65 / 651
8章
元魔王様と鬼人族の巫女 1
しおりを挟む
遠出してきた甲斐もあり、コカトリスを倒してライムに石化のスキルを取得させる事に成功した。
「目的達成なのです!もう帰るです?」
「ふむ、どうするか。」
片道馬車で数日の距離だったが魔法を使って爆速で移動した為、コカトリスを倒しても出発してから数時間程度しか経っていない。
こんなに早く帰れば移動手段を怪しまれてしまう。
なので目立たない様にする為に、普通に時間を掛けて帰るしかない。
「徒歩でのんびり帰るとするか。」
「面白い物も見つかるかもしれないのです。」
行きは移動が速過ぎたので景色を楽しむ余裕も無かった。
そういう意味では来る時に楽しめなかった道中をゆっくり見られるので、何かしら発見があるかもしれない。
「数日程時間はある訳だしな。」
「更なるライムの強化も出来るかもなのです!」
道中強い魔物に遭遇する可能性もある。
ライムもプルプルと揺れて喜んでいる。
早く進化して強くなり、二人の役に立ちたいのだ。
「そう都合の良い魔物が現れるとは限ら無いがな。」
スキルはどんな魔物でも持っている訳では無い。
高ランクであれば大抵の魔物が何かしら所持しているが、低ランクの魔物だと望みは薄い。
そして有用なレアスキルを狙うとしたら、高ランクの中でも強い部類の魔物を倒す必要がある。
しかしそんな魔物が頻繁に出没したら大問題である。
少なくともブロム山脈の奥地から遠ざかっているので、出会う確率は下がるだろう。
「ん?」
暫く帰路を歩いていると、前方から人の気配を感じる。
それもかなりの数である。
「どうかしたのです?」
「人が近くにいるみたいだな。同業者かもしれない。」
ブロム山脈の奥地からは抜けたので、ここは新人冒険者達の狩場付近だ。
冒険者が依頼をこなしていても不思議は無い。
「いたのです…、あっ!」
精霊眼で複数の人を見つけたシキが突然大きな声を出す。
「どうした?」
「馬車に無理矢理子供を乗せているのです!」
シキが偶然にもとんでもない現場を目撃した様だ。
「人攫いか?こんな場所でよくやるもんだ。」
シキの報告を聞いたジルは肩にシキとライムを乗せると走って現場に向かう。
特に隠れる気も無いので、堂々と近付いていくと一人の男がジルに気が付く。
「ちっ、冒険者か。」
「ぐずぐずしてるから見つかっちまったじゃねえか!」
「おい、兄ちゃん。今なら見逃してやるぜ?」
悪態を吐きつつも男達は余裕そうである。
人数が十人近くいるので、冒険者一人くらいならなんとかなると思っているのだろう。
「た、助けて下さい!この人達が無理矢理僕達を!」
額に角を生やした子供がジルに助けを求めている。
あれは子供ではあるが鬼人族と言われる種族だ。
「黙ってろ!」
すると一人の男が子供を黙らせようと殴ろうとする。
しかしジルの張った結界により、拳が弾かれ子供に届く事は無い。
「痛ってえ!てめえ、何かしやがったな!」
「ヒーロー気取りの冒険者か。」
「こいつも奴隷にしちまうか?」
男達は各々武器を手に取る。
そしてジルを囲む様に展開していく。
「ふむ、奴隷狩りで間違い無さそうだな。欲深い人族のせいで他種族は苦労する。」
ジルはやれやれと首を振りながら言う。
魔王時代にも人族が他種族を無理矢理奴隷にする事は少なからずあった。
種族ごとに様々な特色があり、奴隷として使えると都合が良かったのだ。
容姿の優れている種族、戦闘能力に秀でている種族、諜報や潜入が得意な種族と様々だ。
自分の手元に置いておきたいと考える者は多いだろう。
「やっちまえ!」
男達が号令と共に一斉にジルに向かってくる。
「手加減する必要は無いな。街からも離れているし。」
生捕にすれば犯罪奴隷として引き取ってもらえて金が手に入る。
しかし街が近くに無い状態では連れて行くのが手間だ。
犯罪行為をしている者に容赦する必要は無いので、殺しても罪に問われる事は無い。
ジルが手を前に出すと、掌から次々に真っ赤な蝶が生み出されていく。
「燃えろ害虫共、フレアバタフライ!」
中級火魔法の一つ、触れた者を燃やす蝶を生み出す魔法、フレアバタフライを使う。
掌からは数えきれない程の数が生み出される。
そして男達は周りを囲まれ、逃げる事すら出来無い。
その後は阿鼻叫喚が辺りに響く。
助けを求める声もあるが自業自得だ。
「さすがジル様なのです!ライムもいつか同じくらい強くなるですよ?」
ライムはプルプルと揺れて、無理無理と否定してそうな感じが伝わってくる。
「さて、奴隷狩りは倒したから安心するといい。見たところ鬼人族だな?」
ジルが子供達に尋ねるが怯えてしまって反応が悪い。
自分達を連れ去ろうとした奴隷狩りだったが、それを目の前で平然と燃やし殺したジルが恐く見えても仕方が無かった。
「目的達成なのです!もう帰るです?」
「ふむ、どうするか。」
片道馬車で数日の距離だったが魔法を使って爆速で移動した為、コカトリスを倒しても出発してから数時間程度しか経っていない。
こんなに早く帰れば移動手段を怪しまれてしまう。
なので目立たない様にする為に、普通に時間を掛けて帰るしかない。
「徒歩でのんびり帰るとするか。」
「面白い物も見つかるかもしれないのです。」
行きは移動が速過ぎたので景色を楽しむ余裕も無かった。
そういう意味では来る時に楽しめなかった道中をゆっくり見られるので、何かしら発見があるかもしれない。
「数日程時間はある訳だしな。」
「更なるライムの強化も出来るかもなのです!」
道中強い魔物に遭遇する可能性もある。
ライムもプルプルと揺れて喜んでいる。
早く進化して強くなり、二人の役に立ちたいのだ。
「そう都合の良い魔物が現れるとは限ら無いがな。」
スキルはどんな魔物でも持っている訳では無い。
高ランクであれば大抵の魔物が何かしら所持しているが、低ランクの魔物だと望みは薄い。
そして有用なレアスキルを狙うとしたら、高ランクの中でも強い部類の魔物を倒す必要がある。
しかしそんな魔物が頻繁に出没したら大問題である。
少なくともブロム山脈の奥地から遠ざかっているので、出会う確率は下がるだろう。
「ん?」
暫く帰路を歩いていると、前方から人の気配を感じる。
それもかなりの数である。
「どうかしたのです?」
「人が近くにいるみたいだな。同業者かもしれない。」
ブロム山脈の奥地からは抜けたので、ここは新人冒険者達の狩場付近だ。
冒険者が依頼をこなしていても不思議は無い。
「いたのです…、あっ!」
精霊眼で複数の人を見つけたシキが突然大きな声を出す。
「どうした?」
「馬車に無理矢理子供を乗せているのです!」
シキが偶然にもとんでもない現場を目撃した様だ。
「人攫いか?こんな場所でよくやるもんだ。」
シキの報告を聞いたジルは肩にシキとライムを乗せると走って現場に向かう。
特に隠れる気も無いので、堂々と近付いていくと一人の男がジルに気が付く。
「ちっ、冒険者か。」
「ぐずぐずしてるから見つかっちまったじゃねえか!」
「おい、兄ちゃん。今なら見逃してやるぜ?」
悪態を吐きつつも男達は余裕そうである。
人数が十人近くいるので、冒険者一人くらいならなんとかなると思っているのだろう。
「た、助けて下さい!この人達が無理矢理僕達を!」
額に角を生やした子供がジルに助けを求めている。
あれは子供ではあるが鬼人族と言われる種族だ。
「黙ってろ!」
すると一人の男が子供を黙らせようと殴ろうとする。
しかしジルの張った結界により、拳が弾かれ子供に届く事は無い。
「痛ってえ!てめえ、何かしやがったな!」
「ヒーロー気取りの冒険者か。」
「こいつも奴隷にしちまうか?」
男達は各々武器を手に取る。
そしてジルを囲む様に展開していく。
「ふむ、奴隷狩りで間違い無さそうだな。欲深い人族のせいで他種族は苦労する。」
ジルはやれやれと首を振りながら言う。
魔王時代にも人族が他種族を無理矢理奴隷にする事は少なからずあった。
種族ごとに様々な特色があり、奴隷として使えると都合が良かったのだ。
容姿の優れている種族、戦闘能力に秀でている種族、諜報や潜入が得意な種族と様々だ。
自分の手元に置いておきたいと考える者は多いだろう。
「やっちまえ!」
男達が号令と共に一斉にジルに向かってくる。
「手加減する必要は無いな。街からも離れているし。」
生捕にすれば犯罪奴隷として引き取ってもらえて金が手に入る。
しかし街が近くに無い状態では連れて行くのが手間だ。
犯罪行為をしている者に容赦する必要は無いので、殺しても罪に問われる事は無い。
ジルが手を前に出すと、掌から次々に真っ赤な蝶が生み出されていく。
「燃えろ害虫共、フレアバタフライ!」
中級火魔法の一つ、触れた者を燃やす蝶を生み出す魔法、フレアバタフライを使う。
掌からは数えきれない程の数が生み出される。
そして男達は周りを囲まれ、逃げる事すら出来無い。
その後は阿鼻叫喚が辺りに響く。
助けを求める声もあるが自業自得だ。
「さすがジル様なのです!ライムもいつか同じくらい強くなるですよ?」
ライムはプルプルと揺れて、無理無理と否定してそうな感じが伝わってくる。
「さて、奴隷狩りは倒したから安心するといい。見たところ鬼人族だな?」
ジルが子供達に尋ねるが怯えてしまって反応が悪い。
自分達を連れ去ろうとした奴隷狩りだったが、それを目の前で平然と燃やし殺したジルが恐く見えても仕方が無かった。
1
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
怠惰生活希望の第六王子~悪徳領主を目指してるのに、なぜか名君呼ばわりされているんですが~
服田 晃和
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた男──久岡達夫は、同僚の尻拭いによる三十連勤に体が耐え切れず、その短い人生を過労死という形で終えることとなった。
最悪な人生を送った彼に、神が与えてくれた二度目の人生。
今度は自由気ままな生活をしようと決意するも、彼が生まれ変わった先は一国の第六王子──アルス・ドステニアだった。当初は魔法と剣のファンタジー世界に転生した事に興奮し、何でも思い通りに出来る王子という立場も気に入っていた。
しかし年が経つにつれて、激化していく兄達の跡目争いに巻き込まれそうになる。
どうにか政戦から逃れようにも、王子という立場がそれを許さない。
また俺は辛い人生を送る羽目になるのかと頭を抱えた時、アルスの頭に一つの名案が思い浮かんだのだ。
『使えない存在になれば良いのだ。兄様達から邪魔者だと思われるようなそんな存在になろう!』
こうしてアルスは一つの存在を目指すことにした。兄達からだけではなく国民からも嫌われる存在。
『ちょい悪徳領主』になってやると。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる