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23 最後の確認
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「やっと2人切りになれた」
最初の部屋に戻ったヴィリディスは、部屋に入るなりティレーリアをぎゅっと抱きしめた。
「ティーア。 僕も、ティーアに力を分けるつもりだ」
「――うん」
「力を分けたら、ティーアは人よりも永く生きる事になる。と言っても、120歳とか130歳くらいまでだけど」
「120歳……しわくちゃの、おばあちゃんになっちゃうわね……おばあちゃんになっちゃってから、やっぱりもう要らないって、言わない?」
ティレーリアの心配そうに下げられた眉に、ヴィリディスが笑う。
「魔族はね。ある程度の年齢から姿が変わらないんだ。 それは力を分けた花嫁も、同じだよ」
僕の親を見たでしょ?と可笑しそうに笑っているヴィリディスに、ティレーリアは目を丸くする。
「おばあちゃんに、ならないの??」
「そうだね…大体、人の4・50代くらいの見た目で止まるかな。父は今180歳くらいで、母は…90歳くらい。多分この先もほとんど見た目は変わらないはずだよ」
だからね、とヴィリディスはぽかんとしているティレーリアの頬に唇を寄せる。
「要らないなんて絶対言わないから、安心して。 まぁ仮にしわくちゃのおばあちゃんになっても言わないし、きっとおばあちゃんになったティーアも可愛いだろうけど」
「そ……それは、どう、かしら……」
もごもごと俯いたティレーリアの髪を梳いて、ヴィリディスは続ける。
「だけど、永く生きるって事はね。ティーアがこれまで一緒に過ごしてきた人たちに、置いて行かれる事になる」
ヴィリディスの言葉に、ティレーリアはあ、と声を上げた。
「王女がティーアの親達にどう伝えるつもりなのか分からないけど…。ちゃんとティーアが生きている事にしてくれたなら、直接会いに行って良いよ。いつでも自由に里帰りってわけには行かないんだけど、様子を見るだけならいつだってして良い。 だけど、親や友達は老いていって。そしていつかは全員、ティーアを残して先に逝ってしまう日が来る」
ヴィリディスの言葉を呆然と聞いているティレーリアの頬を、ヴィリディスがそっと包む。
「だけど、ごめん。 僕は、それでもティーアに力を分けるよ。少しでも永く隣にいて欲しいから。 必ず僕が、ティーアを見送る。 絶対一人には、しないから」
「ヴィ―……」
ティレーリアの瞳から、涙が零れる。
「ティーア……ティレーリア。それでも、僕のお嫁さんに、なってくれる?」
ティレーリアは涙を拭うと、頬を包んでいるヴィリディスの手に自分の手を重ねる。
「みんなの事を考えると、寂しいけど。 でも私ね、子供はたくさん欲しいの」
「……ティーア?」
「きっとその頃には、私とヴィーの家族が増えて賑やかになってるわ。ずっと2人切りだなんて事は、ないでしょう?」
ヴィリディスの手に重ねていた手を離して、今度はヴィリディスの頬を包む。
「ヴィリディス、私を、貴方のお嫁さんにして下さい」
「ティーア……!」
ぎゅうっと、思いきり抱き締められて、ティレーリアは苦しいわともがく。
でもいくらもがいてもヴィリディスは腕を緩めてはくれないから、ティレーリアはヴィリディスの背中に回した手できゅっとヴィリディスの服を握りしめた。
最初の部屋に戻ったヴィリディスは、部屋に入るなりティレーリアをぎゅっと抱きしめた。
「ティーア。 僕も、ティーアに力を分けるつもりだ」
「――うん」
「力を分けたら、ティーアは人よりも永く生きる事になる。と言っても、120歳とか130歳くらいまでだけど」
「120歳……しわくちゃの、おばあちゃんになっちゃうわね……おばあちゃんになっちゃってから、やっぱりもう要らないって、言わない?」
ティレーリアの心配そうに下げられた眉に、ヴィリディスが笑う。
「魔族はね。ある程度の年齢から姿が変わらないんだ。 それは力を分けた花嫁も、同じだよ」
僕の親を見たでしょ?と可笑しそうに笑っているヴィリディスに、ティレーリアは目を丸くする。
「おばあちゃんに、ならないの??」
「そうだね…大体、人の4・50代くらいの見た目で止まるかな。父は今180歳くらいで、母は…90歳くらい。多分この先もほとんど見た目は変わらないはずだよ」
だからね、とヴィリディスはぽかんとしているティレーリアの頬に唇を寄せる。
「要らないなんて絶対言わないから、安心して。 まぁ仮にしわくちゃのおばあちゃんになっても言わないし、きっとおばあちゃんになったティーアも可愛いだろうけど」
「そ……それは、どう、かしら……」
もごもごと俯いたティレーリアの髪を梳いて、ヴィリディスは続ける。
「だけど、永く生きるって事はね。ティーアがこれまで一緒に過ごしてきた人たちに、置いて行かれる事になる」
ヴィリディスの言葉に、ティレーリアはあ、と声を上げた。
「王女がティーアの親達にどう伝えるつもりなのか分からないけど…。ちゃんとティーアが生きている事にしてくれたなら、直接会いに行って良いよ。いつでも自由に里帰りってわけには行かないんだけど、様子を見るだけならいつだってして良い。 だけど、親や友達は老いていって。そしていつかは全員、ティーアを残して先に逝ってしまう日が来る」
ヴィリディスの言葉を呆然と聞いているティレーリアの頬を、ヴィリディスがそっと包む。
「だけど、ごめん。 僕は、それでもティーアに力を分けるよ。少しでも永く隣にいて欲しいから。 必ず僕が、ティーアを見送る。 絶対一人には、しないから」
「ヴィ―……」
ティレーリアの瞳から、涙が零れる。
「ティーア……ティレーリア。それでも、僕のお嫁さんに、なってくれる?」
ティレーリアは涙を拭うと、頬を包んでいるヴィリディスの手に自分の手を重ねる。
「みんなの事を考えると、寂しいけど。 でも私ね、子供はたくさん欲しいの」
「……ティーア?」
「きっとその頃には、私とヴィーの家族が増えて賑やかになってるわ。ずっと2人切りだなんて事は、ないでしょう?」
ヴィリディスの手に重ねていた手を離して、今度はヴィリディスの頬を包む。
「ヴィリディス、私を、貴方のお嫁さんにして下さい」
「ティーア……!」
ぎゅうっと、思いきり抱き締められて、ティレーリアは苦しいわともがく。
でもいくらもがいてもヴィリディスは腕を緩めてはくれないから、ティレーリアはヴィリディスの背中に回した手できゅっとヴィリディスの服を握りしめた。
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