上 下
99 / 387
ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!

閑話 クリスマス

しおりを挟む
「じゃ、おやすみー」

「おやすみ」


 パーティーを終え、僕らはいつものように眠りにつく。ドラくんの擬人化は、パーティーが終わると早々に解けてしまった。……でも、


「お主らと少しの間でも楽しめてよかった」


 ドラくんはこんな風に言ってたし、結果的には、よかった、のかな。
 またアリアさんが一緒の部屋にして睡眠不足は否めなかったのだけど、この日ばかりは、全員一緒の部屋でよかったと思う。


(……ポロンくん、寝たかな?)


 少し起き上がって、隣にいるポロンくんをツンツンする。部屋にはダブルベッドが二つあり、一つには僕とポロンくん、一つにはアリアさんとフローラという形になっている。
 ベッド四つにもできたが二人が嫌がったため、ダブルが二つという形になった。
 ちなみにスラちゃんは僕の枕元だ。


(……うん、寝たね)


 ちらりとアリアさんの方をみると、親指をたてて合図してくる。作戦実行の合図だ!


「「…………よし」」


 僕らは部屋から出て、洗面所の方へと向かった。


「ふう、じゃ、準備しましょうか」

「……これ、本当に着なきゃダメか?」


 アリアさんがアイテムボックスから取り出したミニスカを持ってヒラヒラさせる。


「まぁ、かわいいし、いいんじゃないですか?」

「なんだその理由は」

「いいんですよ! かわいいは正義ですよ!」

「どうしたウタ、お前変なキノコでも食ったか?」


 そんなこんないいつつ、アリアさんは浴室の方を指差した。


「着替えるから、お前はそっちで着替えてくれ」

「了解であります!」

「本当に大丈夫か? クリスマスでおかしくなったか?」


 僕は浴室に入りドアを閉めると、自分のサンタコスを取り出した。すっごくオーソドックスなやつだ。……あれ? 髭もついてる……。つけてみよっかな。


(……わぁーお)


 サンタ服を着て、髭をつけて、なんか、保育園のクリスマスに来るサンタさんみたいになった。


「ウター、着替え終わったか?」

「あ、はい、一応。出ても大丈夫ですか?」

「大丈夫だ」


 そう言われたのでドアを開けた。例の服に身を包んだアリアさんは、僕をみて小さく吹き出した。


「おまっ……なんでわざわざ髭つけた」

「そこに髭があったので」

「名言みたいに言うなバカ。さっさとプレゼント渡すぞ!」

「はーい」


 僕らはアイテムボックスからラッピングされたプレゼントをだし、そおっと部屋にはいる。ベッドの上にはすやすやと眠る二人。


「…………」

「…………」


 僕らは目配せし合うと、僕はポロンくんの、アリアさんはフローラの枕元にそっとプレゼントを置く。
 そして、だだだっと、洗面所に戻る。


「これでいいかな!?」

「いいと思います!」

「よし、寝よう」

「うーラジャー!」


 そして、僕らはさっさと着替えて、なにごとも無かったかのようにベッドに潜り込んで目を閉じた。


◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈


「…………」


 ウタ兄、寝たかな?
 ……よしよし、ちゃんと寝てるな。

 クリスマスの夜、おいらはもぞもぞと起き出した。そして、ちらっとフローラの方をみる。
 親指と人差し指をくっつけてオッケーのポーズ! よし!
 おいらたちはそそくさと洗面所の方へと向かった。


「……見た?」


 開口一番、フローラがそう聞いてくる。おいらは大きくうなずいた。


「見た……見た! すっごいかわいかったよな!? アリア姉のサンタ姿!」

「ウタさんは髭までつけてたよね」

「なんで髭……」

「変なキノコでも食べたんじゃ……?」


 そうして、一通りアリア姉とウタ兄のサンタ談義を終えると、おいらたちはアイテムボックスからプレゼントを取り出した。


「……おいらたちの、喜んでくれるかな?」

「大丈夫だよ、きっと! ……ところで、ウタさんとアリアさん、何くれたんだろう?」

「分かんないけど、向こうも悩んだと思うから何が来ても許す!」

「うん、そうだね!」


 そして、部屋のなかに戻り、そろりそろりと近づいてプレゼントを枕元に置いた。
 ……ありがとな、ウタ兄。おいらたちのために色々頑張ってくれてるの、知ってるよ。大好きだよ、ウタ兄。


(……って、こんなこと本人には絶対絶対言えないけどな)


 自分で恥ずかしくなってフローラの方を見た。フローラはそれに気づくと、にっこりを笑ってピースをしてくる。


『ねよう』


 おいらは口をパクパクさせてそう言った。


『おやすみ』


 フローラは、多分こう言ったと思う。おいらたちはお互いに、そっと、ベッドの中に戻っていった。
 ウタ兄の体って、あったかいから好きだ。ずっと寒いところで寝てたから、安心して落ち着いて、寝過ごすことも多いけど。


(これからも、優しい兄ちゃんでいてくれよな)


 そう思いながら、目を閉じた。


◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈


 朝だ。日の光が差し込み、目を覚ます。さーて、昨日のプレゼントの反応が気になるなー。ポロンくんもフローラも喜んでくれるといいけど……。ん?

 そんなことを思ってた僕の顔に、何かがガサッと音をたてて当たる。目を開いてそれを見ると、なにやらプレゼントのようだということが分かる。……あれ? 僕、こんなところに置いたっけ? というか、僕が買ったのと包装紙が違うような…………。


「うわぁぁぁぁぁ!?」


 思わず飛び起きた。だ、だって! 僕らなにもやってないのに! 知らないプレゼントがある!


「うーん……どうした、ウタ」

「あああアリアさん! みみ、見てくださいよ! これ!」


 僕がプレゼントを見せると、アリアさんも驚いたように声をあげる。


「え……あ……うわぁぁぁぁぁ!?」

「ど、どうしました!?」

「……私の方にもある」

「ええええっ?!」

「んー、おはよーウタ兄、アリア姉」

「ふぁぁ……おはようございますー」

「あっ! フローラ! プレゼントあるぞ!」

「本当だ! あ、お二人にも届いたんですね!」

「え、あ、うん」

「いい子にしてたから、サンタさんが持ってきてくれたんだな!」


 そう……なのかな。そうかぁ!


「アリアさん!」

「あぁ!」

「「サンタさんっていたんだ!」」

「……くすっ」

「よかったなぁ、アリア姉! ウタ兄!」


※プレゼントの中身
 ウタ→コート
 アリア→ブーツ
 ポロン→正体不明のおもちゃ
 フローラ→正体不(ry
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

転生調理令嬢は諦めることを知らない

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。  主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。  追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。  2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。

異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜

トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦 ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが 突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして 子供の身代わりに車にはねられてしまう

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰? あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。 わたし、どうなるの? 不定期更新 00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

処理中です...