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第九章
第464話
しおりを挟む『妖精の庭建設計画書』通りに許可してもらった場所を購入した私。妖精の庭には宝石の精霊も一緒に暮らすことが許可された。
「それで、いまアゴールの中で赤ちゃんたちを守ってくれている存在が寂しくなくなると思うんだ。あと、妖精の庭は私の農園を入り口にして周囲は囲ってしまう。これは宝石の精霊が飛び出さないように」
私の計画に追加で提案したら周りから残念がられた。この会議に宝石の精霊が来なくなるのか、と。
「会議のときは彼らに出勤してもらったら? どうせ農園の報告があるから様子を見に行くし」
そう言ったら全員から喜ばれた。何故かこの報告会議は参加率がいい。その理由はもちろん宝石の精霊とのふれあいが大きい。もちろん参加だけでなく、月次報告もそれに対しての提案や改善案も提出するし、マイナス面は全員で話し合って改善策をたてる。
「それと、これは早くて来月、再来月にはほぼ確定なんだけど。私のところの奴隷たちの労働期間が決まる。それによって、その後の引き取り手を探す予定なんだけど」
「たしか奴隷市最高額がいるだろう?」
「エルフ族のハイルね。彼は十二人の仲間たちの肩代わりで、早くて十年。数年前後するかな」
つまり百三十年は働かないといけなかったというわけになる。十年で四千万ジルを返せる計画で。五億二千万ジル、白大金貨五十二枚がハイルの代金だ。
「ヘインジル、商人ギルドの長と庁舎の環境管理部を兼任した結果、自然の自浄作用はどうなってる?」
「そうですね。外部からの協力もあって、都市は緑が増えました。ですが……なんでしょう?」
周囲の目がヘインジルに集まっている。一体どうしたのか、と不審がるヘインジルに会議室は騒然となった。
「馬鹿野郎!」
「何を考えているんだ!」
そんな怒号が飛び交う中、ヘインジルは理解できずに目を丸くしている。しかし、根本的な問題がわかっていないヘインジルに怒鳴ってもムダだ。
「みんな、そこまでだ」
シーズルが手を二回叩いて全員を黙らせる。シーズルが次の都長だと認識しているから、いまの時点でも彼に従うのだ。
「ヘインジルは都長というより商人ギルドの長としての考えが先行したのだろう」
「いや、しかし……」
「そう、この自然の浄化作用に関することは、環境管理部が担うこと。つまり、商人ギルドが負担を負う必要はない」
ヘインジルはシーズルの言葉に理解がついていけていない。そんな彼に会計課の課長が書類を机に出した。……けっこう分厚い。
「ヘインジル、植樹の苗木の代金が環境管理部に請求してないから不思議に思ってたんだ。妖精たちに調査を頼んだら、お前、この前も商人ギルドから外部に依頼したけどその金を環境管理部会計課に請求せず商人ギルドからだしていただろ。妖精からの調査書、こんなにきたぞ」
バンバンッと書類の上を叩く。そこでやっとヘインジルも気づいたようだ。
ちなみに妖精たちの調査報告書は、妖精たちにとっては大きな文字を一生懸命に書いてくれる。それも漢字は読めないと知っているから、ひらがなやカタカナだ。簡単なものなら紙に妖力でパパパッと文字を浮かべられる。しかし、大事なものだと理解している報告書は丁寧に書いて提出してくれる。途中で話し合ったりして、間違いがないかも調べてくれる丁寧さだ。
だからこそ、妖精たちが提出してくれた書類を、庁舎の職員は大事に取り扱ってくれる。
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