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第十二章

第637話

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竜人たちの襲撃をバラクビル国は一蹴した。バラクビル国もそうだが、複数の種族が共存した国には国民のトラブルを解決するための知識と足りない武力をおぎな魔導具武器が備わっている。

竜槍を持っているのは竜人だけではない。そして龍殺しの武器ドラゴンスレイヤーもまた1種類ではない。竜剣や竜斧など武器の種類にあわせて存在しているのだ。

「どういうことだ!」
「何が起きているんだ!」

届く距離ではない。届いたとしても表皮にかすり傷すら負わせられないほどの矢が、石礫いしつぶてが…………風の魔法に乗って運ばれて龍と化した彼らに突き刺さり、次々とその生命を奪っていく。大きな標的からだだ、威圧するために飛んでいるため腹部はガラ空きだ。首の逆鱗が弱点の始祖龍と違い、竜人が龍化しても身体強化などされていない。だ。

絶対防御に見えるウロコが、人たちが身につけるヨロイ代わりになっている程度の……皮膚がちょっと硬化した程度であり、魔法【身体強化】の半分にも満たない硬さしかないことを同じ竜人族からもたらされていた。
事前に見掛け倒しだと理解していれば脅威にもならない。

通常では石や鉄で作られる矢尻に有毒ななまりが使われる。それは確実にたおすべき敵であるため、体内からも毒で攻撃するのだ。

魔物の龍ドラゴンなら肉も食すが龍化しただけの竜人を食す気はない」

国王のこの発言は裏を返せば、「食用ではないため毒の使用を認める」ということになる。龍化したまま死ねばウロコなどは素材になる。これは騰蛇に魔物へ落とされた元冒険者たちにもいえることだ。
こうして戦争にもならない戦争、侵攻は失敗に終わった。
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