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01.

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Twitterでのタグ遊びでリクエスト頂きまして、初めて男性受けを書いてみました。
初めてなのね、と広いお心とゆる~い気持ちで読んでやって下さい。
設定もゆるゆるなので雰囲気でお楽しみ下さい。

※男→女はありません。喘いでるのは男性です
※苦手な方は即ブラバして下さい
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



「ふふふ、ついに。ついにやったわ……! あぁ、何て素敵な光景かしらっ」

 マーシャは自室のベッドを見下ろしながら満面の笑みを浮かべた。
 ベッドの上には、一人の男が鍛え抜かれた身体を無防備に投げ出して横たわっている。

「あぁぁぁ、夢みたい……私の理想の権化とも言えるブラウン様が!私のベッドで!眠ってるなんて……!」

マーシャはそぉっと男へと手を伸ばすと、呼吸に合わせて上下している胸に触れてみる。

「はぁ……硬くて立派な胸筋……腹筋もカチコチ……あぁ、女神様、シャーティー様! こんなチャンスを下さって本当に本当にありがとうございます!」

 マーシャはこの国の守護神である女神・シャーティーに感謝の祈りを捧げ、そしておもむろに男の──ブラウンの着崩れてしまっているシャツに手をかけた。


*****

「……っう……」

 ブラウンは不思議な感覚に僅かに身を捩った。
 何かが肌を這っているようなくすぐったさに、虫か何かかと払おうとしたものの腕が上手く動かせない。

(しまったな、飲み過ぎたか……)

 この日は定期的に──といっても年に一度あるかないかという頻度で催される騎士団と魔法士団の交流会だった。
 団長という立場にあるから、深酒は決してすまいと決めているものの、隣に座った魔法士の女人がえらく酒が強かったせいかつられて少しばかり飲み過ぎていた自覚はあった。
 だがこんなに動けなくなるほどの量ではなかったはずだ、と思って、そこでブラウンは自身がどうやら眠ってしまっていたらしい事に気付く。

(不味いな、記憶がない)

 一体いつ宴席がお開きになって、どうやって帰ってきたのか。
 団員たちに迷惑をかけるような事をしでかしていないと良いが、と思っている間にも、肌の上の虫は変わらず這い回っている。
 上手く動かせない身体に戸惑いと若干の苛立ちを覚えて、ブラウンは重い瞼を持ち上げた。

「……なっ!?」

 そうして見えた光景に、ブラウンはカッと目を見開く。
 驚きのために僅かにびくりと震えた身体の上で、それ・・があれ? と呟いて顔を上げた。

「あー、やっぱり起きちゃいました? さすがブラウン様。多少薬を盛ったくらいでは、やっぱり甘かったですね~」

 肌を這っていたのは、虫なんて可愛いものではなかった。

「マーシャ……!?」

 それは騎士団には存在しない、華奢な身体の生き物──女人だった。
 ぺろ、とブラウンの胸を一舐めしてみせたのは、交流会でブラウンの隣に座し、可愛らしい容姿に反して強者揃いの騎士団員に負けぬ勢いで酒を煽っていた、魔法士のマーシャ。
 そのマーシャが、なぜかブラウンに馬乗りになっていた。

「お……お前、何をして…………なっ!?」

 慌てて身体を起こそうとしたブラウンは、酔いのせいなどではなく身体を動かせない事に目を瞬かせる。

「すみません、ブラウン様。念願叶ってブラウン様を連れ込んだのに逃げられてしまっては悲しいので、ちょーっと拘束させて頂きました」
 
 えへ、と可愛らしく微笑んだマーシャの、なんだか可愛くない言葉にブラウンは戸惑いを覚える。

「連れ込んだ……? 拘束……?」

 身体が動かせない為に視線だけを滑らせたブラウンは、今居るのが確かに全く見覚えのない室内である事を確認する。
 拘束と言っているが、どうやら物理的にではなく魔法によるものらしい、という事も、感覚で分かった。

「──何が目的だ」

 騎士団と魔法士団の間に諍いなどはなく良好な関係を築いているから、団同士でのどうこうという話ではないだろう。
 となると個人的な怨恨の類いか。しかしマーシャと名乗ったこの女人とは今日初めて言葉を交わしたはずだが──と考えながらも、ブラウンはぎろりとマーシャを睨む。
 マーシャはそんなブラウンからの鋭い視線に怯えることもなく、どこかうっとりとしたように微笑んだ。

「目的なんて、一つしかありませんよね?」
「……っ!」

 マーシャはブラウンの胸にちゅっとキスを落とすとにっこりと、無邪気にも蠱惑的にも見える笑みを浮かべた。

「ブラウン様の啼く声、たぁっぷり聞かせて下さいね♡」
「…………は?」

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