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神尾黎人 【別の人生】

俺の初恋の行方

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<ドッドッドッ>

鼓動が急に速まるのが分かった


だってだって…

いま目の前にいるのは

雪ちゃんだから!!!



「え、えっと、、私の顔に何かついてます?」


はっ!

いかんいかん、つい見とれてしまっていた

「ありがとう雪ちゃん  大丈夫だよ」

心配してくれる顔もまた可愛い…

「えっ…あの、すみません。どこかでお会いしたことが??」


…………へ?

「何言ってるの?俺だよ俺」

キョトンと小首を傾げて俺の顔を覗き込んだかと思うと、申し訳なさそうに…

「ごめんなさい、どちら様でしょうか?」



えーーーーー~!?


まさか数日会っていないだけで俺の顔を忘れたの?

いや、前々から天然でそんな所もまた萌えるって思ってたけど!

さすがに幼なじみだよ!?

あ、そうか昨日前髪を1.5cm切ったからか!         そうかそうか…



………………はぁ?




「ゆ、雪ちゃん?俺のこと本当にわからないの?  ねぇ、俺だよ?」


「す、すみません…急いでいるので!」


「待ってよ雪ちゃァァァん!!!!」



行ってしまわれた……

本当に忘れられてしまったのだろうか

しかも、あんな不審者を見るような目で俺のことを…



嗚呼…儚く散った俺の初恋よ…

いつかこの恋が美しい思い出となり

笑いに変わる時がくるだろう……




重い体をよっこらせと持ち上げて立ち上がった


ふと、そこにあるショーウィンドウに写った自分を見ると





「誰だ…お前」






そこには国宝級イケメンとは似ても似つかない

ナヨっとした細い体、

不健康な青白い肌、

ニキビだらけの顔、

無法地帯のボーボー髭、

おまけにヨレヨレのくすんだシャツを
ぱつぱつのジャージにinしている男がいた






しばらくの間俺は頭が真っ白で何も考えられなかった




しかし、すぐに全てを思い出した





「あっ………悪魔…」









初恋はほろ苦く終わったが、俺の人生は再スタートを切った


別の人の人生として…

これで俺は自由なハッピーライフを堪能出来るんだァァ!!



いーーーやっほーーーい!!




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