じることも簡単にできるかもしれない。
……小人族は違う。小さい体じゃ、限界がある。なるべく、相手に対してのデメリットが少ないメンツで行くべきだと思うよ」
「そういうことです、陛下」
僕に続いて、今度はアリアさんが、国王陛下に向かって口を開いた。
「それに、マルティネスとミネドールは隣接しています。人間……となると、マルティネスかクラーミルのどちらかの者、という可能性が高いでしょう。
……もし、マルティネスからの者だった場合、私は、マルティネス帝国の姫として、やらなくてはならないことがあります」
「…………」
僕らの言葉を聞いた陛下は、ふっと微笑み、僕らに優しく言う。
「そうか……そこまで言うのなら、きっと止めても無駄みたいだね」
「申し訳ありません」
「ならばいいだろう。ただし、もし、君たちの身になにか起こったとしても……責任は一切負わないよ。分かっているね?」
僕らはうなずく。……と、僕はポロンくんとフローラを見た。どこか不安げな表情を浮かべた二人は、じっと僕を見ていた。
「……ってことになっちゃってるけど、二人は、大丈夫? 無理しなくてもいいんだよ?」
「……なーに、馬鹿なこと聞いてるんだよ」
ポロンくんがじっとこちらをにらみ、やがてそれは笑顔へと変わる。
「ウタ兄とアリア姉がそう言ってるんだ。断るなんて、そもそも選択肢にねーよ!」
「そうですよ!」
そして、フローラも笑みを浮かべた。
「どんな結果になったっていいです。それは……私が選んだ道でもあるから」
僕はアリアさんを見る。安心したようなその笑顔に、思わず僕の頬もゆるむ。
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