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4月
いつもの朝
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朝。5時30分。目覚ましが鳴り、いつも通りに起きる。手早くジャージに着替え、リビングに向かった。リビングにはすでに父と母が居た。二人とも早起きなため、いつも俺より先に起きている。
「おはよう、陽太。お弁当は用意したわ。黎くんによろしくね。」
「おはよう陽太。今日も朝練か?えらいなぁ。」
「おはよう。当然だよ、せっかくレギュラーに選ばれたんだし。」
軽く会話をしつつ、朝ご飯をできるだけ急いで食べる。
「ごちそうさま。」
きちんと手を合わせ、食器を片づけ、自室から荷物を取って家を出る。
「いってきます。」
母は、弟たちを起こしに行った。返事はないがいつも通りである。さて・・・もう6時。あいつは手がかかるからな・・・朝練、間に合うだろうか。
*****
「行くか。」
今、俺、日村陽太がいるのは、家の隣、とても豪華な門の前。日課をこなすためである。まずはインターホンを3回。・・・返事、なし。次に門を開けドアへ。渡されている合鍵を使い、ドアを開ける。中に入り、今度はこの豪奢な洋館の主にして幼馴染の名前をだいぶ大きな声で3回よぶ。・・・返事、なし。
「上がるぞー」
返事などぶっちゃけ最初から期待していない。期待するだけ無駄だと知っているので。家主の部屋の前に立ち、ドアをノック。
「ん・・・」
「起きろ、黎。朝だぞ。」
そう、俺の日課・・・それは隣の家で1人暮らしをする幼馴染を毎朝起こしにすること。
「起きろ。黎。」
「ん~」
ぜってー起きてねぇ・・・
「開けるぞ。」
予想通り中には、ベッドの上でミノムシみたいに丸まっている氷室黎の姿があった。
「起きろよいい加減・・・」
力任せに布団をはぐ。
「んっ!陽ちゃん・・・?ちょ、寒い返して・・・」
「何言ってんだ起きやがれ黎。」
「まだ6時とかでしょ?いいじゃん・・・」
「お前毎日9時に寝てるだろ?寝すぎだ、普通に考えて。しかも一回譲って寝かせておいたら結局寝過ごして学校来たの昼だったろ。忘れたとは言わせねぇぞ?」
「陽ちゃんひどい・・・だって布団が僕を離してくれなかったんだ・・・」
「うるせー早く起きろや。朝飯、作っといてやるから。10分後な。」
「・・・はーい」
きっかり10分後、黎はちゃんと制服をきてリビングに降りてきた。なんだかんだ言いながら結局起きてくれるのだ。のそのそと席にすわって食べ始める。
「陽ちゃんの味噌汁おいしい・・・」
「さんきゅー早く食べろ。」
「わかってるって~」
*****
in電車。
吊革につかまって外を眺めている黎の横顔をみて、あぁ綺麗だな。と、ふと思った。黎は目立つ。テレビでもめったにお目にかかれないような繊細な美しさと、なによりその儚さに惹かれるのだ。毎朝一緒に登校しているが、いつもいつも視線を感じる。でも、
「陽ちゃん、桜。」
本人はいたってマイペース。というか、自分が目立つことにも気づいてないのだろう。
「綺麗だな、桜。」
「ん。」
黎は人を惹きつける。男も女も、関係なく。そして、一片たりとも動かないその美貌を、どうにかして動かしたい。と、切望する輩を毎日無自覚に作り続けているのだ。
けれど。なにがあっても黎は、俺が守る。
もう、あんな思いはしたくないから。
「おはよう、陽太。お弁当は用意したわ。黎くんによろしくね。」
「おはよう陽太。今日も朝練か?えらいなぁ。」
「おはよう。当然だよ、せっかくレギュラーに選ばれたんだし。」
軽く会話をしつつ、朝ご飯をできるだけ急いで食べる。
「ごちそうさま。」
きちんと手を合わせ、食器を片づけ、自室から荷物を取って家を出る。
「いってきます。」
母は、弟たちを起こしに行った。返事はないがいつも通りである。さて・・・もう6時。あいつは手がかかるからな・・・朝練、間に合うだろうか。
*****
「行くか。」
今、俺、日村陽太がいるのは、家の隣、とても豪華な門の前。日課をこなすためである。まずはインターホンを3回。・・・返事、なし。次に門を開けドアへ。渡されている合鍵を使い、ドアを開ける。中に入り、今度はこの豪奢な洋館の主にして幼馴染の名前をだいぶ大きな声で3回よぶ。・・・返事、なし。
「上がるぞー」
返事などぶっちゃけ最初から期待していない。期待するだけ無駄だと知っているので。家主の部屋の前に立ち、ドアをノック。
「ん・・・」
「起きろ、黎。朝だぞ。」
そう、俺の日課・・・それは隣の家で1人暮らしをする幼馴染を毎朝起こしにすること。
「起きろ。黎。」
「ん~」
ぜってー起きてねぇ・・・
「開けるぞ。」
予想通り中には、ベッドの上でミノムシみたいに丸まっている氷室黎の姿があった。
「起きろよいい加減・・・」
力任せに布団をはぐ。
「んっ!陽ちゃん・・・?ちょ、寒い返して・・・」
「何言ってんだ起きやがれ黎。」
「まだ6時とかでしょ?いいじゃん・・・」
「お前毎日9時に寝てるだろ?寝すぎだ、普通に考えて。しかも一回譲って寝かせておいたら結局寝過ごして学校来たの昼だったろ。忘れたとは言わせねぇぞ?」
「陽ちゃんひどい・・・だって布団が僕を離してくれなかったんだ・・・」
「うるせー早く起きろや。朝飯、作っといてやるから。10分後な。」
「・・・はーい」
きっかり10分後、黎はちゃんと制服をきてリビングに降りてきた。なんだかんだ言いながら結局起きてくれるのだ。のそのそと席にすわって食べ始める。
「陽ちゃんの味噌汁おいしい・・・」
「さんきゅー早く食べろ。」
「わかってるって~」
*****
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「陽ちゃん、桜。」
本人はいたってマイペース。というか、自分が目立つことにも気づいてないのだろう。
「綺麗だな、桜。」
「ん。」
黎は人を惹きつける。男も女も、関係なく。そして、一片たりとも動かないその美貌を、どうにかして動かしたい。と、切望する輩を毎日無自覚に作り続けているのだ。
けれど。なにがあっても黎は、俺が守る。
もう、あんな思いはしたくないから。
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