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ウタと愉快な盗賊くん
チョコレートとは(定義)
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「アイリーンさん!」
「無事か!?」
「んー?」
二人で急いでホテル・チョコレートに戻ると、アイリーンさんは、寝ずにチョコレートをもぐもぐ食べていた。
「どーしたの? だいじょーぶ?」
「……だ、大丈夫ですけど」
「とりあえず、ここはまだ突き止められていないようだな」
ホッと一息つき、アイリーンさんの手を引く。
「奥の方に隠れましょう。そのうちここにキルナンスが――」
言い終わらないうちに、正面の扉が勢いよく開かれた。
「いたぞ! マルティネス・アリアだ!」
「っ! くそっ……」
「アリアさんは下がっててください!」
僕はアリアさんとアイリーンさんの前に出る。そして、剣を抜くと、キルナンスに向けた。
入ってきたのは男三人。そのうちの一人を鑑定して見る。
鑑定失敗
レベル差ぁぁぁぁぁ!!!
ヤバイどうしよどうしよ。勇気発動しないし! 肝心なときに発動しないんですねあなた!
「あー? なんだお前。痛い目にあいたくなかったらとっととおうち帰ってな」
おうちは初っぱなに焼かれちゃったんですよぉ……。
恐怖が勇気の三倍ほどに膨れ上がり、がくがくと震え始めた。体格が倍ほどもある男たち。うぅ……こ、怖い……。
「どかねーってのか? ならそれはそれでいいけどよ。悪いがな、男は全員殺しても構わないって言われてるんだよ」
やぁあああぁぁぁぁあ!!! 殺されるうぅぅうぅぅううううぅう!!!
「お客さーん?」
そんな僕の前にひょこっと出てきたアイリーンさんはキルナンスの男たちに向かってふにゃっと笑う。……いや、
「絶対お客じゃないでしょ!」
「いらっしゃーい。一泊チョコレートの銀貨二枚だよー」
「そして成長してない!」
「お、おい! アイリーン! こっちに戻って」
「あぁ? んだお前。俺らが客に見えるってのか。バカか?」
……申し訳ないけどキルナンスに同意するしかない。
それでもアイリーンさんはチョコレート片手にその男たちに話しかける。
「泊まらないのー? じゃー、ご飯ー?」
「……ちっ、邪魔だな。まぁ女だからいいか。連れてくぞ」
「ちょ! だ、ダメです!」
男の一人がアイリーンさんの腕をつかむ。それを見て、止めようと飛び出したが押し返されてしまう。
「ふぁー?」
「ほら、さっさと来い!」
そして、男が強くアイリーンさんの腕を引っ張った。その時だった。
――アイリーンさんの手から、食べかけのチョコレートが床に落ちたのだった。
「手間取らせるんじゃねーよ! ほらとっと歩」
「チョコレート……落としちゃった……」
突然変わった声色にゾッとしたのは、僕だけではなかったようだ。男はぎょっとしたような顔をして、アイリーンさんを見る。
「な……なんだよ、お前。怒ってんのか?
……はっ! たかがチョコレートだろ? んなのどうでもいい」
「たかがって、言ったね」
そして、自分の腕をつかむ手を、もう片方の手で握ると、ボソッと呟くように言いはなった。
「…………チョコレートの恨み」
「なっ――!?」
「……っ?!?!」
「あ、兄貴っ?!」
男たちも、アリアさんも、もちろん僕もその光景に開いた口が塞がらなかった。
なんと、アイリーンさんの腕をつかんでいた男が、その場から消えたのだ。
……いや、正確には消えたのではなく、一瞬にしてロビーの外に吹き飛ばされていたのだが。
フリーズしていた残りの二人はハッとしたように吹き飛ばされた男に駆け寄る。意識はあるようだが、いまだに状況を把握しきれてないようだ。
その男たちに向かって、ゆっくりとアイリーンさんは歩み寄る。
「私のチョコ……私の、チョコ……」
「わ、悪かった! 悪かったって! チョコなら買ってやるから」
「あれはね? 期間限定のやつなんだよー? 予約して、最後の一個だったんだよ? ……同じの、用意できる?」
「い、いや、それは……」
え!? 待って待って待って! 食べ物の恨み怖い!
アイリーンさんはわずかに微笑みながら右手の手のひらを上に向け、詠唱する。
「ブラックサンダー!」
「っ!!」
ぎゅっと目をつぶる。……誰もが、なにかヤバイ攻撃がくると思った。しかし、いつまで経ってもそんなものは来なくて、そっと目を開くと……、
ぽんっ!
……と、アイリーンさんの手の上に小さな個包装のお菓子が現れた。その袋を破き、アイリーンさんは幸せそうに笑った。
「いただきまーす」
そしてもぐもぐと美味しそうに食べたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・。
ブラックサンダー!? あの!? あの、コンビニとかでよく売ってる、あの!!?? なぜ!!!???
「ふー、おいしかったぁー」
ブラックサンダーを食べ終え、ご満悦のアイリーンさんは、右手をすっと上にあげた。
「それじゃ――ジャッジメント~!」
瞬間、空に巨大な魔方陣が現れたと思うと、真っ白い光が閃光のように降り注いだ。
……え。
「ええええええええっ??!!」
なにこれ!? なにこれ!? なにこれ!? いや、語彙力めっちゃ低下してるけどさ、え!? なにこれ!?
……光が収まると、すっかりのびた男が三人、転がっていた。
「…………え」
「街の中のキルナンスの人、みんなやっつけたよー!」
「……みんな、ですか」
「チョコレート落としたのが悪い」
「……チョコってなんだっけ」
「神」
「……はぁ」
…………そうだっけ?
「もしくは私の最強のエネルギー源」
「…………はぁ」
「……ウタ、今のは、なんだ?」
「あ、アリアさん。無事…………ですよね。こんな状況ですから」
戸惑いが隠せない僕らにやっと気がついたのか、アイリーンさんがニコニコしながら僕の顔を覗き込む。
「どーしたのー?」
「……ステータス見せてください」
「んー! いいよー!」
色々言うより、これが一番早いだろう。
名前 アイリーン
種族 人間
年齢 22
職業 村人(僧侶)
レベル 97
HP 165000
MP 330000
スキル アイテムボックス・千里眼・剣術(中級)・体術(中級)・初級魔法(熟練度10)・炎魔法(熟練度8)・水魔法(熟練度9)・氷魔法(熟練9)・風魔法(熟練度7)・雷魔法(熟練度9)・土魔法(熟練度8)・光魔法(熟練度10)・闇魔法(熟練度7)・回復魔法(熟練度10)
ユニークスキル 魔力倍増・ステータス上限無効化・ジャッジメント・ブラックサンダー・チョコレート・チョコレートの恨み
称号 最強の元僧侶・チョコレート愛好家・睡魔・個性の塊's
……うん。あれ?
ドラくんより強いんじゃね?
……あっれぇー?
「無事か!?」
「んー?」
二人で急いでホテル・チョコレートに戻ると、アイリーンさんは、寝ずにチョコレートをもぐもぐ食べていた。
「どーしたの? だいじょーぶ?」
「……だ、大丈夫ですけど」
「とりあえず、ここはまだ突き止められていないようだな」
ホッと一息つき、アイリーンさんの手を引く。
「奥の方に隠れましょう。そのうちここにキルナンスが――」
言い終わらないうちに、正面の扉が勢いよく開かれた。
「いたぞ! マルティネス・アリアだ!」
「っ! くそっ……」
「アリアさんは下がっててください!」
僕はアリアさんとアイリーンさんの前に出る。そして、剣を抜くと、キルナンスに向けた。
入ってきたのは男三人。そのうちの一人を鑑定して見る。
鑑定失敗
レベル差ぁぁぁぁぁ!!!
ヤバイどうしよどうしよ。勇気発動しないし! 肝心なときに発動しないんですねあなた!
「あー? なんだお前。痛い目にあいたくなかったらとっととおうち帰ってな」
おうちは初っぱなに焼かれちゃったんですよぉ……。
恐怖が勇気の三倍ほどに膨れ上がり、がくがくと震え始めた。体格が倍ほどもある男たち。うぅ……こ、怖い……。
「どかねーってのか? ならそれはそれでいいけどよ。悪いがな、男は全員殺しても構わないって言われてるんだよ」
やぁあああぁぁぁぁあ!!! 殺されるうぅぅうぅぅううううぅう!!!
「お客さーん?」
そんな僕の前にひょこっと出てきたアイリーンさんはキルナンスの男たちに向かってふにゃっと笑う。……いや、
「絶対お客じゃないでしょ!」
「いらっしゃーい。一泊チョコレートの銀貨二枚だよー」
「そして成長してない!」
「お、おい! アイリーン! こっちに戻って」
「あぁ? んだお前。俺らが客に見えるってのか。バカか?」
……申し訳ないけどキルナンスに同意するしかない。
それでもアイリーンさんはチョコレート片手にその男たちに話しかける。
「泊まらないのー? じゃー、ご飯ー?」
「……ちっ、邪魔だな。まぁ女だからいいか。連れてくぞ」
「ちょ! だ、ダメです!」
男の一人がアイリーンさんの腕をつかむ。それを見て、止めようと飛び出したが押し返されてしまう。
「ふぁー?」
「ほら、さっさと来い!」
そして、男が強くアイリーンさんの腕を引っ張った。その時だった。
――アイリーンさんの手から、食べかけのチョコレートが床に落ちたのだった。
「手間取らせるんじゃねーよ! ほらとっと歩」
「チョコレート……落としちゃった……」
突然変わった声色にゾッとしたのは、僕だけではなかったようだ。男はぎょっとしたような顔をして、アイリーンさんを見る。
「な……なんだよ、お前。怒ってんのか?
……はっ! たかがチョコレートだろ? んなのどうでもいい」
「たかがって、言ったね」
そして、自分の腕をつかむ手を、もう片方の手で握ると、ボソッと呟くように言いはなった。
「…………チョコレートの恨み」
「なっ――!?」
「……っ?!?!」
「あ、兄貴っ?!」
男たちも、アリアさんも、もちろん僕もその光景に開いた口が塞がらなかった。
なんと、アイリーンさんの腕をつかんでいた男が、その場から消えたのだ。
……いや、正確には消えたのではなく、一瞬にしてロビーの外に吹き飛ばされていたのだが。
フリーズしていた残りの二人はハッとしたように吹き飛ばされた男に駆け寄る。意識はあるようだが、いまだに状況を把握しきれてないようだ。
その男たちに向かって、ゆっくりとアイリーンさんは歩み寄る。
「私のチョコ……私の、チョコ……」
「わ、悪かった! 悪かったって! チョコなら買ってやるから」
「あれはね? 期間限定のやつなんだよー? 予約して、最後の一個だったんだよ? ……同じの、用意できる?」
「い、いや、それは……」
え!? 待って待って待って! 食べ物の恨み怖い!
アイリーンさんはわずかに微笑みながら右手の手のひらを上に向け、詠唱する。
「ブラックサンダー!」
「っ!!」
ぎゅっと目をつぶる。……誰もが、なにかヤバイ攻撃がくると思った。しかし、いつまで経ってもそんなものは来なくて、そっと目を開くと……、
ぽんっ!
……と、アイリーンさんの手の上に小さな個包装のお菓子が現れた。その袋を破き、アイリーンさんは幸せそうに笑った。
「いただきまーす」
そしてもぐもぐと美味しそうに食べたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・。
ブラックサンダー!? あの!? あの、コンビニとかでよく売ってる、あの!!?? なぜ!!!???
「ふー、おいしかったぁー」
ブラックサンダーを食べ終え、ご満悦のアイリーンさんは、右手をすっと上にあげた。
「それじゃ――ジャッジメント~!」
瞬間、空に巨大な魔方陣が現れたと思うと、真っ白い光が閃光のように降り注いだ。
……え。
「ええええええええっ??!!」
なにこれ!? なにこれ!? なにこれ!? いや、語彙力めっちゃ低下してるけどさ、え!? なにこれ!?
……光が収まると、すっかりのびた男が三人、転がっていた。
「…………え」
「街の中のキルナンスの人、みんなやっつけたよー!」
「……みんな、ですか」
「チョコレート落としたのが悪い」
「……チョコってなんだっけ」
「神」
「……はぁ」
…………そうだっけ?
「もしくは私の最強のエネルギー源」
「…………はぁ」
「……ウタ、今のは、なんだ?」
「あ、アリアさん。無事…………ですよね。こんな状況ですから」
戸惑いが隠せない僕らにやっと気がついたのか、アイリーンさんがニコニコしながら僕の顔を覗き込む。
「どーしたのー?」
「……ステータス見せてください」
「んー! いいよー!」
色々言うより、これが一番早いだろう。
名前 アイリーン
種族 人間
年齢 22
職業 村人(僧侶)
レベル 97
HP 165000
MP 330000
スキル アイテムボックス・千里眼・剣術(中級)・体術(中級)・初級魔法(熟練度10)・炎魔法(熟練度8)・水魔法(熟練度9)・氷魔法(熟練9)・風魔法(熟練度7)・雷魔法(熟練度9)・土魔法(熟練度8)・光魔法(熟練度10)・闇魔法(熟練度7)・回復魔法(熟練度10)
ユニークスキル 魔力倍増・ステータス上限無効化・ジャッジメント・ブラックサンダー・チョコレート・チョコレートの恨み
称号 最強の元僧侶・チョコレート愛好家・睡魔・個性の塊's
……うん。あれ?
ドラくんより強いんじゃね?
……あっれぇー?
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