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40章
元魔王様と三人目の魔法生命体 11
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何か緊急な要件かと思って聞くと、ジルの捕らえた白衣の男が何者かに殺されたと言う。
街に連れて戻ってきた際、情報を吐かせる為に衛兵の詰所に預けていたのだがそこを狙われたらしい。
「衛兵はどうしたんだ?」
スタンピードの勝利に湧き立っている酒場で話す事でも無いので、ジルとミラは一旦外に出てきた。
「全員が魔法によって身動きを封じられていました。そして白衣の男は完全に消し炭にされておりまして。」
「ふむ、やられたな。」
ジルはこれ以上情報を得られない事を察する。
殺傷や毒殺等の身体が残っている状態であれば、死んでいてもなんとか情報を得る手段はある。
しかし本体が原型を留めない程に崩壊しているとなると元に戻すのは難しい。
「申し訳ありません、せっかくジルさんが捕縛して下さったのに。」
「まあ、少なからず情報は得ているし問題無いだろう。情報は人為的なスタンピードを起こした者達がいるのと、その者達が全身黒フードの怪しい実力者集団と言う事だ。」
仲間達から聞いた情報も含めて把握しているだけでも、陣形魔法を使えてジルとそれなりに戦える強者、鬼人族に憑依していた魔族、高ランクの魔物を従える凄腕テイマー、不思議な技で仲間を救出してジルを出し抜いた者と四人分かっている。
タイプBとタイプCが二人の黒フードの者を始末してくれたがそれも連れ去られているので、あまりその集団に付いての情報が無い。
「受付嬢をして長いですが聞いた事も無いですね。」
「我も何人か冒険者に聞いてみたが同じだ。」
冒険者歴が長そうなラブリートもそんな集団に覚えは無いと言っていた。
行っている事から考えてもあまり表舞台に出る様な輩では無いのだろう。
「情報が無いと言っても人為的に災厄を起こす様な方々であれば野放しには出来ません。一先ずギルドマスターとトゥーリ様に報告して、上の判断を仰ぐ事にします。」
「それがいいだろうな。」
ギルドの最高責任者や貴族であれば、広い情報網を持っているので何かしら分かるかもしれない。
そして対処するにしてもそう言った人達の協力は必要である。
「それでは私は早速報告してきますね。」
「ああ、無理するなよ。」
ミラは一礼してギルドの中に戻っていく。
それを確認してからジルは口を開く。
「隠れているのは分かっているぞ。」
「えへっ、バレちゃいましたか?」
「だからジル様には意味が無いと言ったのです。」
建物の影からレイアとテスラが現れる。
スキルで人族の見た目に変化している状態なので街中でも違和感は無い。
「何か用か?」
「ジル様が連れ帰った白衣の男の件についてご報告を。現場は殺人もあったので衛兵達によって塞がれていた為、大した情報は持ち帰れませんでしたが、陣形魔法が使われていた様でした。」
衛兵達の身動きが封じられていたと言う件だろう。
魔法で拘束している内に白衣の男が殺されたと思われる。
「あんな準備が面倒な魔法を好んで使っている人が現在もいるんですね。」
テスラが理解出来無いと言った様子で呟く。
事前に用意する物もあり条件が揃っていないと発動しない陣形魔法は使い所が難しい。
その分発動すれば効果には充分期待出来る魔法でもある。
「ああ、我が魔の森で戦った黒フードの集団の一人だろうな。セダンの街に忍び込んでいたとは面倒な事をしてくれる。」
「その集団に付いては我々も把握していません。人族の世界に疎いからかもしれませんが。」
レイアとテスラは最近までずっとトレンフルの貝の森と言う場所に結界を張って過ごしてきた。
人族と交流する事も全く無かったので知らないのも当然だ。
「私達で調べておきましょうか?情報収集ならそれなりに自信がありますよ?」
相手から情報を抜き取る事に長けている二人なら情報収集はお手のものだ。
「いや、わざわざお前達が動く必要は無い。」
「宜しいのですか?ジル様のお手を煩わせた者達であれば、我々が始末しますが。」
そう言うレイアの表情は真剣そのものだ。
心の底からそう思って発言している。
誰であろうと自分の主人を害そうとする者は許さないと言った感じだ。
「今世はもう少し気楽に過ごしてくれ。我もあまり面倒事には関わりたく無いからな。」
わざわざ正体を突き止めて殲滅しにいく気も無い。
そんな面倒な事をするよりも、もっと有意義な事に時間を使いたい。
それに人化しているとは言え、魔族の二人が活発的に動いて何かの拍子にバレたらそれこそ面倒事になる。
なので二人には自分の目の届く範囲にいてもらった方が安心出来る。
「畏まりました。」
「でしたらこの後一緒に飲み直しませんか?酒場は他の人の目があるので別のお店とかで!」
そう言ってテスラがジルの腕に抱き付く。
柔らかな感触が腕に伝わる。
「ちょっ!?テスラ、近いですよ!」
「えー、いいじゃない別に。まだ新人冒険者としてあまり関わる機会が無いんだから、こう言う機会を利用しないとね!」
二人は無事にセダンの街で冒険者になれた。
だが最初から親しいのもおかしいので徐々に距離を詰めていく事になっている。
なので同じ街で暮らしていても頻繁に会ったりはしていないのだ。
「まあ、我は構わないぞ。」
たまには二人との交流も悪くない。
「さっすがジル様!それじゃあ私のオススメのお店にいきましょう!レイア、来ないなら置いていくわよ。」
「ま、待って下さい!私もジル様とご一緒したいです!」
ジルの手を引くテスラを慌ててレイアが追い掛けていた。
街に連れて戻ってきた際、情報を吐かせる為に衛兵の詰所に預けていたのだがそこを狙われたらしい。
「衛兵はどうしたんだ?」
スタンピードの勝利に湧き立っている酒場で話す事でも無いので、ジルとミラは一旦外に出てきた。
「全員が魔法によって身動きを封じられていました。そして白衣の男は完全に消し炭にされておりまして。」
「ふむ、やられたな。」
ジルはこれ以上情報を得られない事を察する。
殺傷や毒殺等の身体が残っている状態であれば、死んでいてもなんとか情報を得る手段はある。
しかし本体が原型を留めない程に崩壊しているとなると元に戻すのは難しい。
「申し訳ありません、せっかくジルさんが捕縛して下さったのに。」
「まあ、少なからず情報は得ているし問題無いだろう。情報は人為的なスタンピードを起こした者達がいるのと、その者達が全身黒フードの怪しい実力者集団と言う事だ。」
仲間達から聞いた情報も含めて把握しているだけでも、陣形魔法を使えてジルとそれなりに戦える強者、鬼人族に憑依していた魔族、高ランクの魔物を従える凄腕テイマー、不思議な技で仲間を救出してジルを出し抜いた者と四人分かっている。
タイプBとタイプCが二人の黒フードの者を始末してくれたがそれも連れ去られているので、あまりその集団に付いての情報が無い。
「受付嬢をして長いですが聞いた事も無いですね。」
「我も何人か冒険者に聞いてみたが同じだ。」
冒険者歴が長そうなラブリートもそんな集団に覚えは無いと言っていた。
行っている事から考えてもあまり表舞台に出る様な輩では無いのだろう。
「情報が無いと言っても人為的に災厄を起こす様な方々であれば野放しには出来ません。一先ずギルドマスターとトゥーリ様に報告して、上の判断を仰ぐ事にします。」
「それがいいだろうな。」
ギルドの最高責任者や貴族であれば、広い情報網を持っているので何かしら分かるかもしれない。
そして対処するにしてもそう言った人達の協力は必要である。
「それでは私は早速報告してきますね。」
「ああ、無理するなよ。」
ミラは一礼してギルドの中に戻っていく。
それを確認してからジルは口を開く。
「隠れているのは分かっているぞ。」
「えへっ、バレちゃいましたか?」
「だからジル様には意味が無いと言ったのです。」
建物の影からレイアとテスラが現れる。
スキルで人族の見た目に変化している状態なので街中でも違和感は無い。
「何か用か?」
「ジル様が連れ帰った白衣の男の件についてご報告を。現場は殺人もあったので衛兵達によって塞がれていた為、大した情報は持ち帰れませんでしたが、陣形魔法が使われていた様でした。」
衛兵達の身動きが封じられていたと言う件だろう。
魔法で拘束している内に白衣の男が殺されたと思われる。
「あんな準備が面倒な魔法を好んで使っている人が現在もいるんですね。」
テスラが理解出来無いと言った様子で呟く。
事前に用意する物もあり条件が揃っていないと発動しない陣形魔法は使い所が難しい。
その分発動すれば効果には充分期待出来る魔法でもある。
「ああ、我が魔の森で戦った黒フードの集団の一人だろうな。セダンの街に忍び込んでいたとは面倒な事をしてくれる。」
「その集団に付いては我々も把握していません。人族の世界に疎いからかもしれませんが。」
レイアとテスラは最近までずっとトレンフルの貝の森と言う場所に結界を張って過ごしてきた。
人族と交流する事も全く無かったので知らないのも当然だ。
「私達で調べておきましょうか?情報収集ならそれなりに自信がありますよ?」
相手から情報を抜き取る事に長けている二人なら情報収集はお手のものだ。
「いや、わざわざお前達が動く必要は無い。」
「宜しいのですか?ジル様のお手を煩わせた者達であれば、我々が始末しますが。」
そう言うレイアの表情は真剣そのものだ。
心の底からそう思って発言している。
誰であろうと自分の主人を害そうとする者は許さないと言った感じだ。
「今世はもう少し気楽に過ごしてくれ。我もあまり面倒事には関わりたく無いからな。」
わざわざ正体を突き止めて殲滅しにいく気も無い。
そんな面倒な事をするよりも、もっと有意義な事に時間を使いたい。
それに人化しているとは言え、魔族の二人が活発的に動いて何かの拍子にバレたらそれこそ面倒事になる。
なので二人には自分の目の届く範囲にいてもらった方が安心出来る。
「畏まりました。」
「でしたらこの後一緒に飲み直しませんか?酒場は他の人の目があるので別のお店とかで!」
そう言ってテスラがジルの腕に抱き付く。
柔らかな感触が腕に伝わる。
「ちょっ!?テスラ、近いですよ!」
「えー、いいじゃない別に。まだ新人冒険者としてあまり関わる機会が無いんだから、こう言う機会を利用しないとね!」
二人は無事にセダンの街で冒険者になれた。
だが最初から親しいのもおかしいので徐々に距離を詰めていく事になっている。
なので同じ街で暮らしていても頻繁に会ったりはしていないのだ。
「まあ、我は構わないぞ。」
たまには二人との交流も悪くない。
「さっすがジル様!それじゃあ私のオススメのお店にいきましょう!レイア、来ないなら置いていくわよ。」
「ま、待って下さい!私もジル様とご一緒したいです!」
ジルの手を引くテスラを慌ててレイアが追い掛けていた。
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