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第八章
第324話
しおりを挟むエリーさんはエルフの里でミリィさんを差別していた上で、率先して森の牢獄に閉じ込めようとしていた十二人を選んで連れてきたそうだ。何を言っても話が通じないため、ミリィさんと同じ巨人族のハーフのルーバーと、現在の巨人族と見られているゼオンやヤンシスに会わせようと考えたそうだ。それにハイルはすでに巨人族の真実を知っている。ミリィさんを森の牢獄に閉じ込めようとしたハイルなら、彼らにとって今も尊敬している守長の言葉なら聞くだろうとも思っていた。
……実際にはそれ以前の問題で、アゴールの怒りに触れて、氷で全身串刺しの上に一部凍結。騰蛇たちに連日遊ばれて、眠れば暗の妖精に『六時間は悪夢から出られない』妖力を使われた。
そうして、固かった脳内が疲れから働かなくなったところでさっきの話し合いが始まったのだ。
「ありがとう、エミリアちゃん。連中はエルフの里で頭の固い連中でね、私たちが何をいっても耳を貸さない頑固者だったの。……やっと真実を理解できたみたいね」
エリーさんが頭を下げて感謝を口にする。最初からミリィさんに連絡していたため、どんな連中が来るのか事前にわかり、対策をたてていた。
……騰蛇に預けるのは最後の予定だった。そのため、キマイラたちや妖精たちと聖魔たちが、騰蛇と一緒に待ち受けていたのだ。ただエルフの言動でアゴールがブチ切れてしまったため、アゴールが殺人を犯さないように騰蛇に与えたのだ。予定より早く騰蛇に与えられたのと、アゴールが放った氷の刃が突き刺さったエルフたちを見て、何があったかを理解したみんなは『傷付けなければ何をしてもいい』という約束を守ってエルフたちで遊んだ。
ただ、パックンされて恐慌に陥っていたエルフたちは、騰蛇の姿を視認すると火魔法を閉じ込めた魔導具で攻撃した。それをヤンシスが庇い、コアルクが水魔法で攻撃を防いだ。
……『神の遣い』に攻撃すれば罰を与えられて当然。
その結果、私が様子を見に行った時に開催されていた『スポーツ大会』だった。
エルフたちを見ると、ミリィさんに土下座をして謝罪している。パフォーマンスではなく、心から反省して謝罪しているのだ。
「ただ巨人族のハーフという形で生まれた子を……」
「その子には何ら責などあるはずがないのに」
「生まれたこと自体が罪になる子などあろうはずがないのに」
今まで口にしたことのないであろう言葉が彼らの口から出てくる。そんな彼らにミリィさんは驚きつつも「頭を上げてください」と彼らの頭を上げさせた。ここに戻ってきたときと違い、上げた顔には反省と取り返しのつかないことをした後悔が滲み出ていた。
「ハイルにも伝えたけど、私はあなた方には感謝しています。エルフの里をでたから大切な人たちと会えて、私を「お姉ちゃん」と呼んで慕ってくれるエミリアちゃんと会えました。私に『世界は広い』と教えてくれたあなた方に深く感謝しています」
ミリィさんの慈悲深さに、エルフたちは何度も何度も謝罪を口にして涙を流した。
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