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23章
元魔王様と風の姫騎士との再会 9
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ブリジットの風魔法によって洞窟が攻撃され、中から盗賊達がわらわらと出てくる。
盗賊の拠点と言うだけあってかなりの人数である。
「いました、あの黒いフードを目深に被っている小さな子です。」
ジルの姿は既に魔法道具のマントによって見えないが、いる事は分かっているのでブリジットが小声で教えてくれる。
ブリジットの言う通り、盗賊達の後方に一人だけ黒いフードを身に付けた者がいる。
被ったフードの耳の部分が少しだけ盛り上がっている。
エルフ族の特徴の一つである長耳だと思われるので間違い無さそうだ。
ジルは足音を立てない様に静かにその場を離れる。
その間もナキナ達が盗賊達の注意を引いてくれていたので、盗賊達の背後に簡単に回り込めた。
その頃には戦闘も始まり、エルフも後方から魔法で支援している。
普段であれば簡単に盗賊達を蹴散らしそうなナキナ達が実力で拮抗しているので、闇魔法での弱体化はかなり戦闘に影響していそうだ。
「少し大人しくしてもらうぞ。」
「っ!?」
マントのおかげで誰にも気付かれる事無くエルフに接近出来た。
必要の無くなったマントを外すとエルフには突然近くに人が現れた様に感じられたのか、随分と驚いていた。
「安心しろ、殺しはしない。」
「あっ…。」
そう言ってジルがエルフの意識を刈り取る。
遠距離戦闘を得意とする種族だけあってあっさり気絶してジルの腕の中に倒れ込む。
「な、なんだてめえ!」
「どこから現れやがった!」
周りの盗賊達がジルに気付いたがもう遅い。
エルフが気絶させられた事でナキナ達に掛かっていた闇魔法は解除された。
既に本来の実力に戻ったナキナ達が盗賊達を圧倒し始めている。
「我の役目は終わったが、向かってくるなら相手をしてやろう。」
ジルは銀月を抜いて構える。
盗賊達は戦闘の要であるエルフを取り返さなければと一斉にジルに襲い掛かってきた。
しかし闇魔法に頼っていた盗賊達との実力の差は歴然である。
ジルが銀月を振るう度に相手の武器が次々と折られていく。
そして殺さない様に盗賊の胴体を逆刃で殴ると数メートルくらい吹き飛んでいく。
殺さない様に配慮したのだが死ぬ程痛い思いをしているだろう。
盗賊に従わされていた奴隷達は命令する盗賊が倒れていっていなくなると、元々敵対するつもりは無かったので大人しくなる。
「上手くいったのう。」
ナキナ達も特に怪我をしたところは無さそうだ。
「まさかこれ程あっさりと片が付くとは思いませんでした。皆さん御助力感謝します。」
ブリジットはあまりにも簡単に勝ててしまい、先の敗北は何だったのかと思いながらもジル達に頭を下げて感謝してくる。
「まだ洞窟に盗賊がいるかもしれないし、先に進んでみるか。」
「そうじゃな。」
表に出てきた盗賊は全て倒して地面に倒れているが洞窟の中はまだ見ていない。
これでは完全制圧とは言えないだろう。
「ではそちらはお任せしますね。私は盗賊達を縛っておきます。」
ブリジットは奴隷達を集めながら言う。
盗賊を縛るのに協力してもらうのだろう。
奴隷の中にはこれまでの扱いから殺したいと憎んでいる者もいたが一旦ブリジットの言葉に従ってくれている。
エルフの事も任せてナキナと影丸と共に洞窟に入る。
「広いな。」
「あれだけの人数がいたからのう。」
洞窟の中は何方向かに通路が分かれていたので手分けして調べる事にする。
「ここは広間か。」
通路を進むと広いスペースが現れ、岩で出来たテーブルの上に酒や食べ物が散らかっている。
宴会でもしていたのか、いきなりの奇襲に慌てて出てきたのかもしれない。
「おっ、食料と酒の保存場所か。」
広間の端にはおそらく盗品と思われる保存食や酒が置かれていた。
盗賊達は壊滅させたのでこのまま置いておいても無駄になる為、盗品の所持者は討伐者に移るので戦利品として貰っておく。
「お次は何が…ん?」
通路を戻って別の道を進むと扉が設置されているのを見つける。
わざわざ洞窟の中に取り付けたみたいである。
「さっきの爆音は何だったんだ?ってお前誰ゴフッ!」
扉を開けて中に入ると盗賊が一人いた。
扉を開けたのが仲間だと思って尋ねてきたが知らない男だと分かると武器を構えたので、相手が言い終わる前に腹に掌底を叩き込んでやった。
盗賊は吹き飛んで壁に激突して意識を失う。
「あの騒ぎでも見張りを残していくのは当然か。ここは宝物庫みたいだしな。」
ジルが目の前に広がる物を見て言う。
相当な量の小金貨や銀貨、高そう装飾品、魔法道具の数々と煌びやかな光景である。
「これは中々の稼ぎになるな。」
ジルは笑みを浮かべながらお宝を回収していく。
思ったよりも蓄えているみたいだ。
「ジル殿、何か爆音が聞こえたのじゃが。」
少しするとナキナが扉から顔を覗かせて尋ねてくる。
先程盗賊を吹き飛ばして壁に激突させた音だろう。
「見張りがいたから倒しただけだ。そっちは何かあったか?」
「奴隷とは別で捕らえられた者達を見つけたぞ。それにしても凄いお宝の量じゃな。」
話しながらも回収しているがまだまだお宝は残っており、ナキナも驚いている。
「そうか、これの回収が終わったら我も向かおう。」
「いや、ジル殿は来ない方がいいと思うぞ?彼女達を刺激してしまうかもしれんからのう。」
「あーそう言う事か。ならばそちらは任せる。」
ナキナの言葉でジルは察する。
捕らえられた者達で女性となると盗賊達に攫われた戦闘の奴隷とは別口の、いわゆる性奴隷の可能性が高い。
落ち着くまでは同棲のナキナが側にいた方が良さそうだ。
盗賊の拠点と言うだけあってかなりの人数である。
「いました、あの黒いフードを目深に被っている小さな子です。」
ジルの姿は既に魔法道具のマントによって見えないが、いる事は分かっているのでブリジットが小声で教えてくれる。
ブリジットの言う通り、盗賊達の後方に一人だけ黒いフードを身に付けた者がいる。
被ったフードの耳の部分が少しだけ盛り上がっている。
エルフ族の特徴の一つである長耳だと思われるので間違い無さそうだ。
ジルは足音を立てない様に静かにその場を離れる。
その間もナキナ達が盗賊達の注意を引いてくれていたので、盗賊達の背後に簡単に回り込めた。
その頃には戦闘も始まり、エルフも後方から魔法で支援している。
普段であれば簡単に盗賊達を蹴散らしそうなナキナ達が実力で拮抗しているので、闇魔法での弱体化はかなり戦闘に影響していそうだ。
「少し大人しくしてもらうぞ。」
「っ!?」
マントのおかげで誰にも気付かれる事無くエルフに接近出来た。
必要の無くなったマントを外すとエルフには突然近くに人が現れた様に感じられたのか、随分と驚いていた。
「安心しろ、殺しはしない。」
「あっ…。」
そう言ってジルがエルフの意識を刈り取る。
遠距離戦闘を得意とする種族だけあってあっさり気絶してジルの腕の中に倒れ込む。
「な、なんだてめえ!」
「どこから現れやがった!」
周りの盗賊達がジルに気付いたがもう遅い。
エルフが気絶させられた事でナキナ達に掛かっていた闇魔法は解除された。
既に本来の実力に戻ったナキナ達が盗賊達を圧倒し始めている。
「我の役目は終わったが、向かってくるなら相手をしてやろう。」
ジルは銀月を抜いて構える。
盗賊達は戦闘の要であるエルフを取り返さなければと一斉にジルに襲い掛かってきた。
しかし闇魔法に頼っていた盗賊達との実力の差は歴然である。
ジルが銀月を振るう度に相手の武器が次々と折られていく。
そして殺さない様に盗賊の胴体を逆刃で殴ると数メートルくらい吹き飛んでいく。
殺さない様に配慮したのだが死ぬ程痛い思いをしているだろう。
盗賊に従わされていた奴隷達は命令する盗賊が倒れていっていなくなると、元々敵対するつもりは無かったので大人しくなる。
「上手くいったのう。」
ナキナ達も特に怪我をしたところは無さそうだ。
「まさかこれ程あっさりと片が付くとは思いませんでした。皆さん御助力感謝します。」
ブリジットはあまりにも簡単に勝ててしまい、先の敗北は何だったのかと思いながらもジル達に頭を下げて感謝してくる。
「まだ洞窟に盗賊がいるかもしれないし、先に進んでみるか。」
「そうじゃな。」
表に出てきた盗賊は全て倒して地面に倒れているが洞窟の中はまだ見ていない。
これでは完全制圧とは言えないだろう。
「ではそちらはお任せしますね。私は盗賊達を縛っておきます。」
ブリジットは奴隷達を集めながら言う。
盗賊を縛るのに協力してもらうのだろう。
奴隷の中にはこれまでの扱いから殺したいと憎んでいる者もいたが一旦ブリジットの言葉に従ってくれている。
エルフの事も任せてナキナと影丸と共に洞窟に入る。
「広いな。」
「あれだけの人数がいたからのう。」
洞窟の中は何方向かに通路が分かれていたので手分けして調べる事にする。
「ここは広間か。」
通路を進むと広いスペースが現れ、岩で出来たテーブルの上に酒や食べ物が散らかっている。
宴会でもしていたのか、いきなりの奇襲に慌てて出てきたのかもしれない。
「おっ、食料と酒の保存場所か。」
広間の端にはおそらく盗品と思われる保存食や酒が置かれていた。
盗賊達は壊滅させたのでこのまま置いておいても無駄になる為、盗品の所持者は討伐者に移るので戦利品として貰っておく。
「お次は何が…ん?」
通路を戻って別の道を進むと扉が設置されているのを見つける。
わざわざ洞窟の中に取り付けたみたいである。
「さっきの爆音は何だったんだ?ってお前誰ゴフッ!」
扉を開けて中に入ると盗賊が一人いた。
扉を開けたのが仲間だと思って尋ねてきたが知らない男だと分かると武器を構えたので、相手が言い終わる前に腹に掌底を叩き込んでやった。
盗賊は吹き飛んで壁に激突して意識を失う。
「あの騒ぎでも見張りを残していくのは当然か。ここは宝物庫みたいだしな。」
ジルが目の前に広がる物を見て言う。
相当な量の小金貨や銀貨、高そう装飾品、魔法道具の数々と煌びやかな光景である。
「これは中々の稼ぎになるな。」
ジルは笑みを浮かべながらお宝を回収していく。
思ったよりも蓄えているみたいだ。
「ジル殿、何か爆音が聞こえたのじゃが。」
少しするとナキナが扉から顔を覗かせて尋ねてくる。
先程盗賊を吹き飛ばして壁に激突させた音だろう。
「見張りがいたから倒しただけだ。そっちは何かあったか?」
「奴隷とは別で捕らえられた者達を見つけたぞ。それにしても凄いお宝の量じゃな。」
話しながらも回収しているがまだまだお宝は残っており、ナキナも驚いている。
「そうか、これの回収が終わったら我も向かおう。」
「いや、ジル殿は来ない方がいいと思うぞ?彼女達を刺激してしまうかもしれんからのう。」
「あーそう言う事か。ならばそちらは任せる。」
ナキナの言葉でジルは察する。
捕らえられた者達で女性となると盗賊達に攫われた戦闘の奴隷とは別口の、いわゆる性奴隷の可能性が高い。
落ち着くまでは同棲のナキナが側にいた方が良さそうだ。
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