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20章
元魔王様とSランク冒険者 7
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おそらくそんな脳筋作戦は他の冒険者では真似出来無いので可能なのはラブリートの様な化け物クラスだけだろう。
「それだとワイバーンの相手もしなければいけなくなるな。効率が悪くないか?」
大量のワイバーンを相手取ったとしても死の危険は感じないが面倒ではある。
このやり方に巻き込まれるのは遠慮したい。
「でもワイバーンも高く売れるわよ?肉は美味しいし頭から尻尾までは素材として売れるわ。」
「それは気になるな。」
ワイバーンの肉が美味いと聞けば是非食べてみたいとジルは思った。
取り敢えずこの段階で卵だけで無くワイバーンを狩る事は決定した。
「だが面倒な戦闘をする必要は無い。」
ワイバーンは狩るが卵を収穫しながらだと万が一卵に被害が出たら困る。
「何か考えがあるのかしら?」
ラブリートとしてはジルに考えがあるのなら普段の作戦通りで無くても構わないと言った様子だ。
ランクはジルよりも圧倒的に高いが一切見下したりはしておらず、同格の存在とすら思っているからこそなのかもしれない。
「まあな。この辺でいいだろう。」
ジルは山頂より少し手前の岩場の陰に隠れる様に座ると座禅を組む。
休憩では無く集中する為に座禅を組んだ。
「何をしているのかしら?」
不思議な行動を取るジルにラブリートは疑問を浮かべている。
「少し集中して魔法を使う。無防備になるから万が一の時は任せる。」
「何かするのね?安心して任せてちょうだい。」
頼もしいサムズアップをしながらラブリートが言う。
Sランクの冒険者が言うのだ、これ程安心出来る事は無い。
「時空間魔法、空間把握!」
ジルは目を閉じて魔法を使用する。
これはジルの周囲の情報を認識出来る、心眼のスキルに似ている魔法だ。
違いは心眼のスキルの様に一瞬で発動させる事は出来ず、ある程度の集中力が必要である。
その代わりに心眼よりも広範囲をカバー出来る。
魔力消費を気にしないのであればどこまでも範囲を広げる事が出来、全方向だけで無く一方向を指定して認識範囲にする事も可能だ。
今回は安全圏から卵泥棒をしようと思い心眼のスキルでは距離が足りないので空間把握の魔法を使用した。
頂上側へと意識を向けて認識出来る範囲を広げていく。
すると岩陰に藁で作られた巨大な絨毯を見つけ、その上に大きな卵が置かれているのを見つける。
「見つけた、あれが卵だな。1メートルを超える大きさで赤い斑点模様が付いている。」
1メートルを超える卵と言うだけでも珍しい。
魔物の中ではトップクラスに大きい部類だろう。
「それがワイバーンの卵で間違い無いわ。」
「了解だ。上級重力魔法、ウエイトフィールド!」
続いて重力魔法を使用して卵を少しだけ浮かせる。
そしてそのまま自分達の方に向けて卵を空中移動させていく。
この魔法は周囲の人や物に対して自由に加重減重出来る魔法なのだが、この魔法単体では効果範囲がそこまで広くは無い。
本来なら卵の位置は自分達から離れ過ぎている為、魔法の効果範囲外なのだが同時に使用している空間把握がそれの補助をしている。
空間把握の魔法は認識範囲を広げるだけでは無く、認識している範囲内であればどこでも魔法発動を可能とする。
かなり破格の性能を持つ魔法ではあるが本人が無防備になるのと認識範囲外からの攻撃に弱いと言うデメリットもある。
「あら?卵が一人でにこっちに向かってきてるわね。」
ラブリートが一人でに向かってくる卵を見て少し驚いた声をあげている。
卵だけが空中を浮いて向かってくるのはなんともシュールな光景である。
「我の魔法だ。こうやって安全に集めるとしよう。」
遠隔による卵の移動であればワイバーンに見つからない様に移動させられるし、音も一切出ないので気付かれる心配も無い。
「随分と便利な魔法ね。緊張感が薄れていく光景だわ。」
そう言いつつふわふわと浮いてきた卵を受け取る。
本来冒険者達が命懸けで取りにくるワイバーンの卵が開始数分で簡単に手に入ってしまった。
と言ってもこんな卵取りの方法を実行出来るのはジルくらいのものだ。
「ワイバーンに見つからない様に動かすのも難しいんだぞ?」
ジルはそう言っているがラブリートの目には既にふわふわと浮いて近付いてくる卵が2つ見えている。
苦労していそうには見えない収穫速度である。
「もう3つも集まったわね。あまり多いと持って帰れないわよ?」
片手に一つずつ卵を受け取りながら言う。
ワイバーンの卵だがその状態でも生き物と判断される。
収納系スキルや魔法道具には生き物が入れられないので卵をいつもの様に無限倉庫のスキルに収納する事は出来無い。
「帰りも来た時と同じく魔法での移動方法を使う。あの範囲分くらいの数の卵なら持ち帰れると考えていい。」
結界魔法の範囲内は窮屈な思いをしなくてもいい様に少し広めになっているのでジルとラブリートがいてもまだまだ余裕がある。
「どれだけ持ち帰るつもりなのよ。あまり取り過ぎると野生のワイバーンの個体数が減っちゃうわよ?」
「襲われる心配が減るからいいんじゃないのか?」
絶滅するまで取るつもりは無いが卵は金になるし需要も高いのでそれなりに持って帰りたい。
それに野生の数も増え過ぎると人が襲われる可能性も増えるので少し減らした方がいいのではないかと思った。
「その分市場に出回る肉や素材も減るけれどね。」
卵が乱獲されれば野生で育つワイバーンの数も減る事になる。
そうなれば当然ワイバーン関係の物の流通が少なくなる。
ジルが興味のある肉も出回らなくなってしまう。
「取り過ぎは止めてこのくらいでいいだろう。」
そう忠告されると重力魔法で浮かせている分を運び終えると直ぐに魔法を解除して卵取りを終了した。
「それだとワイバーンの相手もしなければいけなくなるな。効率が悪くないか?」
大量のワイバーンを相手取ったとしても死の危険は感じないが面倒ではある。
このやり方に巻き込まれるのは遠慮したい。
「でもワイバーンも高く売れるわよ?肉は美味しいし頭から尻尾までは素材として売れるわ。」
「それは気になるな。」
ワイバーンの肉が美味いと聞けば是非食べてみたいとジルは思った。
取り敢えずこの段階で卵だけで無くワイバーンを狩る事は決定した。
「だが面倒な戦闘をする必要は無い。」
ワイバーンは狩るが卵を収穫しながらだと万が一卵に被害が出たら困る。
「何か考えがあるのかしら?」
ラブリートとしてはジルに考えがあるのなら普段の作戦通りで無くても構わないと言った様子だ。
ランクはジルよりも圧倒的に高いが一切見下したりはしておらず、同格の存在とすら思っているからこそなのかもしれない。
「まあな。この辺でいいだろう。」
ジルは山頂より少し手前の岩場の陰に隠れる様に座ると座禅を組む。
休憩では無く集中する為に座禅を組んだ。
「何をしているのかしら?」
不思議な行動を取るジルにラブリートは疑問を浮かべている。
「少し集中して魔法を使う。無防備になるから万が一の時は任せる。」
「何かするのね?安心して任せてちょうだい。」
頼もしいサムズアップをしながらラブリートが言う。
Sランクの冒険者が言うのだ、これ程安心出来る事は無い。
「時空間魔法、空間把握!」
ジルは目を閉じて魔法を使用する。
これはジルの周囲の情報を認識出来る、心眼のスキルに似ている魔法だ。
違いは心眼のスキルの様に一瞬で発動させる事は出来ず、ある程度の集中力が必要である。
その代わりに心眼よりも広範囲をカバー出来る。
魔力消費を気にしないのであればどこまでも範囲を広げる事が出来、全方向だけで無く一方向を指定して認識範囲にする事も可能だ。
今回は安全圏から卵泥棒をしようと思い心眼のスキルでは距離が足りないので空間把握の魔法を使用した。
頂上側へと意識を向けて認識出来る範囲を広げていく。
すると岩陰に藁で作られた巨大な絨毯を見つけ、その上に大きな卵が置かれているのを見つける。
「見つけた、あれが卵だな。1メートルを超える大きさで赤い斑点模様が付いている。」
1メートルを超える卵と言うだけでも珍しい。
魔物の中ではトップクラスに大きい部類だろう。
「それがワイバーンの卵で間違い無いわ。」
「了解だ。上級重力魔法、ウエイトフィールド!」
続いて重力魔法を使用して卵を少しだけ浮かせる。
そしてそのまま自分達の方に向けて卵を空中移動させていく。
この魔法は周囲の人や物に対して自由に加重減重出来る魔法なのだが、この魔法単体では効果範囲がそこまで広くは無い。
本来なら卵の位置は自分達から離れ過ぎている為、魔法の効果範囲外なのだが同時に使用している空間把握がそれの補助をしている。
空間把握の魔法は認識範囲を広げるだけでは無く、認識している範囲内であればどこでも魔法発動を可能とする。
かなり破格の性能を持つ魔法ではあるが本人が無防備になるのと認識範囲外からの攻撃に弱いと言うデメリットもある。
「あら?卵が一人でにこっちに向かってきてるわね。」
ラブリートが一人でに向かってくる卵を見て少し驚いた声をあげている。
卵だけが空中を浮いて向かってくるのはなんともシュールな光景である。
「我の魔法だ。こうやって安全に集めるとしよう。」
遠隔による卵の移動であればワイバーンに見つからない様に移動させられるし、音も一切出ないので気付かれる心配も無い。
「随分と便利な魔法ね。緊張感が薄れていく光景だわ。」
そう言いつつふわふわと浮いてきた卵を受け取る。
本来冒険者達が命懸けで取りにくるワイバーンの卵が開始数分で簡単に手に入ってしまった。
と言ってもこんな卵取りの方法を実行出来るのはジルくらいのものだ。
「ワイバーンに見つからない様に動かすのも難しいんだぞ?」
ジルはそう言っているがラブリートの目には既にふわふわと浮いて近付いてくる卵が2つ見えている。
苦労していそうには見えない収穫速度である。
「もう3つも集まったわね。あまり多いと持って帰れないわよ?」
片手に一つずつ卵を受け取りながら言う。
ワイバーンの卵だがその状態でも生き物と判断される。
収納系スキルや魔法道具には生き物が入れられないので卵をいつもの様に無限倉庫のスキルに収納する事は出来無い。
「帰りも来た時と同じく魔法での移動方法を使う。あの範囲分くらいの数の卵なら持ち帰れると考えていい。」
結界魔法の範囲内は窮屈な思いをしなくてもいい様に少し広めになっているのでジルとラブリートがいてもまだまだ余裕がある。
「どれだけ持ち帰るつもりなのよ。あまり取り過ぎると野生のワイバーンの個体数が減っちゃうわよ?」
「襲われる心配が減るからいいんじゃないのか?」
絶滅するまで取るつもりは無いが卵は金になるし需要も高いのでそれなりに持って帰りたい。
それに野生の数も増え過ぎると人が襲われる可能性も増えるので少し減らした方がいいのではないかと思った。
「その分市場に出回る肉や素材も減るけれどね。」
卵が乱獲されれば野生で育つワイバーンの数も減る事になる。
そうなれば当然ワイバーン関係の物の流通が少なくなる。
ジルが興味のある肉も出回らなくなってしまう。
「取り過ぎは止めてこのくらいでいいだろう。」
そう忠告されると重力魔法で浮かせている分を運び終えると直ぐに魔法を解除して卵取りを終了した。
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