225 / 651
25章
元魔王様と魔法の授業 3
しおりを挟む
ジルとブリジットはギルドにいって依頼の手続きをしてきた。
サザナギはあまりギルドでジルに依頼が出せなくなる事を悲しんでいたが、たまには顔を出すと言っておいた。
ギルドでも正式な依頼として受理されたので、トレンフル家の貴族のお嬢様であるルルネットの期間限定講師となった。
屋敷に戻ってくると大人しく待っていたルルネットが笑顔で出迎えてくれる。
早く色々と教えてほしいと言った感情が伝わってくる。
引き受けた事だしルルネットも期待している様なので早速講師の仕事をする事にした。
「さて、それでは授業を始めてやる。」
「な、なんでこんなところにきてるのよ。」
ジルの言葉にルルネットが困惑した様子で尋ねる。
ティータイムで過ごしていた部屋を移動して、今は屋敷の書斎にきていた。
本が沢山置かれていてテーブルや椅子も幾つかある。
ここはブリジットが魔法や地理等の勉強をする際の部屋として使っていたらしく、今も政務はここでしているらしい。
「早速不満か?我の言いなりになると言う条件だった筈だぞ?」
「言いなりになるとまでは言ってないわ!なんで書斎にきたのか疑問に思っただけよ。」
ルルネットは訓練場に向かうものとばかり思っていた。
書斎にいくなんて予想外である。
「我にはルルネットがどの程度魔法に対する知識があるのか分からないのでな。手始めに座学から始めようと思ったのだ。」
講師として何かを教える前に、生徒が何をどれだけ知っているのかを把握していなければ教える効率が悪い。
取り敢えず戦闘で使われる事の多い魔法に対する知識の確認は必要である。
「えー、せっかく戦えるかと思ってたのに。」
ジルの言葉にルルネットが不満気な表情で言う。
しかしジルの指示に従うと言う約束なので小声で愚痴を言う程度に留めている。
「成る程、確かにそれは良い案ですね。知識が無ければ実戦では苦労する事になります。」
ルルネットの後方でブリジットがうんうんと何度も頷いて言う。
「一応尋ねるが何をしにきたんだ?」
ジルがルルネットの後ろに向けて尋ねる。
そこにはブリジットとメイドが一人待機している。
「邪魔はしませんから気にしないで下さい。休暇で暇…ルルネットが失礼な事をしないか監視しようかと。」
ブリジットの言い掛けた言葉をジルは聞き逃さなかった。
部下に仕事を全て引き受けてもらったので暇を持て余している様だ。
「私はルルネット様の専属メイドとしてお側に控えていなければなりません。それに未婚の貴族令嬢方を殿方とだけにはしておけません。」
メイドの方はブリジットの様な歪んだ理由では無い。
ジルにそんな気は無いが、それでも形式上はそう言った事が必要なのだろう。
仮にも二人はトレンフル家の貴族令嬢なので、何か問題が起きてしまえば大変である。
「ふむ、邪魔はしてくれるなよ?」
ジルの言葉に二人が頷いたのを確認してルルネットに向き直る。
依頼なのでそれなりにしっかり取り組むつもりだ。
他者に長期的な戦闘訓練を施すのは久しぶりなので少し乗り気だったりもする。
「先ずは魔法の基礎を確かめるぞ。」
戦闘において主力となるものの一つだ。
深く知っておいて損は無いので、基礎から確認していく。
「そんな初歩から?」
「なんだ?不満なのか?」
「私はこれでも飛び級で中等部の学校を卒業してるんだから!そんな初歩はとっくにクリア済みよ!」
そう言ってルルネットが胸を張る。
今更基礎を勉強する必要なんて無いと言った様子だ。
「中等部?」
「ご存知ありませんか?年齢毎に通える学校の事です。」
学校についての知識が無いジルにブリジットが教えてくれた。
学校は幾つか種類があって、初等部、中等部、高等部と年齢毎に分けられている。
各三年制となっており、それぞれ10歳~12歳、13歳~15歳、16歳~18歳と分けられているらしい。
ルルネットは13歳にして中等部の学校の課程を終了させて卒業したらしい。
普通であれば三年掛かって卒業するところを一年目で卒業するとは、確かに威張るだけの事はありそうである。
魔法についての知識もそれなりに蓄えているだろう。
「それなりに優秀と言う事か。」
「貴族の子女は事前に家庭教師などを付けて勉強させる事も多いですから、飛び級する貴族は多いのですけどね。」
どうやら大抵の貴族が事前に勉強をして学校に備えておくらしい。
そうする理由は平民を率いる立場にある貴族が平民に劣る結果を出さない様にする為らしい。
要するに貴族の見栄を張る行為だ。
「それでもこの早さは結構優秀なんだからね!」
14歳で卒業する者は多いが13歳となると本当にごく一部の生徒だけらしい。
なのでルルネットはかなり優秀な部類と言う事になる。
サザナギはあまりギルドでジルに依頼が出せなくなる事を悲しんでいたが、たまには顔を出すと言っておいた。
ギルドでも正式な依頼として受理されたので、トレンフル家の貴族のお嬢様であるルルネットの期間限定講師となった。
屋敷に戻ってくると大人しく待っていたルルネットが笑顔で出迎えてくれる。
早く色々と教えてほしいと言った感情が伝わってくる。
引き受けた事だしルルネットも期待している様なので早速講師の仕事をする事にした。
「さて、それでは授業を始めてやる。」
「な、なんでこんなところにきてるのよ。」
ジルの言葉にルルネットが困惑した様子で尋ねる。
ティータイムで過ごしていた部屋を移動して、今は屋敷の書斎にきていた。
本が沢山置かれていてテーブルや椅子も幾つかある。
ここはブリジットが魔法や地理等の勉強をする際の部屋として使っていたらしく、今も政務はここでしているらしい。
「早速不満か?我の言いなりになると言う条件だった筈だぞ?」
「言いなりになるとまでは言ってないわ!なんで書斎にきたのか疑問に思っただけよ。」
ルルネットは訓練場に向かうものとばかり思っていた。
書斎にいくなんて予想外である。
「我にはルルネットがどの程度魔法に対する知識があるのか分からないのでな。手始めに座学から始めようと思ったのだ。」
講師として何かを教える前に、生徒が何をどれだけ知っているのかを把握していなければ教える効率が悪い。
取り敢えず戦闘で使われる事の多い魔法に対する知識の確認は必要である。
「えー、せっかく戦えるかと思ってたのに。」
ジルの言葉にルルネットが不満気な表情で言う。
しかしジルの指示に従うと言う約束なので小声で愚痴を言う程度に留めている。
「成る程、確かにそれは良い案ですね。知識が無ければ実戦では苦労する事になります。」
ルルネットの後方でブリジットがうんうんと何度も頷いて言う。
「一応尋ねるが何をしにきたんだ?」
ジルがルルネットの後ろに向けて尋ねる。
そこにはブリジットとメイドが一人待機している。
「邪魔はしませんから気にしないで下さい。休暇で暇…ルルネットが失礼な事をしないか監視しようかと。」
ブリジットの言い掛けた言葉をジルは聞き逃さなかった。
部下に仕事を全て引き受けてもらったので暇を持て余している様だ。
「私はルルネット様の専属メイドとしてお側に控えていなければなりません。それに未婚の貴族令嬢方を殿方とだけにはしておけません。」
メイドの方はブリジットの様な歪んだ理由では無い。
ジルにそんな気は無いが、それでも形式上はそう言った事が必要なのだろう。
仮にも二人はトレンフル家の貴族令嬢なので、何か問題が起きてしまえば大変である。
「ふむ、邪魔はしてくれるなよ?」
ジルの言葉に二人が頷いたのを確認してルルネットに向き直る。
依頼なのでそれなりにしっかり取り組むつもりだ。
他者に長期的な戦闘訓練を施すのは久しぶりなので少し乗り気だったりもする。
「先ずは魔法の基礎を確かめるぞ。」
戦闘において主力となるものの一つだ。
深く知っておいて損は無いので、基礎から確認していく。
「そんな初歩から?」
「なんだ?不満なのか?」
「私はこれでも飛び級で中等部の学校を卒業してるんだから!そんな初歩はとっくにクリア済みよ!」
そう言ってルルネットが胸を張る。
今更基礎を勉強する必要なんて無いと言った様子だ。
「中等部?」
「ご存知ありませんか?年齢毎に通える学校の事です。」
学校についての知識が無いジルにブリジットが教えてくれた。
学校は幾つか種類があって、初等部、中等部、高等部と年齢毎に分けられている。
各三年制となっており、それぞれ10歳~12歳、13歳~15歳、16歳~18歳と分けられているらしい。
ルルネットは13歳にして中等部の学校の課程を終了させて卒業したらしい。
普通であれば三年掛かって卒業するところを一年目で卒業するとは、確かに威張るだけの事はありそうである。
魔法についての知識もそれなりに蓄えているだろう。
「それなりに優秀と言う事か。」
「貴族の子女は事前に家庭教師などを付けて勉強させる事も多いですから、飛び級する貴族は多いのですけどね。」
どうやら大抵の貴族が事前に勉強をして学校に備えておくらしい。
そうする理由は平民を率いる立場にある貴族が平民に劣る結果を出さない様にする為らしい。
要するに貴族の見栄を張る行為だ。
「それでもこの早さは結構優秀なんだからね!」
14歳で卒業する者は多いが13歳となると本当にごく一部の生徒だけらしい。
なのでルルネットはかなり優秀な部類と言う事になる。
4
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
怠惰生活希望の第六王子~悪徳領主を目指してるのに、なぜか名君呼ばわりされているんですが~
服田 晃和
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた男──久岡達夫は、同僚の尻拭いによる三十連勤に体が耐え切れず、その短い人生を過労死という形で終えることとなった。
最悪な人生を送った彼に、神が与えてくれた二度目の人生。
今度は自由気ままな生活をしようと決意するも、彼が生まれ変わった先は一国の第六王子──アルス・ドステニアだった。当初は魔法と剣のファンタジー世界に転生した事に興奮し、何でも思い通りに出来る王子という立場も気に入っていた。
しかし年が経つにつれて、激化していく兄達の跡目争いに巻き込まれそうになる。
どうにか政戦から逃れようにも、王子という立場がそれを許さない。
また俺は辛い人生を送る羽目になるのかと頭を抱えた時、アルスの頭に一つの名案が思い浮かんだのだ。
『使えない存在になれば良いのだ。兄様達から邪魔者だと思われるようなそんな存在になろう!』
こうしてアルスは一つの存在を目指すことにした。兄達からだけではなく国民からも嫌われる存在。
『ちょい悪徳領主』になってやると。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる