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10章
元魔王様と最強のメイド達 2
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「ざまあみやがれ、使い捨てだが火力は十分だ。」
ハガンは効果を見て高笑いしながら言う。
爆発に巻き込まれたオーガ達が、四肢を失ったり瀕死の重症で吹き飛ばされているので威力は充分だ。
「オーガはお前の仲間だったのではないのです!」
その光景を見たシキは思わずハガンに向けて声を荒げる。
敵であっても仲間を巻き込む様な攻撃を見たら可哀想だと思ってしまったのだ。
「あ?仲間だと?あまい事抜かしてんじゃねえぞチビ!あいつらは目的を達成する為の駒、道具にすぎねえんだよ。」
しかしハガンにとっては任務の成功確率を少しでも高める為の道具に過ぎない。
優しいシキと鬼人族滅亡を企むハガンの価値観が合う筈も無い。
「仲間を見捨てるとは、どうしようもない存在だと改めて認識出来ました。」
大爆発が起こったにも関わらず、そんな涼しい声が爆煙の中から聞こえてきた。
「っ!?あの爆発を受けて無事だと!?」
「私の武器も全てマスターのお手製です。突破どころか傷さえ受ける事はありません。」
爆煙が晴れると大楯によって守られ、無傷のタイプBが現れる。
ハガンの攻撃に合わせて換装を行っていたのだ。
言葉通りに大楯は傷一つ無く、表面はピカピカと輝いている。
「ちっ、計画を潰されてたまるか!」
奥の手の一つを潰されたハガンは、迷わず近場で瀕死になっているオーガに駆け寄る。
そのオーガを助けるのかと思えば、取り出したのはポーションでは無い。
普通の魔石とは違って怪しげな色に染まった禍々しい魔石であった。
それをオーガの身体に触れさせると、溶け込む様に体内に入っていく。
「たたみ掛けるとしましょう。『換装!』」
大盾を仕舞い、取り出したのは複数の薄い鉄の棒だ。
これはジルが転移者達から異世界の武器について昔聞いたのを元に作り出した武器である。
両端が剣先の様に鋭くなっており、空中を回りながら浮いている。
回転式浮遊刃と名付けられたその武器は、浮遊している事もあり使用者の意のままに操れる。
遠隔操作で何かを企むハガン目掛けて向かわせる。
回転式浮遊刃が敵を斬り刻もうと唸りを上げて進んでいくが、突如起き上がったオーガが手に持つ斧を魔装させて全て弾き落としてしまった。
瀕死だったオーガとは思えない動きであり、更に普通とは言えない状態でもあった。
ハガンの使った魔石の影響か、オーガの身体がボコボコと波打ちながら大きくなっていく。
「形勢再逆転といこうじゃねえか!」
「ゴガアアア!」
身体の膨張が止まったオーガが雄叫びをあげる。
なんと瀕死のオーガが完全回復しただけで無く、最上位種であるオーガキングに進化した。
「何らかの魔法道具による強制的な進化と推察します。統率個体並びに魔族の排除を優先します。『換装!』」
弾き落とされた回転式浮遊刃を仕舞い、今度は双剣を装備する。
重い武器では無くなったので機動力がかなり高まった。
「オーガキングやっちまえ!」
「ゴガアアア!」
統率個体であるオーガキングの影響でオーガ達は強化される。
そんなオーガ達を俊敏な動きを活かして、すれ違いざまに次々と双剣で斬り付けていく。
しかし先程までとは違い、強化された影響で簡単に倒れない個体もいる。
そのせいで中々標的と定めたハガンとオーガキングに近寄れず、時間を稼がれてしまう。
その間にハガンが新たなオーガキングを二体生み出し、合計三体のオーガキングが誕生してしまった。
効果は重複しないがオーガキングと言う個体自体が強いので厄介な事には変わりない。
「まさかここで使わされるとはな。だがこれでてめえをスクラップにしてやれるぜ!」
最後の奥の手だったが、戦力差を一気に高める事に成功するハガン。
オーガの最上位種が三体もいる光景は圧巻である。
「作戦を変更します。」
このまま戦っても負ける事は無いが、時間が掛かってしまうと判断するタイプB。
マスターであるジルに頼まれたのは、保護と殲滅である。
殲滅ばかりに気を取られて、保護対象が死んでしまっては意味が無い。
幸い戦いながらオーガとハガン、シキと鬼人族達を分ける様な位置どりに付けた。
再び武器を換装して回転式浮遊刃を取り出し、遠隔操作で牽制しつつ時間を稼ぐ。
「個体名シキ、マスターの契約精霊と推察します。」
敵の相手をしながら背後に庇うシキに話し掛けるタイプB。
「は、はいなのです。マスターと言うのは多分シキのご主人様なのです。」
お互い出会うのは初めてなので憶測での会話となる。
と言っても今までの状況を見れば、まず間違い無いと言える。
「それでは無限倉庫からポーションを取り出し、鬼人族の回復を行ってください。それで戦闘に集中する事が出来ます。」
タイプBが提案したのは鬼人族達の手当てだ。
重症者もそれなりにいるので、戦いの余波に巻き込まない様にセーブして戦っていたのだ。
しかし鬼人族達がある程度回復してくれれば、タイプBも本領を発揮出来る。
「あー、そうだったのです!シキとした事が失念していたのです!」
タイプBの提案を聞いたシキは頭を抱える。
真契約を結んだ者同士だと、幾つか互いのスキルに干渉する事が出来る様になる。
それによってシキはジルの持つ無限倉庫が使えるのだ。
何故会ったばかりのタイプBがそれを提案出来たかと言うと、非常に便利なスキルなので干渉出来る様にしているのではないかと言う単なる予想であった。
「それでは宜しくお願いします。」
早速ナキナや鬼人族達の下に向かい、ポーションを取り出すシキを確認したタイプBは戦闘に戻っていった。
ハガンは効果を見て高笑いしながら言う。
爆発に巻き込まれたオーガ達が、四肢を失ったり瀕死の重症で吹き飛ばされているので威力は充分だ。
「オーガはお前の仲間だったのではないのです!」
その光景を見たシキは思わずハガンに向けて声を荒げる。
敵であっても仲間を巻き込む様な攻撃を見たら可哀想だと思ってしまったのだ。
「あ?仲間だと?あまい事抜かしてんじゃねえぞチビ!あいつらは目的を達成する為の駒、道具にすぎねえんだよ。」
しかしハガンにとっては任務の成功確率を少しでも高める為の道具に過ぎない。
優しいシキと鬼人族滅亡を企むハガンの価値観が合う筈も無い。
「仲間を見捨てるとは、どうしようもない存在だと改めて認識出来ました。」
大爆発が起こったにも関わらず、そんな涼しい声が爆煙の中から聞こえてきた。
「っ!?あの爆発を受けて無事だと!?」
「私の武器も全てマスターのお手製です。突破どころか傷さえ受ける事はありません。」
爆煙が晴れると大楯によって守られ、無傷のタイプBが現れる。
ハガンの攻撃に合わせて換装を行っていたのだ。
言葉通りに大楯は傷一つ無く、表面はピカピカと輝いている。
「ちっ、計画を潰されてたまるか!」
奥の手の一つを潰されたハガンは、迷わず近場で瀕死になっているオーガに駆け寄る。
そのオーガを助けるのかと思えば、取り出したのはポーションでは無い。
普通の魔石とは違って怪しげな色に染まった禍々しい魔石であった。
それをオーガの身体に触れさせると、溶け込む様に体内に入っていく。
「たたみ掛けるとしましょう。『換装!』」
大盾を仕舞い、取り出したのは複数の薄い鉄の棒だ。
これはジルが転移者達から異世界の武器について昔聞いたのを元に作り出した武器である。
両端が剣先の様に鋭くなっており、空中を回りながら浮いている。
回転式浮遊刃と名付けられたその武器は、浮遊している事もあり使用者の意のままに操れる。
遠隔操作で何かを企むハガン目掛けて向かわせる。
回転式浮遊刃が敵を斬り刻もうと唸りを上げて進んでいくが、突如起き上がったオーガが手に持つ斧を魔装させて全て弾き落としてしまった。
瀕死だったオーガとは思えない動きであり、更に普通とは言えない状態でもあった。
ハガンの使った魔石の影響か、オーガの身体がボコボコと波打ちながら大きくなっていく。
「形勢再逆転といこうじゃねえか!」
「ゴガアアア!」
身体の膨張が止まったオーガが雄叫びをあげる。
なんと瀕死のオーガが完全回復しただけで無く、最上位種であるオーガキングに進化した。
「何らかの魔法道具による強制的な進化と推察します。統率個体並びに魔族の排除を優先します。『換装!』」
弾き落とされた回転式浮遊刃を仕舞い、今度は双剣を装備する。
重い武器では無くなったので機動力がかなり高まった。
「オーガキングやっちまえ!」
「ゴガアアア!」
統率個体であるオーガキングの影響でオーガ達は強化される。
そんなオーガ達を俊敏な動きを活かして、すれ違いざまに次々と双剣で斬り付けていく。
しかし先程までとは違い、強化された影響で簡単に倒れない個体もいる。
そのせいで中々標的と定めたハガンとオーガキングに近寄れず、時間を稼がれてしまう。
その間にハガンが新たなオーガキングを二体生み出し、合計三体のオーガキングが誕生してしまった。
効果は重複しないがオーガキングと言う個体自体が強いので厄介な事には変わりない。
「まさかここで使わされるとはな。だがこれでてめえをスクラップにしてやれるぜ!」
最後の奥の手だったが、戦力差を一気に高める事に成功するハガン。
オーガの最上位種が三体もいる光景は圧巻である。
「作戦を変更します。」
このまま戦っても負ける事は無いが、時間が掛かってしまうと判断するタイプB。
マスターであるジルに頼まれたのは、保護と殲滅である。
殲滅ばかりに気を取られて、保護対象が死んでしまっては意味が無い。
幸い戦いながらオーガとハガン、シキと鬼人族達を分ける様な位置どりに付けた。
再び武器を換装して回転式浮遊刃を取り出し、遠隔操作で牽制しつつ時間を稼ぐ。
「個体名シキ、マスターの契約精霊と推察します。」
敵の相手をしながら背後に庇うシキに話し掛けるタイプB。
「は、はいなのです。マスターと言うのは多分シキのご主人様なのです。」
お互い出会うのは初めてなので憶測での会話となる。
と言っても今までの状況を見れば、まず間違い無いと言える。
「それでは無限倉庫からポーションを取り出し、鬼人族の回復を行ってください。それで戦闘に集中する事が出来ます。」
タイプBが提案したのは鬼人族達の手当てだ。
重症者もそれなりにいるので、戦いの余波に巻き込まない様にセーブして戦っていたのだ。
しかし鬼人族達がある程度回復してくれれば、タイプBも本領を発揮出来る。
「あー、そうだったのです!シキとした事が失念していたのです!」
タイプBの提案を聞いたシキは頭を抱える。
真契約を結んだ者同士だと、幾つか互いのスキルに干渉する事が出来る様になる。
それによってシキはジルの持つ無限倉庫が使えるのだ。
何故会ったばかりのタイプBがそれを提案出来たかと言うと、非常に便利なスキルなので干渉出来る様にしているのではないかと言う単なる予想であった。
「それでは宜しくお願いします。」
早速ナキナや鬼人族達の下に向かい、ポーションを取り出すシキを確認したタイプBは戦闘に戻っていった。
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