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30章
元魔王様とダンジョンのボス部屋 5
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ゴブリンニンジャを倒したジルは氷壁の向こうで戦闘をしているルルネット達の下に駆け付ける。
近い場所で戦っていたのでピンチになれば何かしらアクションがあったと思われるし、そもそもタイプCがいるのでそれ程心配はしていない。
今も戦闘音が鳴り響いているのでまだ決着は付いていない様だ。
氷壁の横を抜けると戦闘中の一行が見えてくる。
「全員無事だがそれなりに苦戦もしたか。」
こちら側の戦力であるルルネット、ホッコ、タイプCは全員無事だ。
向こう側の戦力はゴブリンジェネラルがたった今タイプCの連動外装の右足に踏み潰されてドロップアイテムに変わり、ゴブリンキングのみとなったところだ。
他には見当たらないのでゴブリンファイターとゴブリンアーチャーは既に討伐済みの様だ。
これだけ見れば随分と余裕そうに見えるがそうでもない。
ゴブリンキングと戦っているルルネットは服の所々が破けて少し肌が見えている。
外傷は無いのでホッコに治療してもらったのだろう。
ホッコも目立った外傷は無く、こちらも怪我をしていたとしても自分で回復出来る。
問題はタイプCだ。
連動外装の四肢全てを取り出したフル装備で戦いに臨んでいたが、今は右足とボロボロの左足のみとなっていた。
両手は既に破壊されてしまった様である。
連動外装には自己修復機能があるので、仕舞っておけば時間経過で直る。
それでもそこまでボロボロにされたのは敵も中々強かったと言う事だ。
「だがゴブリンキングだけとなれば終わったも同然だな。」
統率個体としてはゴブリン種で一番優秀だ。
仲間の強化具合が高く、群れになれば脅威度は凄まじい事となる。
だが単体の強さはそこまで高くない。
武器も無く王冠を被っているだけなので大した攻撃手段も持っていないのだ。
今もルルネットのファイアアローやホッコのアイスアローに成す術無く逃げ回っている。
「これでお終いよ!」
ルルネットが慌てふためくゴブリンキングの隙を見て、一気に近付き首を刎ねた。
身体が消えてドロップアイテムに変わる。
「ルルネット様お見事です。」
「クォオ!」
「いえーい!あれ?ジルも終わったの?」
共に戦った二人に振り向いてVサインを作った時に後方にいるジルに気付いた様だ。
「ああ、そっちも苦戦はしたが無事勝てた様だな。」
「ゴブリンアーチャーの矢が何回か掠っちゃったんだけどホッコが治してくれたのよ。ホッコ、ありがとう!」
「クォン!」
両手を広げてルルネットが駆け寄っていく。
しかしホッコは気にせず、ジルの肩に飛び乗るとすりすりと頬擦りをして甘えてくる。
「ルルネットを守ってくれてありがとな。」
「クォン!」
「がーん、私の癒しが…。」
ホッコに抱き付きたかったのにジルに取られてしまい、ルルネットは肩を落としている。
抱く機会なんて幾らでもあるので、今はホッコのしたい様にさせてやる事にした。
「マスター、全ての敵の殲滅を完了しました。しかし連動外装を三つも壊されてしまい申し訳ありません。」
タイプCが深く頭を下げて謝罪してくる。
マスターであるジルから貰った武具を破壊されてしまい、自責の念でもあるのだろう。
「気にするな。ルルネットとホッコを守ってくれて助かったぞ。」
「勿体無きお言葉です。」
ジルに礼を言われると一変して幸せそうな表情をしている。
タイプCはよくやってくれたと思っているので、元気付けられたのならばよかった。
「あんなに頑丈な連動外装を壊すなんてゴブリンファイターって強いのね。」
ルルネットはタイプCとも模擬戦をした事はある。
その際に連動外装も使ってくれた事があり、火魔法で強化した短剣でぶつかり合ったが、まるで岩を殴っているかの様な硬さだったと記憶している。
「そんなに簡単に壊れたのか?」
「簡単じゃなかったわよ。ゴブリンファイターが何度も殴り付けていたもの。それでもあれを破壊するって相当な攻撃力よね。」
連動外装は魔王時代にジルが作った物だ。
素材も拘っているのでそれを破壊するとは確かに凄まじい攻撃力だと言える。
「ルルネットだと一撃が致命傷だろうな。」
「…やっぱり?この後は少し後方に待機してよっかな。」
ルルネットは戦闘が大好きで強くなりたがってはいるが死にたがりでは無い。
実力を考えてここからは少し大人しくしようと思った。
「こちらも連動外装を魔装していたとは言え、統率個体の強化に加えて魔装したゴブリンファイターの打撃は想像以上でした。」
元魔王であるジルが作ってくれた自分や連動外装に絶対の自信を持っていたからこそ、ゴブリンファイターの力には驚かされた。
「奴は近接戦闘で真価を発揮するタイプだからな。勝てたのならそれでいいだろう。」
「そうそう、結果良ければってね。あとこっちのドロップアイテムは拾ってきたわよ。」
ルルネットが手に乗せて差し出してきたのは王冠と大小三つの魔石だ。
特に珍しいドロップは無かった様だ。
「それでそっちは?凄く強いゴブリンだったのよね?」
高ランクのゴブリンニンジャからのドロップアイテムが気になるのだろう。
「確かに強化されたゴブリンニンジャは強かったな。ドロップアイテムもそれなりの物だったぞ。」
無限倉庫のスキルから取り出して見せる。
倒したゴブリンニンジャが消えた場所に落ちていたのは大きな魔石と一本の刀だった。
近い場所で戦っていたのでピンチになれば何かしらアクションがあったと思われるし、そもそもタイプCがいるのでそれ程心配はしていない。
今も戦闘音が鳴り響いているのでまだ決着は付いていない様だ。
氷壁の横を抜けると戦闘中の一行が見えてくる。
「全員無事だがそれなりに苦戦もしたか。」
こちら側の戦力であるルルネット、ホッコ、タイプCは全員無事だ。
向こう側の戦力はゴブリンジェネラルがたった今タイプCの連動外装の右足に踏み潰されてドロップアイテムに変わり、ゴブリンキングのみとなったところだ。
他には見当たらないのでゴブリンファイターとゴブリンアーチャーは既に討伐済みの様だ。
これだけ見れば随分と余裕そうに見えるがそうでもない。
ゴブリンキングと戦っているルルネットは服の所々が破けて少し肌が見えている。
外傷は無いのでホッコに治療してもらったのだろう。
ホッコも目立った外傷は無く、こちらも怪我をしていたとしても自分で回復出来る。
問題はタイプCだ。
連動外装の四肢全てを取り出したフル装備で戦いに臨んでいたが、今は右足とボロボロの左足のみとなっていた。
両手は既に破壊されてしまった様である。
連動外装には自己修復機能があるので、仕舞っておけば時間経過で直る。
それでもそこまでボロボロにされたのは敵も中々強かったと言う事だ。
「だがゴブリンキングだけとなれば終わったも同然だな。」
統率個体としてはゴブリン種で一番優秀だ。
仲間の強化具合が高く、群れになれば脅威度は凄まじい事となる。
だが単体の強さはそこまで高くない。
武器も無く王冠を被っているだけなので大した攻撃手段も持っていないのだ。
今もルルネットのファイアアローやホッコのアイスアローに成す術無く逃げ回っている。
「これでお終いよ!」
ルルネットが慌てふためくゴブリンキングの隙を見て、一気に近付き首を刎ねた。
身体が消えてドロップアイテムに変わる。
「ルルネット様お見事です。」
「クォオ!」
「いえーい!あれ?ジルも終わったの?」
共に戦った二人に振り向いてVサインを作った時に後方にいるジルに気付いた様だ。
「ああ、そっちも苦戦はしたが無事勝てた様だな。」
「ゴブリンアーチャーの矢が何回か掠っちゃったんだけどホッコが治してくれたのよ。ホッコ、ありがとう!」
「クォン!」
両手を広げてルルネットが駆け寄っていく。
しかしホッコは気にせず、ジルの肩に飛び乗るとすりすりと頬擦りをして甘えてくる。
「ルルネットを守ってくれてありがとな。」
「クォン!」
「がーん、私の癒しが…。」
ホッコに抱き付きたかったのにジルに取られてしまい、ルルネットは肩を落としている。
抱く機会なんて幾らでもあるので、今はホッコのしたい様にさせてやる事にした。
「マスター、全ての敵の殲滅を完了しました。しかし連動外装を三つも壊されてしまい申し訳ありません。」
タイプCが深く頭を下げて謝罪してくる。
マスターであるジルから貰った武具を破壊されてしまい、自責の念でもあるのだろう。
「気にするな。ルルネットとホッコを守ってくれて助かったぞ。」
「勿体無きお言葉です。」
ジルに礼を言われると一変して幸せそうな表情をしている。
タイプCはよくやってくれたと思っているので、元気付けられたのならばよかった。
「あんなに頑丈な連動外装を壊すなんてゴブリンファイターって強いのね。」
ルルネットはタイプCとも模擬戦をした事はある。
その際に連動外装も使ってくれた事があり、火魔法で強化した短剣でぶつかり合ったが、まるで岩を殴っているかの様な硬さだったと記憶している。
「そんなに簡単に壊れたのか?」
「簡単じゃなかったわよ。ゴブリンファイターが何度も殴り付けていたもの。それでもあれを破壊するって相当な攻撃力よね。」
連動外装は魔王時代にジルが作った物だ。
素材も拘っているのでそれを破壊するとは確かに凄まじい攻撃力だと言える。
「ルルネットだと一撃が致命傷だろうな。」
「…やっぱり?この後は少し後方に待機してよっかな。」
ルルネットは戦闘が大好きで強くなりたがってはいるが死にたがりでは無い。
実力を考えてここからは少し大人しくしようと思った。
「こちらも連動外装を魔装していたとは言え、統率個体の強化に加えて魔装したゴブリンファイターの打撃は想像以上でした。」
元魔王であるジルが作ってくれた自分や連動外装に絶対の自信を持っていたからこそ、ゴブリンファイターの力には驚かされた。
「奴は近接戦闘で真価を発揮するタイプだからな。勝てたのならそれでいいだろう。」
「そうそう、結果良ければってね。あとこっちのドロップアイテムは拾ってきたわよ。」
ルルネットが手に乗せて差し出してきたのは王冠と大小三つの魔石だ。
特に珍しいドロップは無かった様だ。
「それでそっちは?凄く強いゴブリンだったのよね?」
高ランクのゴブリンニンジャからのドロップアイテムが気になるのだろう。
「確かに強化されたゴブリンニンジャは強かったな。ドロップアイテムもそれなりの物だったぞ。」
無限倉庫のスキルから取り出して見せる。
倒したゴブリンニンジャが消えた場所に落ちていたのは大きな魔石と一本の刀だった。
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