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怪しい宗教はお断りします

練習しよう!

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 こんにちは柳原羽汰です。突然ですが、レベルが上がりました。
 メヌマニエと対峙したときに『勇気』が発動していたかどうか、ステータス見ていないからしっかりしたところは分からないが、メヌマニエを鑑定できたことから察するに、発動していたのだろう。

 そんなこんなで、前後の戦闘も含め、レベルと魔法の熟練度が上昇していた。結果として、僕のステータスはこんな感じになっていた。



名前 ウタ

種族 人間

年齢 17

職業 冒険者

レベル 18

HP 27000

MP 14400

スキル 言語理解・アイテムボックス・鑑定・暗視・剣術(中級)・体術(中の下級)・初級魔法(熟練度3)・光魔法(熟練度1)・炎魔法(熟練度1)・氷魔法(熟練度1)・使役(初級)・ドラゴン召喚

ユニークスキル 女神の加護・勇気

称号 転生者・ヘタレ・敵前逃亡



 ……お気づきだろうか?
 そう! 熟練度があがって、属性魔法が開放されたのだ! 光と炎と氷! これでやっと勇気なしでも火力があげられる!
 そして、今回の一件でポロンくんとフローラのレベルもあがった。そこで、フローラが頼んできたのは、単純かつ、フローラらしいことだった。


「みなさんと一緒に、魔法の練習がしたいんです!」


 そこで、ポロンくんが起きるのを待ち、魔物討伐と薬草収集のスキルをもってやって来たのがここ。サワナルを出て少し行ったところにある原っぱだ。
 薬草もいっぱい生えてるし、低級の魔物も多く、依頼をこなすのにも向いている。

 ……え? どうしてこんなこと知ってるのかって? そりゃあ、魔法の練習と言ってるのに、この人がついてこないわけないだろう。


「うーーーん! 久しぶりの外はやっぱいいなぁ! 壁とか結界に気を配らなくていい分、すっごく楽!」


 いいながらテラーさんは伸びをする。そう、ここは、テラーさんがよく回復薬の材料や食材を集めに来ている場所。魔法の練習と聞いて、ここを教えてくれたのだ。さらには先生がわりに色々教えてくれるらしい。

 余談ではあるが、今まで、自分からはめんどうごとに突っ込まないようにしていたが、隔離された街で、食料や生活用品の調達をしてくれていたテラーさんに、お礼として服が一式贈られたんだとか。
 フローラが言うには、テラーさんは服を上下三着しか持っていないらしく、他のを着ているのが想像できない、と……。僕も転生してからほとんどこの服なんだけど。


「ありがとうな、テラー。付き合ってもらっちゃって」

「いえいえ。体動かしたくてうずうずしてたし。えっと、属性魔法の使い方? 使いこなし方、かな?」

「はい! お願いします!」

「お願いします!」

「了解しましたっと」


 テラーさんは手のひらを上に向け、僕らに分かりやすいように詠唱する。


「アイスランス、と、アイスボール」


 すると、テラーさんの手のひらの上に、氷の槍とボールが浮かぶ。


「基本的な属性魔法はこの二つ。ランス系とボール系ね。消費MPも少な目だし、形とかイメージしやすいから作りやすい。炎魔法と氷魔法、あと水魔法なんかではよく使うよね」


 そしてそれらを消すと、僕らの顔を見て、うんうんとうなずいた。


「なるほどね。あとは光魔法と闇魔法と風魔法と土魔法と雷魔法と回復……って、全部じゃん!」

「いや……私は別にいいぞ?」

「いやいやアリアさんや、雷魔法って極めるとめっちゃ強いからさ。教えるよというか教えたい」

「あ、あぁ……」

「じゃあ、光魔法と闇魔法からね」


 テラーさんは魔法を放とうとして、止めて、フローラに訊ねた。


「フラッシュランスとか、出来るって知ってる?」

「え? 光魔法って、形がないから、そもそも槍とかって……」

「出来るんだなぁ、これが。……フラッシュランス」


 すると、テラーさんの手から光の槍が現れた……と思うやいなや、その槍はすごい速さで飛んでいき、少し遠くにあった木の幹を貫通した。
 僕はもちろん、光魔法を使えるはずのアリアさんも絶句した。……速すぎるって。


「光魔法は剣とかに宿してみたり、目眩ましに使ったりってことが多いけど、実は雷魔法と同じかそれ以上に速いし、殺傷能力もかなりのもんだよ。あと闇魔法はねー」


 圧倒されている僕らを気にせずに、テラーさんは今度は闇魔法を放とうとした。


「闇魔法は制御が難しいけど、使いこなせると大きい戦力になるよ。……ジュノンの方がこれは上手いんだけどなぁ。ま、いっか。
 ダークネスチェイン」


 すると、いつのまにかテラーさんの手には真っ黒い鎖が握られていて、それをテラーさんが振ると、何mも離れた場所にある木が、横に真っ二つに切れ、大きな音をたて、地面に倒れる。


「……なんですか、今の」

「チェイン系はMPごっそり持ってかれるけど、楽しいんだよね」

「答えになってない!」

「鎖状に魔法を発動させるのがチェイン系だね。ただ、握らなきゃいけないから炎魔法にはちょっと向かない。レベルがあがれば可能だけど。
 おすすめは闇魔法と水魔法かな。今のは先っぽに刃をつけて、鎖鎌的な感じにしてみましたー。

 あとは特に特出して言うことも無いんだよね……。水魔法と風魔法は少しにていて、ストリーム系を使いこなせると大きいし、応用でウェーブが出来るってことかな。殺傷能力は弱めだから、練習はしやすいね。
 土魔法は他と違いすぎて何とも言えないし」

「……そんなに違うのか? 土魔法」

「うん。他の魔法はその物質を出現させて操るけど、土魔法に関してはその場にあるものを利用することも多いしね。
 あとは、敵を拘束したりできるリヴィー、土を槍状にするソイルランス、落とし穴ならアースアート。この辺は……覚えて慣れてくれ」

「雑!」


 そしてテラーさんは、最後にアリアさんの方を見た。


「よし! 雷魔法は一緒に練習しよう! アリアさん!」

「あぁ……一緒?!」

「雷魔法って、練習段階だと暴発しやすいし、私なら抑えられるからさ」

「そういうものか……」

「……よし、試しに雷魔法打ってみようか」


 そういうとテラーさんは僕たちから少し離れた。そして、僕らに背を向け、手を前につき出す。


「エレキテル」


 なんの変哲もない、普通の雷魔法だ。しかし、威力は普通ではなかった。
 空から落ちた雷は激しい音をたて、地面に直径1mほどの穴を開けた。

 うわぁ…………。

 そして、あげくの果てに、アリアさんに向かってこんなことを言う。


「よし! やってみよう!」

「出来るわけねーだろ!?」
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