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3章
元魔王様と小さな精霊 4
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しかしシキの事を良く知っているジルは、シキが嬉しそうにしている他の理由も大体検討は付いていた。
しかしその前に情報の擦り合わせを行っておきたい。
「様も別に必要無いが、まあすきにしてくれ。それより我も少し聞きたい事がある。これらの情報について追加情報があれば教えてくれ。」
そう言ってジルは、自分で図書館を利用して調べた現在地、転生時間、人族と魔族の関係性等を主に尋ねた。
シキの話しを聞くと図書館で調べた内容も魔王像以外は大体合っている様だった。
そして追加情報についてだが、現在地や転生時間に関しては特に無いらしい。
代わりに転生の為に死んで結界が消失した当時、シキも含めた側近や配下の者達が中心都市や魔王城に雪崩れ込んで大騒ぎだったと教えてくれた。
そこには魔王に関する情報が死体も含めて一切存在せず、死ぬ前に書いた遺書が一枚だけあったと言う。
それを見た多くの者が涙したが、魔王の最後の決断に文句を言う者はその場に誰一人いなかったらしい。
そして当時の魔王軍は仕える魔王を失った事で直ぐに解散したと言う話しだった。
最後は人族と魔族の関係性についてだ。
一度は魔族が滅亡するまでに追い込まれたので、魔王である自分が抜けた後に同じ様な事が起こらないか少し心配していた。
結論から言うと本とは少し内容が違い、魔王の消失が確認されてから一度だけ、魔国フュデスに向けて人族が大規模な侵略行為を仕掛けたらしい。
しかし歴史の本にはそんな情報は載っていなかった。
理由は簡単だ、人族が大敗した為である。
魔族に大敗した歴史をわざわざ本に記して残したりはせず、そんな事は無かったと人族の歴史から葬られたのだ。
「側近の方々や配下の皆さんの活躍を是非ともジル様にも見てほしかったのです!正に一騎当千の活躍だったのです!」
シキは当時を思い出して、戦いの様子を熱く語ってくれた。
人族の軍は国に着くどころか、向かっている途中で魔族達の襲撃に遭い、多大な犠牲で直ぐに自国に追いやられたのだとか。
魔王が抜けても魔王に鍛えられた配下の者達の戦闘能力は非常に高く、人族の警戒対象が魔王から魔族達に変わっただけになった様だ。
「そうか、再び魔族が滅びそうになってなくて良かったよ。」
一応元魔王なので同族の事が少し気になってはいたのだ。
しかしその心配も取り越し苦労の様で元気にやっているらしい。
「同感なのです。でもこれからどうなるかは分からないのです。」
「あいつらならそう簡単に死ぬ事は無いだろう?」
シキが不穏な事を言うが、側近の者達は贔屓目無しでも世界的に見て上位の実力者が揃っていると思っている。
簡単に殺される様な事は無いだろう。
「それはそうなのです。しかし元魔王軍の方々でフュデスにて暮らしている方はあまりいないのです。」
シキによると魔王が死んだ事で魔王軍は直ぐに解散し、それを見計った様に新たな魔王を名乗る者が現れたらしい。
ジルからすれば統治者が死んだので、誰が名乗り出ようが特に気にならない。
だが元魔王軍の者達は、魔王ジークルード以外に仕える事を良しとせず、国を出たり民衆として暮らしたりと、新魔王軍に入る者は殆どいなかったのだ。
しかし人族の侵略行為の時には、国外の者達が撃退してくれたので、同族に協力的ではあるらしい。
「それは少し不安ではあるな。」
元魔王軍の者達がいれば簡単に滅亡とはならないと断言出来るが、知らない魔王や魔族が主力と聞くと少し不安になる。
「その新しい魔王はどうなんだ?」
「ジル様や元魔王軍と比べると当然かなり見劣りはするのです。でも高い戦闘能力を持っているのも確かなのです。」
これを聞くとどれだけ元魔王の時代の戦力が突出して高かったのか分かるだろう。
文字通り世界を相手取る事も不可能では無かったのだ。
「ならば不安要素は無い様に思えるが、シキには何か気になる事があるのか?」
戦力が他種族よりも高いのならば、簡単に国を落とされる事も無さそうだ。
「ジル様が転生する間、今から約10年前の事なのです。人族は魔族に対抗する手段として、定期的に勇者召喚を行っていたのですが、厄介な者を呼び寄せたのです。」
「厄介な者?」
今までにも勇者と言われる超人的な強さを持つ人族とはそれなりに関わってきた。
魔王である自分を殺せる者は現れなかったが、他の者達にとっては勇者も十分脅威となり得る存在だった。
「そうなのです。それは天使族なのです。」
シキが迫真の表情で言葉を発するが、ジルの記憶の中には無い種族名だった。
魔王時代にも聞いた事が無い種族名と言う事は、この世界には元々存在していない異世界の種族と言う事になるだろう。
「その天使族が厄介な存在って事か?」
「そうなのです。天使族は魔族を敵視しているのです。」
召喚魔法によって異世界の勇者を呼び出すのは、人族が昔から行っていた事だが、人族以外が召喚されたのはその時が初めてであった。
そして最初に召喚された天使族が、召喚者達と何を話したのかは公に知らされていないが、人族と天使族は協力関係を結んだのだとシキが教えてくれた。
しかしその前に情報の擦り合わせを行っておきたい。
「様も別に必要無いが、まあすきにしてくれ。それより我も少し聞きたい事がある。これらの情報について追加情報があれば教えてくれ。」
そう言ってジルは、自分で図書館を利用して調べた現在地、転生時間、人族と魔族の関係性等を主に尋ねた。
シキの話しを聞くと図書館で調べた内容も魔王像以外は大体合っている様だった。
そして追加情報についてだが、現在地や転生時間に関しては特に無いらしい。
代わりに転生の為に死んで結界が消失した当時、シキも含めた側近や配下の者達が中心都市や魔王城に雪崩れ込んで大騒ぎだったと教えてくれた。
そこには魔王に関する情報が死体も含めて一切存在せず、死ぬ前に書いた遺書が一枚だけあったと言う。
それを見た多くの者が涙したが、魔王の最後の決断に文句を言う者はその場に誰一人いなかったらしい。
そして当時の魔王軍は仕える魔王を失った事で直ぐに解散したと言う話しだった。
最後は人族と魔族の関係性についてだ。
一度は魔族が滅亡するまでに追い込まれたので、魔王である自分が抜けた後に同じ様な事が起こらないか少し心配していた。
結論から言うと本とは少し内容が違い、魔王の消失が確認されてから一度だけ、魔国フュデスに向けて人族が大規模な侵略行為を仕掛けたらしい。
しかし歴史の本にはそんな情報は載っていなかった。
理由は簡単だ、人族が大敗した為である。
魔族に大敗した歴史をわざわざ本に記して残したりはせず、そんな事は無かったと人族の歴史から葬られたのだ。
「側近の方々や配下の皆さんの活躍を是非ともジル様にも見てほしかったのです!正に一騎当千の活躍だったのです!」
シキは当時を思い出して、戦いの様子を熱く語ってくれた。
人族の軍は国に着くどころか、向かっている途中で魔族達の襲撃に遭い、多大な犠牲で直ぐに自国に追いやられたのだとか。
魔王が抜けても魔王に鍛えられた配下の者達の戦闘能力は非常に高く、人族の警戒対象が魔王から魔族達に変わっただけになった様だ。
「そうか、再び魔族が滅びそうになってなくて良かったよ。」
一応元魔王なので同族の事が少し気になってはいたのだ。
しかしその心配も取り越し苦労の様で元気にやっているらしい。
「同感なのです。でもこれからどうなるかは分からないのです。」
「あいつらならそう簡単に死ぬ事は無いだろう?」
シキが不穏な事を言うが、側近の者達は贔屓目無しでも世界的に見て上位の実力者が揃っていると思っている。
簡単に殺される様な事は無いだろう。
「それはそうなのです。しかし元魔王軍の方々でフュデスにて暮らしている方はあまりいないのです。」
シキによると魔王が死んだ事で魔王軍は直ぐに解散し、それを見計った様に新たな魔王を名乗る者が現れたらしい。
ジルからすれば統治者が死んだので、誰が名乗り出ようが特に気にならない。
だが元魔王軍の者達は、魔王ジークルード以外に仕える事を良しとせず、国を出たり民衆として暮らしたりと、新魔王軍に入る者は殆どいなかったのだ。
しかし人族の侵略行為の時には、国外の者達が撃退してくれたので、同族に協力的ではあるらしい。
「それは少し不安ではあるな。」
元魔王軍の者達がいれば簡単に滅亡とはならないと断言出来るが、知らない魔王や魔族が主力と聞くと少し不安になる。
「その新しい魔王はどうなんだ?」
「ジル様や元魔王軍と比べると当然かなり見劣りはするのです。でも高い戦闘能力を持っているのも確かなのです。」
これを聞くとどれだけ元魔王の時代の戦力が突出して高かったのか分かるだろう。
文字通り世界を相手取る事も不可能では無かったのだ。
「ならば不安要素は無い様に思えるが、シキには何か気になる事があるのか?」
戦力が他種族よりも高いのならば、簡単に国を落とされる事も無さそうだ。
「ジル様が転生する間、今から約10年前の事なのです。人族は魔族に対抗する手段として、定期的に勇者召喚を行っていたのですが、厄介な者を呼び寄せたのです。」
「厄介な者?」
今までにも勇者と言われる超人的な強さを持つ人族とはそれなりに関わってきた。
魔王である自分を殺せる者は現れなかったが、他の者達にとっては勇者も十分脅威となり得る存在だった。
「そうなのです。それは天使族なのです。」
シキが迫真の表情で言葉を発するが、ジルの記憶の中には無い種族名だった。
魔王時代にも聞いた事が無い種族名と言う事は、この世界には元々存在していない異世界の種族と言う事になるだろう。
「その天使族が厄介な存在って事か?」
「そうなのです。天使族は魔族を敵視しているのです。」
召喚魔法によって異世界の勇者を呼び出すのは、人族が昔から行っていた事だが、人族以外が召喚されたのはその時が初めてであった。
そして最初に召喚された天使族が、召喚者達と何を話したのかは公に知らされていないが、人族と天使族は協力関係を結んだのだとシキが教えてくれた。
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