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6月
雨の日には
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「最近雨ばっかで部活できねー!」
「ほんとそれ。筋トレばっかとかだるすぎるんだけど。」
「夏には大会もあるのになぁ。くっそ、試合してー!」
「わかる。早く梅雨おわんねーかな、蒸し暑いし。」
「梅雨って雨で女子の制服がちょっと透けるぐらいしかいいとこない。」
「明良ってそういうのしか考えらんないの?これだからバカは。」
「高校生男子としては!?普通だろ!?」
「ごめん、俺人語しかわかんないんだよね。」
「表でろや隼!!」
「人語しかわかりませーん」
朝、朝練のために来たものの結局雨で中止になったため教室で相変わらずのバカ話をしていると、ちょっとずつクラスに人が増えてきた。
「・・・おはよー」
黎も、眠そうにふらふらしながら入ってきた。
「氷室、今日もかわいーなー・・・」
「きもいって。あいつ男だから。どんなに女顔でも華奢でも男だから。」
「わかってるってーさすがに。」
「まぁだよね。」
黎が可愛いという話に心の中でうなずく。やっぱり黎はかわいい・・・ってえ。
「陽ちゃ~ん・・・」
バッグを置き終えた黎が立っていた俺に突然抱き着いてきた。そのまま俺の胸に頭をぐりぐりと押し付けてくる。
「えっ。」
「あの二人って、え・・・」
「仲いいよねそういえば・・・」
「あぁ癒しっ・・・!」
クラスがざわっとする。それでも気にせずぐりぐりと頭を押し付けてくる黎。
「ちょ、黎。どうした~?」
とりあえず黎の頭をよしよしと撫でてあげる。さらさらな黎の髪で遊びつつ頭を撫でてると、
「子ども扱いするなぁ・・・ばかぁ・・・」
と、俺の腕をつかんで離そうとし・・・
「冷たっ!?黎、顔見せて。」
「やだ~陽ちゃん~」
「黎おとなしくしろって。とりあえずいったん離れて・・・」
余計にくっついてきた。今日は雨で気温はそこそこ低いとはいえ夏である。こんなにくっついてたらさすがに暑い。
「寒いから、やだぁ。」
可愛い。可愛いんだけど、
「黎、絶対風邪か貧血だろ。いいから顔あげろって。」
「やだぁ~」
「いてっ!?」
突然隼から強めに小突かれる。
「なに、隼。」
「朝っぱらからげろ甘いんだけど。そんなとこでいちゃいちゃしてないでさっさと帰んなよ。先生には俺から言っとく。」
「え、陽太も帰んの?」
「この状態の黎は陽太がいないと無理。」
「そういうもんかーw」
「そういうもん。ほら、はやく帰った帰った。」
「隼、さんきゅ今度埋め合わせする。」
こうして俺は学校きて一時間もしないで帰ることになった。最短記録じゃなかろうか。
*****
「黎、ちゃんと歩けって~」
「むり~陽ちゃん、だっこ~」
「いやそっちの方が無理だから。ほら、電車乗るよ。」
伸びきった麺よりぐだぐだな黎をなだめすかし、なんとか黎の家までつくことができた。今日の朝は早めにいけば朝練ができるかもしれないという天気だったので、起こしてご飯だけ作り、黎には「ごめん、一人で行って。」と書置きだけ残したのだ。そのせいで体調不良に気付けなかった。低血圧で朝はいつも顔色悪いので参考にならないし。玄関で安心したのか一気に脱力し、本格的に具合の悪くなった黎を抱え上げ、寝室に向かう。とりあえずベッドに寝かせた。
「黎、制服脱げるか?」
「むり・・・だるい・・・」
「わかった。寝てろ。」
黎がぶっ倒れるのなんて一回や二回じゃない。具合が悪くなったとき、やたらと甘えたがるのもいつもの何倍もさびしがり屋になるのも知り尽くしてる。手早くネクタイを外し、ワイシャツを脱がせ・・・黎は人形のようにされるがままだった。自分は黎が好きだと自覚したはずだが、どうしてもこういうときは興奮より心配が先に来て、母親のような心境になってしまう。幼馴染の服を脱がせ慣れてるとか相当やばいよなと思ってるうちにあっさりと寝巻にまで着せ替え終わった。
「黎、どっか痛いとかあるか?」
「あたま。あと、ぐるぐるする・・・寒い・・・」
「貧血か。ちょっとまぶた見せて。」
こっちだって黎が倒れた数だけ世話してるのだ。パターンぐらいわかる。案の定、下まぶたは真っ白だった。
「貧血確定。今までの疲れが出たのかもな。黎にしては頑張ったよ、おとなしく寝てるに限る。」
「陽ちゃん、どっかいっちゃう・・・?」
「今日はここに泊まる。とりあえずなんか食べれるもの作ってくるけど。なになら食べれる?」
「泊まってくれるの!?うれしい・・・!りんご。おろしたやつがいい。なるべく早く戻ってきてね。」
「わかってるって。いいから短くてもちゃんと寝ろよ。おやすみ。」
「ん・・・おやすみ・・・」
「ほんとそれ。筋トレばっかとかだるすぎるんだけど。」
「夏には大会もあるのになぁ。くっそ、試合してー!」
「わかる。早く梅雨おわんねーかな、蒸し暑いし。」
「梅雨って雨で女子の制服がちょっと透けるぐらいしかいいとこない。」
「明良ってそういうのしか考えらんないの?これだからバカは。」
「高校生男子としては!?普通だろ!?」
「ごめん、俺人語しかわかんないんだよね。」
「表でろや隼!!」
「人語しかわかりませーん」
朝、朝練のために来たものの結局雨で中止になったため教室で相変わらずのバカ話をしていると、ちょっとずつクラスに人が増えてきた。
「・・・おはよー」
黎も、眠そうにふらふらしながら入ってきた。
「氷室、今日もかわいーなー・・・」
「きもいって。あいつ男だから。どんなに女顔でも華奢でも男だから。」
「わかってるってーさすがに。」
「まぁだよね。」
黎が可愛いという話に心の中でうなずく。やっぱり黎はかわいい・・・ってえ。
「陽ちゃ~ん・・・」
バッグを置き終えた黎が立っていた俺に突然抱き着いてきた。そのまま俺の胸に頭をぐりぐりと押し付けてくる。
「えっ。」
「あの二人って、え・・・」
「仲いいよねそういえば・・・」
「あぁ癒しっ・・・!」
クラスがざわっとする。それでも気にせずぐりぐりと頭を押し付けてくる黎。
「ちょ、黎。どうした~?」
とりあえず黎の頭をよしよしと撫でてあげる。さらさらな黎の髪で遊びつつ頭を撫でてると、
「子ども扱いするなぁ・・・ばかぁ・・・」
と、俺の腕をつかんで離そうとし・・・
「冷たっ!?黎、顔見せて。」
「やだ~陽ちゃん~」
「黎おとなしくしろって。とりあえずいったん離れて・・・」
余計にくっついてきた。今日は雨で気温はそこそこ低いとはいえ夏である。こんなにくっついてたらさすがに暑い。
「寒いから、やだぁ。」
可愛い。可愛いんだけど、
「黎、絶対風邪か貧血だろ。いいから顔あげろって。」
「やだぁ~」
「いてっ!?」
突然隼から強めに小突かれる。
「なに、隼。」
「朝っぱらからげろ甘いんだけど。そんなとこでいちゃいちゃしてないでさっさと帰んなよ。先生には俺から言っとく。」
「え、陽太も帰んの?」
「この状態の黎は陽太がいないと無理。」
「そういうもんかーw」
「そういうもん。ほら、はやく帰った帰った。」
「隼、さんきゅ今度埋め合わせする。」
こうして俺は学校きて一時間もしないで帰ることになった。最短記録じゃなかろうか。
*****
「黎、ちゃんと歩けって~」
「むり~陽ちゃん、だっこ~」
「いやそっちの方が無理だから。ほら、電車乗るよ。」
伸びきった麺よりぐだぐだな黎をなだめすかし、なんとか黎の家までつくことができた。今日の朝は早めにいけば朝練ができるかもしれないという天気だったので、起こしてご飯だけ作り、黎には「ごめん、一人で行って。」と書置きだけ残したのだ。そのせいで体調不良に気付けなかった。低血圧で朝はいつも顔色悪いので参考にならないし。玄関で安心したのか一気に脱力し、本格的に具合の悪くなった黎を抱え上げ、寝室に向かう。とりあえずベッドに寝かせた。
「黎、制服脱げるか?」
「むり・・・だるい・・・」
「わかった。寝てろ。」
黎がぶっ倒れるのなんて一回や二回じゃない。具合が悪くなったとき、やたらと甘えたがるのもいつもの何倍もさびしがり屋になるのも知り尽くしてる。手早くネクタイを外し、ワイシャツを脱がせ・・・黎は人形のようにされるがままだった。自分は黎が好きだと自覚したはずだが、どうしてもこういうときは興奮より心配が先に来て、母親のような心境になってしまう。幼馴染の服を脱がせ慣れてるとか相当やばいよなと思ってるうちにあっさりと寝巻にまで着せ替え終わった。
「黎、どっか痛いとかあるか?」
「あたま。あと、ぐるぐるする・・・寒い・・・」
「貧血か。ちょっとまぶた見せて。」
こっちだって黎が倒れた数だけ世話してるのだ。パターンぐらいわかる。案の定、下まぶたは真っ白だった。
「貧血確定。今までの疲れが出たのかもな。黎にしては頑張ったよ、おとなしく寝てるに限る。」
「陽ちゃん、どっかいっちゃう・・・?」
「今日はここに泊まる。とりあえずなんか食べれるもの作ってくるけど。なになら食べれる?」
「泊まってくれるの!?うれしい・・・!りんご。おろしたやつがいい。なるべく早く戻ってきてね。」
「わかってるって。いいから短くてもちゃんと寝ろよ。おやすみ。」
「ん・・・おやすみ・・・」
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