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第八章

第348話

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「よう、エミリア。久しぶりだったな」
「嬉しそうだな。何をしていたんだ?」
「遊んでた」

キョロキョロと見回すが、ダイバはいない。よし、今のうち!

「ねえねえ、みてみて!」

そう言って取り出したのはカラフルな色のガラス。使いやすいようにグラスにしてあります。

「おい、なんだコレは……」
「こんな色のガラスは見たことがないぞ」
「面白いでしょ。でもレシピはナイショ♪ まだ研究中なの」

私がそういって立てた人差し指を口に持っていくと、様々な色のグラスに目を輝かせていた職人さんたちは黙って頷いた。
安全を確認してからでないと錬金レシピは公開できない。ケガはともかく事故を起こす結果になれば大問題なのだ。事故を前提とされたレシピを公開されては困るし、それが偶然でもバイオテロに発展したら生存問題なのだ。
ただ、私の研究はちょっと違う。二色に変わる素材を温度で入れ替わるように調整中なのだ。赤に火の属性、青に水の属性を纏わせるところまではできた。冷たいものを入れれば青色になる。それなのに温度を上げていくと途中でになってしまう。その色があまりにもキツい色なのだ。……まだサクラ色ならいいのだけど。


「エ~ミ~リ~アァァァァ」

ぐわっしっという音が聞こえた気がすると共に、頭に大きな手が乗せられた。

「ダイバァ、頭いたいよー」
「そういうモンを見せびらかすな、と俺は言ったよなあ」
「うん、いわれた」
「エミリア……。前にアラクネが作ったストールに女性陣が奪い合いを始めようとしていただろうが」
「あれは見せびらかしたんじゃないもん。身につけていたら一人が欲しがって、そうしたら勝手に私があげる話になってただけで、私は被害者だもーん」

そう言った私に「はぁぁぁぁぁ……」と大きく息をいた。だから、何でそうやって呆れたようにため息吐くかなー?

「そんなにため息を吐いてると、シアワセが裸足で逃げていくよ」
「その程度では逃げていかん」
「……ため息を吐いていると、アゴールがフィムを抱いて逃げ出すよ」
「大丈夫です。私は逃げませんから」

アゴールが私の背後から優しく抱きしめてくれた。
シューメリさんが私をフーリさんの娘のように思っていると言ってから「じゃあ、私の妹でもあるのよね」と宣言した。その日から私を甘やかすけど、甘やかし方がフィムと同じだったりするのはアゴールが末っ子だったため、どう可愛がったら良いのかわからないからだろう。

「そのときは、ダイバを裸足で追い出します」
「……おい」

アゴールの言葉にダイバが速攻でツッコミを入れる。

「じゃあ、裸ででていきますか?」
「……エミリア、なんとかフォローしろ」
「え~。……アゴール、スッポンポンで追い出したらさすがにダイバでも風邪ひくよ」
「おい、エミリア。それはフォローか?」
「エミリアさん、大丈夫です。ダイバはダイバカなので風邪をひきません」

何故か自信満々に言い切ったアゴールに、バラクルは大爆笑に包まれた。
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