上 下
107 / 116
第三章フェレスト王国エルフ編

106嬉しい知らせ

しおりを挟む

神聖キリス共和国。

「はい、これで大丈夫ですよ」

「ありがとう聖女様」

「お大事に」

「お嬢様次の患者様です」

「わかったわ八重美」

神聖キリス共和国の神殿では天城愛梨が人々の病を治し八重美はその護衛をしていた。

「これで今日は終了ですね」

「お疲れ様ですお嬢様こちらをどうぞ」

愛梨は椅子に座りゆっくりしていると八重美が紅茶を持ってきた。

「ありがとう八重美…………美味しいわ」

「ありがとうございます」

「そう言えば鈴木さん達は今日も」

「はい、不動の冤罪を晴らすために証拠集めと鍛練をしています」

「そうですか…………あれから六ヶ月くらいになりますね」

「あの三人は不動と中野が生きてると信じてますが…………」

八重美は無限と蒼花が既に死んでいると思っていた。

「八重美…それはまだ確信の無い事、軽率な発言はしないで特に鈴木さん達に聞かれたらなにをするかわかりません」

「しっ!失礼しました」

(確かに八重美の言っていることは正しいわ。不動さんと中野さんが崖から飛び下りてから六ヶ月経って生きている報告がなかった……本当にもう)

『あばよお前ら!!』

(私はあの時何もできなかった。ただ二人を死なせてしまった)

愛梨は八重美を叱ったが無限達がもう生きていない事に無限と蒼花を助けることが出来なかった事を心で嘆いていた。

ガチャ!

「あっ!今日もここにいたで御座るか!」

「う~す」

「お疲れ」

教会の扉から入ってきたのは尾田達である。

「貴様ら少しはお嬢様の言葉使いを直さないのか」

「今さらそんなこと言うか早乙女」

「誰のお陰でここにいれると思ってるんだ!」

「俺達は頼んでねぇ!」

「不動がお嬢様に頼んでいたと言っている」

「それと言葉使いは関係ねえ!」

謙信と八重美が言葉使いに対して喧嘩をし始めた。

「もう~その会話何回するんだよ謙信」

「最近やりすぎでは」

「チッ!今回はこのくらいにしてやる」

「私も相手するだけで疲れる」

二人は喧嘩を止めて謙信は椅子に八重美は愛梨の隣に立った。

「フフ、それで鈴木さん今日はどうでしたか?」

「ダメだったで御座るよ」

「流石にこれ以上は証拠を集めるのは無理だ」

「そうですか」

尾田達はこれ以上無限の冤罪の証拠を集めることができないと諦めていた。

「…………なぁ、無限と中野さん元気にしているのかな」

「わからないで御座るよ」

「…生きているのかわかりませんからね」

「「「「!!!」」」」

「八重美!」

「早乙女殿何を言って言ってるで御座るか」

「おい、早乙女お前まさか無限が生きてねぇと思ってんのか」

「あの無限が簡単に死ぬと」

ゾッ!!!

八重美は無限と蒼花が生きてないと尾田達に言うと三人はさっきまでとは違い真剣な表情となった。

「じゃ聞くがお前達は何を持ってあの二人が生きてると信じてる」

「アイツはな飛び下りる時笑っていたんだよ」

「笑っていた?」

「無限殿はどんな時でも無限の可能性を信じてる方そんな無限殿が絶望な状態で笑っている時はいつも何かあるので御座る」

「そう、無限は面倒臭がりだし、ふざけてたり、無茶な事をする奴だけど諦めない奴だから」

「アイツとは拳で語った仲だ!だからわかるアイツは死なねぇよ中野の事は大丈夫だろ」

三人は無限と蒼花が生きている事に何の心配もしていなかった。

「中野殿、無限殿事好きでしたからね」

「確かに俺達に無限の好きなもの聞いてきた時あったよな」

「助けるために飛び降りるなんてよ正直驚いたぜ」

「それはそう」

「…………貴方達は不動さんの事信頼しているんですね」

ドーン!

「お前達ここにいたか!」

教会の扉が勢いよく開くとそこには汗をかいている無灯炎がいた。

「あっ無灯先生!」

「帰ってきてたのか」

「確か織田達と一緒にシャーカ王国に行っていたんじゃあ」

「ついさっき帰ってきてなそれより鈴木、波動、源、いい知らせがある!」

「何ですか先生?」

「不動と中野が生きていたぞ!」

「「「「「!!」」」」」

無灯の言葉に全員は驚いていた。

「先生!本当に無限殿が生きていたので御座るか!」

「先生マジなんだよな!」

「二人とも生きてるんですか!」

「嗚呼、この目で確かめたあの二人は生きている!」

「よかったで御座る」

「言ったろ早乙女アイツは生きていた」

「無事で良かった~」

三人は無限が生きていること安心し喜んでいた。

「本当に生きていたのですね」

(不動さんと中野さんが生きている…………本当によかった)

愛梨は無限と蒼花が生きていることに喜び少し涙を流していた。

「お嬢様大丈夫ですか」

「えぇ大丈夫よ。それより八重美貴方は鈴木さん達に謝らなければいけませんよ」

「はい………鈴木…波動、源」

「なんで御座るか?」

「なんだ?」

「どうしたの?」

「さっきはすまなかった。不動と中野が生きていなと言ってしまって軽率な発言だった」

「私も三人を疑ってしまって申し訳ありません」

愛梨と八重美は三人に深く頭を下げた。

「別にいいで御座るよ」

「そうだよ天城さん達は無限の事よく知らないから仕方ない」

「……おい、早乙女」

「なんだ?」

「次同じ事言ったら許さねぇからな」

「わかった」

三人は愛梨達を許して次どうするか決めていた。

「アイツは今シャーカ王国にいるんだよな」

「多分旅をしているかも」

「なら俺達も旅に出る?」

「いいな!どうせここに居たって意味ねぇからな」

「けどどうやって抜け出す」

「ここの警備は厳重で御座る」

「見張りがいるからな」

三人は自分達も旅をする事にしてどうやって抜け出すか考えていた。

「…お前ら不動の所に向かうのか?」

「いや、俺達はそれぞれ別れて旅をするぜ先生」

「何故だ?」

「どうせアイツは自由に旅をしているんだろなら俺達も自由にさせてもらうぜ」

「そうだね」

「ならば早速準備をしなくては」

「先生はどうする?」

「俺はここに残る正直お前達生徒達を守ることが俺の役目だから本当はお前達を旅に行かせる事は先生としては許可できない」

「先生」

無灯は三人が旅に出ることは承認できないと、言った。何故なら異世界では何があるかわからないからだである。

「だが織田達やマリンさん達がお前達に何かするかわからない…………好きに行ってこい!」

「先生!」

「わかってるな先生!」

「ありがとうございます!」

「たが命だけは大切にしろいいな!」

「「「はい(で御座る)!!」」

無灯はこの先ここに残れば織田達が何かする事に危機感を感じ三人の旅を許可しその条件として命を大切にすると約束した。

「皆さん行かれるのですね」

「嗚呼、天城はどうするんだ」

「私は…………ここに残ります」

「お嬢様がそうなさらるのであるなら私も残ります」

「そうで御座るか…………六ヶ月間我々を匿ってくれてありがとうで御座る」

「助かったぜ」

「ありがとう天城さん、早乙女さん」

「いえ、私は不動さんとの約束を守っただけですので」

「なら早速行くか」

「見張りは俺が分身で撹乱するよ」

「急がなくては後リアン殿に協力して貰いましょう」

「俺も手伝うぞ」

四人は急いで神殿から出ていった。

「お嬢様よろしいかったのですかついていかなくて」

「えぇ、私は私にできることをします」

その後尾田達三人は神聖キリス共和国から抜け出しそれぞれ別れて旅に出た。

後に各々が無限と同じ偉業を成し遂げ全員が再会するのはまだ先の事である。

続く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人は異世界へと召喚される。勇者としてこの国を救ってほしいと頼まれるが、直人の職業は賢者であったため、一方的に追放されてしまう。 だが、王は知らなかった。賢者は勇者をも超える世界最強の職業であることを、自分の力に気づいた直人はその力を使って自由気ままに生きるのであった。 一方、王は直人が最強だと知って、戻ってくるように土下座して懇願するが、全ては手遅れであった。

処理中です...