99 / 651
11章
元魔王様と一流の鍛治師 2
しおりを挟む
しかしジル達が無事に戻ってきたのでそれも杞憂に終わった。
「我がオーク如きに返り討ちにされる訳が無いだろう。」
ミラの言葉を聞いたジルが呆れた様に言う。
「そっちでは無いですよ!ついでに受けた依頼じゃないですか!」
「何の事か分からんな。それより手続きを頼むぞ。」
あくまでもそう言う体裁を崩さずにオークの魔石を取り出して置く。
「はぁ、それでコカトリスは狩れたんですか?」
呆れながらもオークの魔石を受け取って依頼の処理をしながらミラが尋ねる。
「ああ、オーク討伐の邪魔をしてきたのでな。」
「やっぱり倒してるじゃないですか!それと疲れるのでもう誤魔化さなくていいですよ。」
ジルとのやり取りで疲れたミラがそう言う。
出会った頃からずっと驚かされてきたが、難無く高ランクの依頼の討伐対象まで倒してきたと聞いて、つくづく規格外だと思い知らされた。
「ジル様、コカトリスは売るのです?」
「持ってきてるんですか!?」
シキの言葉を聞いたミラがズイッと顔を近付けて尋ねる。
高ランクの素材なのでギルドとしては売ってもらえるなら是非買い取りたい。
「み、ミラ、怖いのです。」
突然顔が目の前にきたので、シキは小さな手で押し返しながら言う。
「す、すみませんでした。貴重な魔物の素材でしたので。」
冒険者は上のランクにいく程、ピラミッド状に人が少なくなっていく。
なので高ランクの依頼は低ランクの依頼と違って直ぐに無くなっていく訳ではなく、高ランクの素材も手に入りにくいのだ。
「売るつもりだったから、解体はしていないが持ってきてはいるぞ。」
元々解体出来る者がいないので解体はギルド任せである。
解体費用として多少金が掛かるが、労力を割いたり素材を無駄にしない事を考えると任せるのが一番楽なのだ。
「こちらとしては売っていただけるのならば助かります。」
依頼では無いので報酬は出ないが買い取りとしてのお金は発生する。
コカトリスは高ランクなので大金が期待出来る。
「なら早速向かうか。」
「あ、ジルさんちょっと待ってください。」
解体場所にコカトリスを出しにいこうとしたらミラに止められる。
「その前にお伝えしたい事がありまして。頼まれていたミスリル鉱石の件なんですけど。」
ミラがキョロキョロと周りを見回して確認し、小声でジルに言ってくる。
無限倉庫のスキルの中に大量に入っていたミスリル鉱石の卸先を探してもらっていた件である。
「もう見つかったのか?」
「見つかったと言っていいのか悩ましいのですが…。」
ミラははっきりとしない様子で言う。
「なんだ?値切り交渉でもされてるのか?」
ミラ曰くジルの持つミスリル鉱石は純度が高く、かなり高い値段で取り引き出来るらしいので、買い手としては安く仕入れたいと考えても不思議では無い。
「いえ、そもそも売買の話しすらしていません。ジルさんに頼まれてから、セダンにある武器屋を幾つか回ったんです。そしたらその内の一つである鍛治師に鉱石の事を尋ねられまして。」
目利きに長けていたのか、見た瞬間に目の色を変えて尋ねてきたらしい。
「入手経路とかか?」
「いえ、持ち主はお前かと聞かれただけです。否定したら持ち主に会わせろと言われまして。なので直接聞いて下さい。」
そう言ってミラが立ち上がる。
「どこにいるんだ?」
「酒場でずっと待ってますよ。」
そう言ってギルド内の酒場の方を指差す。
昼過ぎだと言っても食事や酒目当てで何人かの客はいる。
「一応それなりに時間の掛かる依頼だぞ?ずっと待っていたのか?」
移動で数日使う依頼なのだ。
ギルドで帰りを待っているのは現実的では無い。
「そう話したのですが直ぐに会える様に酒場で待っていると言って、三日程酒場にいますね。」
「三日なのです!?」
それを聞いてシキが驚いている。
あんな騒がしくて酒臭い場所に三日もいられるとは、ジルとしても驚きである。
「酒場はずっと開いてますからね。お金さえ払えるのなら誰も文句は言いません。」
金さえあれば客なので席をずっと占領していても追い出される事は無いのだ。
「それにしても待ち過ぎだろう。」
「規格外のジルさん達なら直ぐに帰ってくる可能性もありましたからね。本人が待つと言っているのなら、私に何か言う権利はありませんし。」
ジルならば片道数日の距離もなんとかして、直ぐに帰ってくるのではないかとミラは思っていた。
それも含めて遅いのではと言う心配でもあったのだ。
そしてそれは中々に鋭い意見であり、実際に魔法で移動する事により爆速での移動を可能としていた。
「ならば早速会うとするか。」
「あのミスリル鉱石の話しなので、一応奥の部屋を使ってもらってもいいですか?」
ギルド内は少ないと言っても人はいる。
騒ぎを大きくしたくないミラとしては、応接室の方で話してほしい様だ。
「分かった。」
「私が呼んできますから、中で待っていてください。」
そう言ってミラが酒場の方に向かっていったので、ジル達は部屋で待つ事にして先に応接室に入った。
「我がオーク如きに返り討ちにされる訳が無いだろう。」
ミラの言葉を聞いたジルが呆れた様に言う。
「そっちでは無いですよ!ついでに受けた依頼じゃないですか!」
「何の事か分からんな。それより手続きを頼むぞ。」
あくまでもそう言う体裁を崩さずにオークの魔石を取り出して置く。
「はぁ、それでコカトリスは狩れたんですか?」
呆れながらもオークの魔石を受け取って依頼の処理をしながらミラが尋ねる。
「ああ、オーク討伐の邪魔をしてきたのでな。」
「やっぱり倒してるじゃないですか!それと疲れるのでもう誤魔化さなくていいですよ。」
ジルとのやり取りで疲れたミラがそう言う。
出会った頃からずっと驚かされてきたが、難無く高ランクの依頼の討伐対象まで倒してきたと聞いて、つくづく規格外だと思い知らされた。
「ジル様、コカトリスは売るのです?」
「持ってきてるんですか!?」
シキの言葉を聞いたミラがズイッと顔を近付けて尋ねる。
高ランクの素材なのでギルドとしては売ってもらえるなら是非買い取りたい。
「み、ミラ、怖いのです。」
突然顔が目の前にきたので、シキは小さな手で押し返しながら言う。
「す、すみませんでした。貴重な魔物の素材でしたので。」
冒険者は上のランクにいく程、ピラミッド状に人が少なくなっていく。
なので高ランクの依頼は低ランクの依頼と違って直ぐに無くなっていく訳ではなく、高ランクの素材も手に入りにくいのだ。
「売るつもりだったから、解体はしていないが持ってきてはいるぞ。」
元々解体出来る者がいないので解体はギルド任せである。
解体費用として多少金が掛かるが、労力を割いたり素材を無駄にしない事を考えると任せるのが一番楽なのだ。
「こちらとしては売っていただけるのならば助かります。」
依頼では無いので報酬は出ないが買い取りとしてのお金は発生する。
コカトリスは高ランクなので大金が期待出来る。
「なら早速向かうか。」
「あ、ジルさんちょっと待ってください。」
解体場所にコカトリスを出しにいこうとしたらミラに止められる。
「その前にお伝えしたい事がありまして。頼まれていたミスリル鉱石の件なんですけど。」
ミラがキョロキョロと周りを見回して確認し、小声でジルに言ってくる。
無限倉庫のスキルの中に大量に入っていたミスリル鉱石の卸先を探してもらっていた件である。
「もう見つかったのか?」
「見つかったと言っていいのか悩ましいのですが…。」
ミラははっきりとしない様子で言う。
「なんだ?値切り交渉でもされてるのか?」
ミラ曰くジルの持つミスリル鉱石は純度が高く、かなり高い値段で取り引き出来るらしいので、買い手としては安く仕入れたいと考えても不思議では無い。
「いえ、そもそも売買の話しすらしていません。ジルさんに頼まれてから、セダンにある武器屋を幾つか回ったんです。そしたらその内の一つである鍛治師に鉱石の事を尋ねられまして。」
目利きに長けていたのか、見た瞬間に目の色を変えて尋ねてきたらしい。
「入手経路とかか?」
「いえ、持ち主はお前かと聞かれただけです。否定したら持ち主に会わせろと言われまして。なので直接聞いて下さい。」
そう言ってミラが立ち上がる。
「どこにいるんだ?」
「酒場でずっと待ってますよ。」
そう言ってギルド内の酒場の方を指差す。
昼過ぎだと言っても食事や酒目当てで何人かの客はいる。
「一応それなりに時間の掛かる依頼だぞ?ずっと待っていたのか?」
移動で数日使う依頼なのだ。
ギルドで帰りを待っているのは現実的では無い。
「そう話したのですが直ぐに会える様に酒場で待っていると言って、三日程酒場にいますね。」
「三日なのです!?」
それを聞いてシキが驚いている。
あんな騒がしくて酒臭い場所に三日もいられるとは、ジルとしても驚きである。
「酒場はずっと開いてますからね。お金さえ払えるのなら誰も文句は言いません。」
金さえあれば客なので席をずっと占領していても追い出される事は無いのだ。
「それにしても待ち過ぎだろう。」
「規格外のジルさん達なら直ぐに帰ってくる可能性もありましたからね。本人が待つと言っているのなら、私に何か言う権利はありませんし。」
ジルならば片道数日の距離もなんとかして、直ぐに帰ってくるのではないかとミラは思っていた。
それも含めて遅いのではと言う心配でもあったのだ。
そしてそれは中々に鋭い意見であり、実際に魔法で移動する事により爆速での移動を可能としていた。
「ならば早速会うとするか。」
「あのミスリル鉱石の話しなので、一応奥の部屋を使ってもらってもいいですか?」
ギルド内は少ないと言っても人はいる。
騒ぎを大きくしたくないミラとしては、応接室の方で話してほしい様だ。
「分かった。」
「私が呼んできますから、中で待っていてください。」
そう言ってミラが酒場の方に向かっていったので、ジル達は部屋で待つ事にして先に応接室に入った。
4
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
さようなら、家族の皆さま~不要だと捨てられた妻は、精霊王の愛し子でした~
みなと
ファンタジー
目が覚めた私は、ぼんやりする頭で考えた。
生まれた息子は乳母と義母、父親である夫には懐いている。私のことは、無関心。むしろ馬鹿にする対象でしかない。
夫は、私の実家の資産にしか興味は無い。
なら、私は何に興味を持てばいいのかしら。
きっと、私が生きているのが邪魔な人がいるんでしょうね。
お生憎様、死んでやるつもりなんてないの。
やっと、私は『私』をやり直せる。
死の淵から舞い戻った私は、遅ればせながら『自分』をやり直して楽しく生きていきましょう。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。
アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。
【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】
地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。
同じ状況の少女と共に。
そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!?
怯える少女と睨みつける私。
オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。
だったら『勝手にする』から放っておいて!
同時公開
☆カクヨム さん
✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉
タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。
そして番外編もはじめました。
相変わらず不定期です。
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます🙇💕
これからもよろしくお願いします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
婚約破棄はいいですが、あなた学院に届け出てる仕事と違いませんか?
来住野つかさ
恋愛
侯爵令嬢オリヴィア・マルティネスの現在の状況を端的に表すならば、絶体絶命と言える。何故なら今は王立学院卒業式の記念パーティの真っ最中。華々しいこの催しの中で、婚約者のシェルドン第三王子殿下に婚約破棄と断罪を言い渡されているからだ。
パン屋で働く苦学生・平民のミナを隣において、シェルドン殿下と側近候補達に断罪される段になって、オリヴィアは先手を打つ。「ミナさん、あなた学院に提出している『就業許可申請書』に書いた勤務内容に偽りがありますわよね?」――
よくある婚約破棄ものです。R15は保険です。あからさまな表現はないはずです。
※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』にも掲載しています。
転移したらダンジョンの下層だった
Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。
もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。
そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。
どうぞ二人の愛を貫いてください。悪役令嬢の私は一抜けしますね。
kana
恋愛
私の目の前でブルブルと震えている、愛らく庇護欲をそそる令嬢の名前を呼んだ瞬間、頭の中でパチパチと火花が散ったかと思えば、突然前世の記憶が流れ込んできた。
前世で読んだ小説の登場人物に転生しちゃっていることに気付いたメイジェーン。
やばい!やばい!やばい!
確かに私の婚約者である王太子と親しすぎる男爵令嬢に物申したところで問題にはならないだろう。
だが!小説の中で悪役令嬢である私はここのままで行くと断罪されてしまう。
前世の記憶を思い出したことで冷静になると、私の努力も認めない、見向きもしない、笑顔も見せない、そして不貞を犯す⋯⋯そんな婚約者なら要らないよね!
うんうん!
要らない!要らない!
さっさと婚約解消して2人を応援するよ!
だから私に遠慮なく愛を貫いてくださいね。
※気を付けているのですが誤字脱字が多いです。長い目で見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる