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ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!

れべりんぐなう

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 その後、立ち話もなんだからと言って、喫茶店に入ることにした。四人席に椅子を一つ持ってきて五人で座る。
 フローラとポロンくんなんか結構疲れていて、椅子に座った瞬間、大きくため息をついた。


「ふぅ……疲れました」

「おいらもだよ……。なぁウタ兄、ジュース頼んでいいかなぁ?」

「いいよ。フローラもなにか頼みなよ。アリアさんとサラさんはどうします?」

「私はコーヒーかな。ブラックで頼む!」

「じゃあ私も、サラ姉さんと同じので」

「お、おいらもアリア姉と同じのにする!」

「お前ブラック無理だろ」

「む、無理じゃない! おいら大人だもん!」


 すると、そんなやり取りを見ていたサラさんが笑い声をあげる。


「あはは! アリア姉かぁ、いいなぁそれ! なぁポロン、私のことも同じ風に呼んでくれよ」

「え……ええっ?! なんでだよ!」

「大きな理由はないが、いいじゃないか。減るもんじゃあるまいし」

「……なんか減りそう」


 しばらく粘ったポロンくんだったが、その後


「…………さ、サラ……姉……」

「…………」

「ほ、ほらっ! 言ったぞ! これでいいんだろ!?」

「……うむ、なるほど。これは……いいな。うん」

「……えっと、アリアさんからそれっぽく呼ばれてますけどね」

「確かに……」


 しかし、それでもなおサラさんはご機嫌でニコニコと笑っていた。
 なんというか、明るい人だよなぁ。アリアさんは、この人に似たのだろうか? どことなく雰囲気が似ているし、さばさばとした物言いの奥に優しさが滲み出ているのが、なんともアリアさんっぽい。

 僕が店員さんにコーヒーを三つ――結局ポロンくんも頼んだ――と紅茶を二つ頼むと、サラさんは少し机から乗り出すようにして問いかけてきた。


「んで、どうだ? ディランの情報は見つかったか?」

「それが……あんまりめぼしい情報はなくてな。今までで分かったのは、ディランがサワナルに寄っていたってことくらいだな」

「そうか。まだまだディランは遠いのか。……大変だな」


 アリアさんが少しだけ顔を伏せる。
 ……ごめんなさいアリアさん。早く、見つけましょうね。
 そんなことを、思っていた。


「ところでさ、お前ら、冒険者ランクはいくつなんだ?」

「あっ」


 フローラも冒険者登録をし、晴れてパーティー結成をしたわけだが、僕らの冒険者ランクはDのままだった。そろそろCに上がりたいなぁ。


「……その顔だと、全く上げてなかったんだな」

「はい、その通りです」

「そうかそうか。それじゃあ……ここ出たら依頼を受けて、ランク上げに行ったらだろうだ? いい狩りのスポットは知ってるぞ!」


 …………ん? あれぇ?


◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈


「あっはっはっは! 聞いてはいたが、本当にヘタレだなぁ!」

「や、やめてくださいよ!」

「さ、サラさん……私もう、体力が……」


 僕らは絶賛れべりんぐ中です!

 れべりんぐ、とはなにか……。知らない方のために説明すると、レベルをあげることだ。
 僕らが今やっているのは、さっきギルドから受注してきた『森林中の魔物討伐』という依頼だ。目標個体数は100。いやかなり辛いよ!? フローラもポロンくんもぐったりしている。平気なのは……アリアさんくらいだ。

 今のところ討伐数は46。半分もいってないのだ。サラさんはというと、依頼には手出しできないからと手伝ってはくれない。
 ……あの、でも、あなたがいなかったら僕は確実に『薬草収集30』選んでましたからね!?


「まぁ、女子供の体力が尽きるのはしょうがないだろう。よし、ウタ、やってこい!」

「ええええええっ?!」

「サラ姉さん……無理だ。こいつ、普段はそんなこと出来ない。ヘタレだからな」

「さすがアリアさんよく分かってらっしゃる!」

「ちぇっ、つまんないなぁ……」


 サラさんは不服そうに口を尖らせると、じーっと僕のほうに目を向けてきた。


「……な、なんですか?」

「面白いスキル持ってるなーと思ってな」

「勝手に鑑定されてる!?」

「アリアも……なんか、ヤバイの持ってるな。ポロンも」

「道中でもらったんだよ……。でも、ジャッジメントはもう使えないな」

「なんでだ?」

「消費MP15000だからだ」


 それを聞いたサラさんは頭を抱えつつアリアさんに訊ねる。


「あっちゃー……。てかさ、それくれたの誰だ? 私が知ってる限りそれ使えるの一人しかいないんだが?」


 えっ? 一人は知ってるんですか?! それ持ってるの、塊以外にいるの!?


「えっと……アイリーン、ってやつなんだが?」

「あっ! そいつ知ってる!」


 個性の塊's知ってたぁぁぁぁ!!! でも他の誰かじゃなくてよかったぁぁぁ!!!


「四年前くらいにここに来たことがあるんだ! 今でも一人は住んでるぞ。山の麓辺りにな」


 そう言ってサラさんは視線をちらりと後ろに向ける。そこには巨大な山。どちらかというと火山のようなゴツゴツとした山で、登るのは相当大変そうだ。


「そっかそっか。塊'sからもらったのか! あいつら強いよなぁ」

「……サラさんとどっちが強いんですか?」

「あいつらに決まってるだろ」


 僕の失神は阻止されました! よかった!


「特にジュノンはなぁ……あいつが戦ってるの見たことあるが、もはや戦いじゃないぞ」

「……と、いうと?」

「あれはいじめだ」

「あ。はい」

「ほらっ! さっさと残り54体!
 そんなこと言ってたらオークたちがのこのこ出てきたぞ? ほらウタ! やっちまえ!」

「え、ちょ、待ってぇ!」


 ちょっとぼんやりしていたら背中を押され、戦わざるを得なくなってしまった僕です。


「…………勇気、ねぇ」
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