251 / 651
28章
元魔王様と解呪の秘薬 7
しおりを挟む
「条件って何?トレンフル家で出来る事なら可能な限り引き受けるわ。」
「勝手にそんな約束をしていいのか?」
領主はミュリットであってルルネットでは無い。
同じ貴族家の一員ではあるが、そんな大事な事を個人間で決めていいのかと疑問に思う。
「お母様もお姉様も同じ対応をするから問題無いわよ。」
「そうなのか?ならば条件を言おう。」
ジルは解呪に関する薬を渡す条件をルルネットに言う。
一つ目は渡す薬がここにくるまでのダンジョン内の宝箱から運良くドロップした事にすると言うものだ。
二つ目はジルがその薬に関わったのは間接的な戦闘のみであり、間違っても製作や所持してたと思われる事の無い様に責任を持つ事だ。
トレンフルに来てからの事と同様に秘密厳守を徹底してもらいたい。
三つ目はトレンフル家に対してジルから貸し一つとしておく。
今欲しい物は特に無いので、いつか何かしらの形で返してもらえればいい。
「三つ目の条件が少し怖いわね。トレンフル家が破滅する様な事柄、並びに私達が一方的に莫大な損害を被る事を除いてくれるなら問題無いわ。」
ジルの条件に少しだけルルネットが付け加える。
ルルネットがエトを助けたい気持ちは嘘偽りの無い事だが、それで家族が辛い思いをするのは避けたいので、一応条件に加えておく。
「そこまでの頼みはするつもりが無いから安心していいぞ。」
「分かったわ。その条件ルルネット・トレンフルの名に掛けて守ると誓うわ。」
ルルネットが真剣な表情で頷きながら言う。
「いいだろう、裏切った時は覚悟しておけよ。」
「ジルとそれなりに一緒にいるんだから今更そんな事するつもりは無いわよ。」
ジルからの報復なんて考えただけでも恐ろし過ぎる。
裏切った方が被害が大きくなると分かっているので、絶対に約束を反故にしないつもりだ。
「良い返答だ。」
ジルは無限倉庫のスキルから取り出した一つの小さな丸薬が入った小瓶をルルネットに渡す。
「これは万能薬と言う魔法道具であり薬の一種だ。文字通りあらゆる病や呪いに効き、即座に癒す万能の薬だな。」
「す、すごっ!?」
ルルネットは効果を聞いて手の中に握った小瓶の中身を凝視する。
見た目ではそんなに凄そうな物には見えないが、間違い無く世界最高峰の薬である。
「お前はダンジョンに潜る為に勉強していたと言っていたから、宝箱の中身も事前に調べ尽くしたと言い、万能薬について知っていた事にして渡すといい。」
「そっか、これを鑑定する手段が無いから怪しまれちゃうもんね。」
ジルには万能鑑定があるので万能薬について調べられるがこれはルルネットには教えていない。
お互いが鑑定手段を持っていない事になるので、何故薬の効果を知っているのかと尋ねられた時の保険を掛けておく必要がある。
「じゃあ渡すわね?」
「ああ。」
「ジル、私の我儘みたいなものだけど希少な薬をくれてありがとね。」
普段のルルネットの歳上を敬っているとは到底思えない偉そうな口調では無く、歳相応の笑顔と共に小声で感謝の言葉を呟いた。
お礼を言った後、万能薬を持ってエトの方に近付いていく。
「内緒話は済んだか?」
「待たせてしまって御免なさい。」
「構わん。どちらにしろ、仲間達の準備が整わなければ私達も動けないからな。」
エトが後ろに視線を向けて言う。
ヒーラーの女性が徐々に動ける様になってきて手足を軽く動かして感覚を確かめている。
武闘家の男性は傷は癒えたが流した血は戻らないのでまだ横になって安静にしている。
「エトさん、少し話しがあるわ。」
「話し?仲間達が動ける様になるまでなら付き合ってもいいぞ。」
妹の命が掛かっているので本当であれば直ぐにでも出発したい気持ちである。
だが万全では無い仲間達を連れ回して全滅になってしまっては意味が無いので、ある程度回復するまでの暇潰し程度なら構わない。
「探索を再開して呪いを治す手段を探すからよね?でもその必要も無くなるかもしれないわ。」
「…ルルネット嬢、それはどう言う事だ?」
「これが何か知っているかしら?」
ルルネットが手の中に持っていた万能薬を見せる。
「薬か?薬学に通じている訳では無いから種類までは分からんな。」
エトが万能薬の丸薬が入った小瓶を見ながら言う。
さすがに見た目だけで何の薬か見抜くのは鑑定系統のスキルを持っていなければ無理だろう。
エトのパーティーは誰も鑑定系統のスキルは持っていない様だ。
「これは万能薬と言う魔法道具よ。」
「万能薬…万能薬だと!?」
薬の名前を聞いてエトが驚愕の表情を浮かべている。
希少で滅多に出回らない物だが、その薬の持つ効果から名前を知っている者は多い。
なのでエトも名前だけは知っていたのだろう。
「勝手にそんな約束をしていいのか?」
領主はミュリットであってルルネットでは無い。
同じ貴族家の一員ではあるが、そんな大事な事を個人間で決めていいのかと疑問に思う。
「お母様もお姉様も同じ対応をするから問題無いわよ。」
「そうなのか?ならば条件を言おう。」
ジルは解呪に関する薬を渡す条件をルルネットに言う。
一つ目は渡す薬がここにくるまでのダンジョン内の宝箱から運良くドロップした事にすると言うものだ。
二つ目はジルがその薬に関わったのは間接的な戦闘のみであり、間違っても製作や所持してたと思われる事の無い様に責任を持つ事だ。
トレンフルに来てからの事と同様に秘密厳守を徹底してもらいたい。
三つ目はトレンフル家に対してジルから貸し一つとしておく。
今欲しい物は特に無いので、いつか何かしらの形で返してもらえればいい。
「三つ目の条件が少し怖いわね。トレンフル家が破滅する様な事柄、並びに私達が一方的に莫大な損害を被る事を除いてくれるなら問題無いわ。」
ジルの条件に少しだけルルネットが付け加える。
ルルネットがエトを助けたい気持ちは嘘偽りの無い事だが、それで家族が辛い思いをするのは避けたいので、一応条件に加えておく。
「そこまでの頼みはするつもりが無いから安心していいぞ。」
「分かったわ。その条件ルルネット・トレンフルの名に掛けて守ると誓うわ。」
ルルネットが真剣な表情で頷きながら言う。
「いいだろう、裏切った時は覚悟しておけよ。」
「ジルとそれなりに一緒にいるんだから今更そんな事するつもりは無いわよ。」
ジルからの報復なんて考えただけでも恐ろし過ぎる。
裏切った方が被害が大きくなると分かっているので、絶対に約束を反故にしないつもりだ。
「良い返答だ。」
ジルは無限倉庫のスキルから取り出した一つの小さな丸薬が入った小瓶をルルネットに渡す。
「これは万能薬と言う魔法道具であり薬の一種だ。文字通りあらゆる病や呪いに効き、即座に癒す万能の薬だな。」
「す、すごっ!?」
ルルネットは効果を聞いて手の中に握った小瓶の中身を凝視する。
見た目ではそんなに凄そうな物には見えないが、間違い無く世界最高峰の薬である。
「お前はダンジョンに潜る為に勉強していたと言っていたから、宝箱の中身も事前に調べ尽くしたと言い、万能薬について知っていた事にして渡すといい。」
「そっか、これを鑑定する手段が無いから怪しまれちゃうもんね。」
ジルには万能鑑定があるので万能薬について調べられるがこれはルルネットには教えていない。
お互いが鑑定手段を持っていない事になるので、何故薬の効果を知っているのかと尋ねられた時の保険を掛けておく必要がある。
「じゃあ渡すわね?」
「ああ。」
「ジル、私の我儘みたいなものだけど希少な薬をくれてありがとね。」
普段のルルネットの歳上を敬っているとは到底思えない偉そうな口調では無く、歳相応の笑顔と共に小声で感謝の言葉を呟いた。
お礼を言った後、万能薬を持ってエトの方に近付いていく。
「内緒話は済んだか?」
「待たせてしまって御免なさい。」
「構わん。どちらにしろ、仲間達の準備が整わなければ私達も動けないからな。」
エトが後ろに視線を向けて言う。
ヒーラーの女性が徐々に動ける様になってきて手足を軽く動かして感覚を確かめている。
武闘家の男性は傷は癒えたが流した血は戻らないのでまだ横になって安静にしている。
「エトさん、少し話しがあるわ。」
「話し?仲間達が動ける様になるまでなら付き合ってもいいぞ。」
妹の命が掛かっているので本当であれば直ぐにでも出発したい気持ちである。
だが万全では無い仲間達を連れ回して全滅になってしまっては意味が無いので、ある程度回復するまでの暇潰し程度なら構わない。
「探索を再開して呪いを治す手段を探すからよね?でもその必要も無くなるかもしれないわ。」
「…ルルネット嬢、それはどう言う事だ?」
「これが何か知っているかしら?」
ルルネットが手の中に持っていた万能薬を見せる。
「薬か?薬学に通じている訳では無いから種類までは分からんな。」
エトが万能薬の丸薬が入った小瓶を見ながら言う。
さすがに見た目だけで何の薬か見抜くのは鑑定系統のスキルを持っていなければ無理だろう。
エトのパーティーは誰も鑑定系統のスキルは持っていない様だ。
「これは万能薬と言う魔法道具よ。」
「万能薬…万能薬だと!?」
薬の名前を聞いてエトが驚愕の表情を浮かべている。
希少で滅多に出回らない物だが、その薬の持つ効果から名前を知っている者は多い。
なのでエトも名前だけは知っていたのだろう。
4
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
怠惰生活希望の第六王子~悪徳領主を目指してるのに、なぜか名君呼ばわりされているんですが~
服田 晃和
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた男──久岡達夫は、同僚の尻拭いによる三十連勤に体が耐え切れず、その短い人生を過労死という形で終えることとなった。
最悪な人生を送った彼に、神が与えてくれた二度目の人生。
今度は自由気ままな生活をしようと決意するも、彼が生まれ変わった先は一国の第六王子──アルス・ドステニアだった。当初は魔法と剣のファンタジー世界に転生した事に興奮し、何でも思い通りに出来る王子という立場も気に入っていた。
しかし年が経つにつれて、激化していく兄達の跡目争いに巻き込まれそうになる。
どうにか政戦から逃れようにも、王子という立場がそれを許さない。
また俺は辛い人生を送る羽目になるのかと頭を抱えた時、アルスの頭に一つの名案が思い浮かんだのだ。
『使えない存在になれば良いのだ。兄様達から邪魔者だと思われるようなそんな存在になろう!』
こうしてアルスは一つの存在を目指すことにした。兄達からだけではなく国民からも嫌われる存在。
『ちょい悪徳領主』になってやると。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる