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53章
元魔王様と極上の蜂蜜 3
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ユメノに教えてもらった森林地帯の場所までやってきた。
「これは分かりやすいな。」
巨木に空いた穴の中を一メートル程の大きさの蜂の魔物が出入りしている。
万能鑑定を使ってみるとハニービーだと言う事が分かった。
あの巨木がハニービーの巣なのだろう。
木の中から甘い匂いが漂ってきている。
「美味しそうな匂いなの。」
「早速向かいたいところではあるが依頼の目的はアーミーワスプだ。さっさと片付けて手に入れたいところだが。」
「見当たらないの。」
二人が周辺を見回すがそれらしき魔物が見えない。
何匹かのハニービーが飛んでいるだけだ。
ユメノの話しではハニービーや蜂蜜を餌としているらしく、巣の周りにもアーミーワスプがいると言っていたのだが情報と違う。
「ん?草むらに隠れているのがいるな。魔物では無いな、冒険者か?」
軽く空間把握を使用して周囲を調べると近くの草むらに隠れている者がいるのに気が付いた。
「行ってみるの。」
「そうだな、ここにいると言う事はユメノが言っていた冒険者かもしれない。」
ハニービー達を不用意に刺激しない様に草むらにゆっくりと近付いていく。
「少しいいか?」
「っ!?…なんだ冒険者か、驚かせないでくれ。」
ジルが話し掛けると身体をビクッと震わせた冒険者が安心した様に息を吐く。
「アーミーワスプを狩っている冒険者か?」
「そうだ、お前も依頼を受けてきたのか?」
「ああ、極上蜂蜜が欲しくてな。」
この冒険者はユメノの言っていたアーミーワスプ狩りをしている冒険者で合っていた。
現場の者からなら更に詳しい情報が聞けそうだ。
「援軍は有り難いがこの時間はアーミーワスプはいないぞ。」
「いない?どう言う事だ?」
「ハニービーの巣の直ぐ近くに無数に穴の空いた巨大な木があるだろう?」
そう言って冒険者が一つの木を指差す。
確かに不自然に穴が幾つも空けられた巨木がある。
「あれがアーミーワスプの巣だ。今はハニービーの巣から持ち帰った死体や蜂蜜で食事中だ。だから外に出ている個体はいない。」
全くアーミーワスプを見掛けないと思えば今の時間は食事中らしい。
「本拠地が分かっているのに攻め込まないのか?」
「馬鹿を言うな。あの中にはアーミーワスプが山の様にいるんだぞ。そんな中に突入すれば身体中を刺されて蜂の巣にされる。」
この冒険者はそれなりの実力を持っているが、魔物の巣に飛び込む様な危険を冒すのは厳しい。
一体一体が自分よりも弱い魔物であっても数が揃えば脅威となるのだ。
「だからここで出てくるのを待っていると?」
「アーミーワスプはハニービーを食糧としている。その隙を付いて狩って数を減らすくらいしか現状は出来無い。高ランクの冒険者が大勢揃うまでの辛抱だな。」
自分の安全を確保しつつの対処となるとそれくらいが限界だった。
ギルドとしては高ランク冒険者を揃えてアーミーワスプの巣への大規模な討伐戦を仕掛けたいのだが、忙しい高ランク冒険者を揃えるのはタイミングが難しいのだ。
「だが数はあまり減っていないのだろう?」
「そうだが現状維持が精一杯だ。既に巣の近くで大量に倒そうとした冒険者がアーミーワスプに刺されて何人か運ばれている。結構強力な毒だから治療が遅れれば命にも関わってくる。」
巣に近付けばそれだけ多くのアーミーワスプと戦えるが危険も大きくなる。
誰だって死にたくは無いので安全に狩りたいと思うこの冒険者の行動は当然の事だ。
「ふむ、言い分は分かったが極上蜂蜜を手に入れる為にはこんな消極的な方法では拉致があかないな。」
「拠点を攻め滅ぼすの!」
ジル達の目的は極上蜂蜜だ。
それを得る為にはアーミーワスプの巣が邪魔なので殲滅以外の選択肢は無い。
「って話しを聞いていなかったのか!?そもそもお前達のランクは幾つだ?」
「我はDランクだな。」
「Dランクって、なんでギルドはそんなランクの奴をこの場所に送り込んできたんだ!?BランクやCランクでもやられて運ばれているってのに!」
ジルの本来の実力を知らない冒険者が困惑している。
本来のDランク帯の冒険者なんて戦力にもならないので、この反応も当然のものだ。
「我の実力なら解決出来るとギルドが判断したのだ。自己責任であればアーミーワスプの巣に行っても問題無さそうだな。」
「極上蜂蜜!極上蜂蜜!」
ジルとホッコが草むらからアーミーワスプの巣に向かって歩き出す。
「お、おい!本当に行くのか?殺されるぞ!」
冒険者が親切心で止めようと声を掛けてくるが気にするなと手を振っておく。
「心配するな。だがもしかしたら何匹かは取り逃してハニービーの巣に近付くかもしれん。そっちは任せるぞ。」
それだけ言い残してジルとホッコはアーミーワスプの巣がある巨木に向かっていった。
「これは分かりやすいな。」
巨木に空いた穴の中を一メートル程の大きさの蜂の魔物が出入りしている。
万能鑑定を使ってみるとハニービーだと言う事が分かった。
あの巨木がハニービーの巣なのだろう。
木の中から甘い匂いが漂ってきている。
「美味しそうな匂いなの。」
「早速向かいたいところではあるが依頼の目的はアーミーワスプだ。さっさと片付けて手に入れたいところだが。」
「見当たらないの。」
二人が周辺を見回すがそれらしき魔物が見えない。
何匹かのハニービーが飛んでいるだけだ。
ユメノの話しではハニービーや蜂蜜を餌としているらしく、巣の周りにもアーミーワスプがいると言っていたのだが情報と違う。
「ん?草むらに隠れているのがいるな。魔物では無いな、冒険者か?」
軽く空間把握を使用して周囲を調べると近くの草むらに隠れている者がいるのに気が付いた。
「行ってみるの。」
「そうだな、ここにいると言う事はユメノが言っていた冒険者かもしれない。」
ハニービー達を不用意に刺激しない様に草むらにゆっくりと近付いていく。
「少しいいか?」
「っ!?…なんだ冒険者か、驚かせないでくれ。」
ジルが話し掛けると身体をビクッと震わせた冒険者が安心した様に息を吐く。
「アーミーワスプを狩っている冒険者か?」
「そうだ、お前も依頼を受けてきたのか?」
「ああ、極上蜂蜜が欲しくてな。」
この冒険者はユメノの言っていたアーミーワスプ狩りをしている冒険者で合っていた。
現場の者からなら更に詳しい情報が聞けそうだ。
「援軍は有り難いがこの時間はアーミーワスプはいないぞ。」
「いない?どう言う事だ?」
「ハニービーの巣の直ぐ近くに無数に穴の空いた巨大な木があるだろう?」
そう言って冒険者が一つの木を指差す。
確かに不自然に穴が幾つも空けられた巨木がある。
「あれがアーミーワスプの巣だ。今はハニービーの巣から持ち帰った死体や蜂蜜で食事中だ。だから外に出ている個体はいない。」
全くアーミーワスプを見掛けないと思えば今の時間は食事中らしい。
「本拠地が分かっているのに攻め込まないのか?」
「馬鹿を言うな。あの中にはアーミーワスプが山の様にいるんだぞ。そんな中に突入すれば身体中を刺されて蜂の巣にされる。」
この冒険者はそれなりの実力を持っているが、魔物の巣に飛び込む様な危険を冒すのは厳しい。
一体一体が自分よりも弱い魔物であっても数が揃えば脅威となるのだ。
「だからここで出てくるのを待っていると?」
「アーミーワスプはハニービーを食糧としている。その隙を付いて狩って数を減らすくらいしか現状は出来無い。高ランクの冒険者が大勢揃うまでの辛抱だな。」
自分の安全を確保しつつの対処となるとそれくらいが限界だった。
ギルドとしては高ランク冒険者を揃えてアーミーワスプの巣への大規模な討伐戦を仕掛けたいのだが、忙しい高ランク冒険者を揃えるのはタイミングが難しいのだ。
「だが数はあまり減っていないのだろう?」
「そうだが現状維持が精一杯だ。既に巣の近くで大量に倒そうとした冒険者がアーミーワスプに刺されて何人か運ばれている。結構強力な毒だから治療が遅れれば命にも関わってくる。」
巣に近付けばそれだけ多くのアーミーワスプと戦えるが危険も大きくなる。
誰だって死にたくは無いので安全に狩りたいと思うこの冒険者の行動は当然の事だ。
「ふむ、言い分は分かったが極上蜂蜜を手に入れる為にはこんな消極的な方法では拉致があかないな。」
「拠点を攻め滅ぼすの!」
ジル達の目的は極上蜂蜜だ。
それを得る為にはアーミーワスプの巣が邪魔なので殲滅以外の選択肢は無い。
「って話しを聞いていなかったのか!?そもそもお前達のランクは幾つだ?」
「我はDランクだな。」
「Dランクって、なんでギルドはそんなランクの奴をこの場所に送り込んできたんだ!?BランクやCランクでもやられて運ばれているってのに!」
ジルの本来の実力を知らない冒険者が困惑している。
本来のDランク帯の冒険者なんて戦力にもならないので、この反応も当然のものだ。
「我の実力なら解決出来るとギルドが判断したのだ。自己責任であればアーミーワスプの巣に行っても問題無さそうだな。」
「極上蜂蜜!極上蜂蜜!」
ジルとホッコが草むらからアーミーワスプの巣に向かって歩き出す。
「お、おい!本当に行くのか?殺されるぞ!」
冒険者が親切心で止めようと声を掛けてくるが気にするなと手を振っておく。
「心配するな。だがもしかしたら何匹かは取り逃してハニービーの巣に近付くかもしれん。そっちは任せるぞ。」
それだけ言い残してジルとホッコはアーミーワスプの巣がある巨木に向かっていった。
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